LinuC Level1 v10.0 対策コース(パート1)2/39
BIOS/UEFI 、Linuxインストール
本記事では、BIOS/UEFIの設定方法やLinuxのインストール手順について、初心者にも分かりやすく解説します。これにより、Linuxを自分のコンピュータにインストールし、利用できるようになります。
BIOS/UEFIとは
BIOS/UEFIは、システムを立ち上げる際に一番最初に起動されるファームウェアです。このシステム立ち上げの処理全体をブート(boot)といい、BIOS/UEFIの起動から、以下の一連の手順までをブートシーケンスまたはブートアッププロセスと呼びます:
- BIOS/UEFIの初期化と起動
- ブートローダ(例えばGRUBなど)によるOSカーネルの読み込み
- カーネルの初期化処理
- ファイルシステムのマウント(initramfsの実行による)
- システムを管理するプログラム(例えばsystemdデーモン)の起動
- ネットワークの設定
- その他のOSが起動するまでの処理
ブートシーケンスが終了すると、ログインプロンプトもしくはログイン画面が表示され、システムが利用可能な状態となります。
BIOS
BIOS(Basic Input Output System)は、PCのハードウェアに組み込まれているファームウェアです。不揮発性メモリ(NVRAM : Non-Volatile RAM)に格納されており、ハードウェアを制御・初期化し、オペレーティングシステムを起動するためのソフトウェアです。
BIOSによるブート時は、設定されたデバイスの優先順位に従って起動します。この優先順位は、各デバイスのMBR(Master Boot Record)を検索して決定します。初期設定では、光学ドライブやHDD、SSDなどが選択されます。指定されたデバイスにブート可能なファイルが存在しない場合、BIOSは次のデバイスをチェックし、ブートローダーが見つかるまでこのプロセスを繰り返します。
UEFI
UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)はIntel社が開発したBIOSの後継とされるファームウェア規格です。厳密に言えば、UEFIはOS(Operating System)とファームウェア間の橋渡しをするインターフェース規格であり、具体的な実装(つまりプログラム)は各PCメーカーによって異なります。最近のPCではほとんどがUEFIを使用しています。拡張内容には、大容量ハードディスクへの対応(UEFI対応のマザーボードではGPT : GUID Partition Tableを使用)、セキュリティの強化、新しいブート形式、インターフェースの向上、ネットワーク機能の追加などがあります。
UEFIからブートする時は、不揮発性メモリに設定された優先順位に従って、ディスクのEFIパーテーションに格納されているブートローダーを起動します。
不揮発性メモリ
電源が切れてもデータを保持できる半導体メモリの一種です。
揮発性メモリ
電源供給されている間のみ記憶を保持します。バッテリーによる電力バックアップを搭載することでデータの保持を可能にしますが、瞬断などでバッテリーが切れると全てのデータが失われてしまいます。一部の揮発性メモリは、電源を切っても電荷を保持できるキャパシタを併用することがあります。
ブートメディアの優先順位を変更
ブートメディアとは、ブータブルディスク(ブータブルDVD、ブータブルCD)、ブータブルUSBなどの起動プログラムが書かれた記録メディアのことです。 PCは最初にこれらのブートメディアを利用してシステムを起動しようとします。また、起動の仕方もBIOS/UEFIで異なります。
セキュアブート
セキュアブートとは、PCを起動(boot)した際に悪意のあるソフトウェアが読み込まれないように設計されたセキュリティ機能です。 UEFIによって組み込まれており、セキュアブートの設定は、PC のファームウェア(BIOS)で変更できます。仕組みはUEFIに組み込まれた公開鍵によって、ブートローダ内のデジタル証明書を検証し悪意のあるソフトウェアかそうでないかを判断し起動を防ぎます。
ブートメディアの優先順位の変更手順
ブートメディアの優先順位を変更する方法を紹介します。
OSを再インストールした時などに変更することがあります。手順は次のとおりです。
- BIOS/UEFIの確認と起動
- 優先順位の変更
- 設定を保存終了
1. 自分のPCがBIOSなのかUEFIなのかの確認
LinuxでBIOSかUEFIかを確認する方法はまずは管理者権限でターミナルを開きます。そして/sys/firmware/efi
というディレクトリが存在するか確かめます。UEFIの場合は存在しますが、レガシーなBIOSの場合は存在しません。
2. BIOSだった場合
これ以降はPCによって操作が違うためPCのマニュアルを読んで確認してください。また、変更をすることで重大なシステム障害が発生する可能性がありますので、自己責任でお願いします。 ※BIOS環境のパソコンを別のブートメディア(CD、DVD、USB)から起動することを想定します。
- PCの電源を入れた画面でPC指定のキーを入力してBIOSを立ち上げます。 PCを起動する際、F1キー、F2キー、Deleteキーなど(PCメーカによって異なります)を押し続けることでBIOS設定画面に移動します。起動してから数秒経つと入力キーが効かなくなってしまうので気を付けてください。
- BIOSの画面が開いたら、 「→← : Select Screen」で画面を操作しBootの設定が開かれる場所に移動します。
※実際の画面は写真と異なる場合があります。
- 「⇅:Select Item」でブートメディアの優先順位を変更します。 目的のブートメディアまで移動したら「F6」キーなど対応するキーを押すと移動対象にできます。移動したら、画面にSave And Exitとあるのでその横にあるキーに従って、保存し終了します。
3. UEFIだった場合
BIOS同様、これ以降はPCによって操作が違うためPCのマニュアルを読んで確認してください。また、変更をすることで重大なシステム障害が発生する可能性がありますので、自己責任でお願いします。 ※UEFI環境のパソコンを別のブートメディア(CD、DVD、USB)から起動することを想定します。
- PCの電源を入れた画面でPC指定のキーを入力してUEFIを立ち上げます。 LPCを起動する際、F1キー、F2キー、Deleteキーなどを押し続けることでUEFI設定画面に移動します。起動してから数秒経つと入力キーが効かなくなってしまうので気を付けてください。
- ここまでの操作はBIOSと同じでしたがUEFIは起動画面がとてもグラフィカルになり分かり易くなっています。また、PCによっては起動時に特定のキーを押すことで起動するブートメディアを選択することもできます。
- ブートメディアの優先順位の変更した後にPCにLinuxをインストールする場合は「高速スタートアップ」と「セキュアブート」を無効にします。RHEL8などセキュアブートに対応するディストリビューションもあります。
- CSM(Compatibility Support Module)を「Disabled」から「Enabled」に変更します。CSMの設定がない場合は「Boot Mode」や「Boot Configuration」の設定を「UEFI」から「Legacy」に変更します。
- 設定を保存し、終了します。
- 再度起動しUEFIの画面に移動します。移動したら、優先して起動したいブートメディアを選択して終了です。
Linuxのインストール
今回はIntel Mac上の仮想化ソフトウェアVirtualBoxにCentOSのインストールを行います。
M1/M2 MacBook Air/Proにインストールする場合は次の記事を参考にしてください。
https://envader.plus/article/135
Rocky Linuxをインストールしてみたい方はこちら。
https://envader.plus/article/137
CentOS
CentOsはLinuxディストリビューションの一種であります(ディストリビューションとはLinuxカーネルとそれを取り巻くソフトウェアセットです)。もともとはRed Hat Enterprise Linux(以降、RHEL 読みはレル)という有料のディストリビューションでしたが、ライセンスに関わるものを排除して、フリーなものに書き直すことでCentOSが誕生しました。RHELでリリースされた機能は随時CentOSに追加されます。しかしRed HatがCentOSを開発しているわけではありません。CentOSはさらにRedHat系というグループに分けられ、主にサーバーとして使われることが多いです。
CentOSの特徴
- 基本的にサーバー業務に向いている
- コミュニティーベースで作られている
- 長期サポートがあるため企業側が採用しやすい
CentOSは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)と同じコア技術をベースにしたオープンソースのOSで、RHELの無償版と見なすことができます。
VirtualBox
VirtualBoxは 一つのPC上で複数の仮想マシン(VM)を作成し、それぞれ異なるOSを実行できる仮想化ソフトウェア です。
使用しているPCに仮装かソフトウェアを用いて仮想環境を構築し、他のOSをインストールすることでOSを共存できます。企業でも良く利用されており、オープンソースソフトウェアで様々な機能を有しています。VirtualBoxは頻繁に最新版がリリースされ、プラットフォームも増え続けています。
例えばMacのPCにVirtualboxをインストールし、それぞれの仮想マシン(VM)にLinuxとWindowsをインストールした場合、MacOS上にさらに二つのOSが存在することになります。
ISOファイル
ISOファイルとはCDやDVD、USBなどの記録メディアの中身を一つのファイルにまとめたもので、拡張子は「.iso」です。構造は複数のフォルダやファイルを一つにまとめたもので、アーカイブファイルとも言います。CentOSをインストールする時はまずCentOSのISOファイルをダウンロードします。
CentOSのインストール
CentOSのインストールをしましょう。手順は次の通りです。
- VirtualBoxのインストール
- ISOファイルのダウンロード
- VirtualBoxに仮想環境を作成
- CentOSのインストール
1. VirtualBoxのインストール
まずリンクからVirtualBoxをダウンロードします。
ダウンロードURL:VirtualBox.org
ダウンロード画面:
Macの場合はダウンロードしたら.dmg
を開きその中にあるVirtualBox.pkg
でインストーラーを起動しましょう。
Windowsの場合はexe
を実行します。
Macの場合
起動したら画面に選択画面が表示されるので「続ける」、「インストール」の順番で押してください。パスワードを求められたら入力してください。「拡張機能がブロックされました」と表示されたら「OK」をクリックします。
Windowsの場合
Windowsの場合も同様「Next」を押して進み、途中「インストール中に一時的にネットワーク接続が切断される可能性があります」と表示されますがそのまま進み、「install」をクリックして完了です。また、VirtualBoxの仮想環境内でUSBなどを使用したい場合は「VirtualBox Extension」をインストールしましょう。
2. ISOファイルのダウンロード
次のリンクからCentOSのISOファイルをダウンロードしましょう。
ダウンロードURL:centos.org
画面上部の「Download」を押してください。
WindowsもしくはIntelコアのMacの場合は「x86_64」を選択してください。AppleシリコンのM1/M2 Macの場合は「ARM64 (aarch64)」を選択しましょう。
ダウンロード先は「The following mirrors in your region should have the ISO images available」の下にあるリンクから選んでください。選んだ先では「DVD」を選択、もしくは最小構成(CUI)でいい場合はMinimalの記載があるものを選びましょう。サーバーとしてのみ利用したい場合は最小構成で十分です。
仮想環境を作成
今回はVirtualBoxの中にISOファイルをダウンロードするのでVirtualBoxの準備をしましょう。VirtualBoxでCentOS用の仮想環境を作成します。VirtualBoxを起動して左上にある「新規」を押してください。
名前とオペレーティングシステムを選択する画面が出るので、次のように選択しましょう。VirtualBoxがOSを認識するのに役立ちます。
- 名前:CentOS 7(任意の名前)
- タイプ:Linux
- バージョン:Red Hat(64-bit)
次にVirtualBox内で作成する仮装環境に割り当てるメモリの量を選択する画面が表示されます。2000MB(2GB)程割り当てれば十分でしょう。
次は仮想マシンを作成する画面が表示されるので、「仮想ハードディスクを作成する」を選択しましょう。 仮想ハードディスクの作成では「VDI」を選択してください。 サイズはどちらでも問題ありませんが、ハードディスクの占有率を変更したい場合は「可変サイズ」を選択しましょう。 ファイルの場所とサイズは仮想のハードディスクのサイズを指定します。20GB確保すれば十分でしょう。 作成をクリックし、VirtualBoxに指定した名前で仮想環境が表示されていれば成功です。
4. CentOSのインストール
- VirtualBoxで作成した仮装環境を起動してください。
- 起動時にハードディスクの指定をします。先ほどダウンロードしたISOファイルを選択してください。2回目以降は必要ありません。
- 起動すると黒い起動画面が表示されます。
- 「install CentOS 」を選択します。
- 言語に「日本語」を選択します。
- インストール概要画面が表示されます。
- 画面下部にあるインストール先の設定をします。 ローカルの標準ディスクはUSBやDVD、CDにインストールしたい場合はそれを選択してください。そのままでよければ無視してください。パーティションはデフォルトでは自動構成が選択されています。これでも問題はないですが、もしパーティションの設定をしたい場合は手動でやってみてください。今回は自動構成でインスト―ルします。
- ソフトウェアを選択します。 サーバーとして利用したい場合はデフォルトの最小構成で問題ないです。その場合はCUIとなります。デスクトップとしても使用したい場合は、「GNOME Desktop」か「KDE Plasma Workspaces」を選択しましょう。
- ネットワークとホスト名を設定します。 イーサネットをONにして完了しましょう。
- インストールを押してインストールを開始しましょう。 インストール中にrootユーザーのパスワードと一般ユーザーの作成をします。高度なユーザー設定はこだわりがあれば設定しましょう。設定し終わったら完了します。
- 完了したら再起動します。
- CUI画面が表示されたら、必要に応じて表示されたオプションやプロンプトに従って操作を行い、システムの初期設定を完了させましょう。
- 完了するとログイン画面が表示されます。この時GUIの場合はグラフィカルな画面が表示され、CUIの場合はターミナルのGUI画面が表示されます。
- ログインして、日本語に設定し、オンラインアカウントに接続する場合は設定しましょう。(GUIの場合はgoogleなど接続しておくと便利です)
- CUIの場合はユーザー名とパスワードを入力してログインできれば成功です。
- GUIなら、設定が終わりMacやWindowsのような画面がでれば成功です。
5. 補足
もし2回目の起動時に設定画面が再び表示される場合は、ブートメディアの優先順位を変更してHDDを最優先に設定しましょう。設定方法は前の章で説明されているので、そちらを参考にしてください。
まとめ
この記事では、仮想化ソフトウェアであるVirtualBoxを利用し、PCのブート時に最初に起動するシステムであるBIOS/UEFIの設定方法、ブートメディアの優先順位変更方法、そしてLinux(特にCentOS)のインストール手順について詳しく解説しました。ブートシーケンスやBIOS/UEFI設定について理解することで、Linuxを適切にインストールし、設定することができます。これを基礎として、Linuxの学習や運用に役立ててください。
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