LinuC Level1 v10.0 対策コース(パート2)7/29
IPv4とIPv6について
こちらの記事ではIPv4とIPv6について解説します。
IPv4とは?
「IP」は「インターネットプロトコル(Internet Protocol)」を表し、「v」はバージョンを表しています。「v4」は実際に広く使用されてきた最初のバージョンです。
現在もインターネット通信はIPv4が使われています。IPv4アドレスは32ビットで192.168.0.1
のように8ビットごと区切られ10進数表記されます。IPv4で扱えるアドレスは約43億個(2の32乗)あります。
IPv4の枯渇とIPv6誕生の背景
個人で機器の複数台所持、IoT(Internet of Things)の台頭など、今後必要となるIPアドレスの数はさらに増加すると予想されています。
それに伴い、現在IPv4アドレスの枯渇が問題となっています。そこでIPv6が必要になりました。
IPv6とは
IPv6は128ビットのアドレスを使用します。16ビットごとにコロン(:)で区切られ、2001:1234:5678:90cd:0ab8:cdef:0000:0000
のように16進数で表記されます。
IPv6の表記法
表記には2つのルールがあります。
- コロン(:)で区切られたフィールドが全て0かつ同様のフィールドが2つ以上続く場合、0を省略して「::」と表記する。
例)
2001:1234:5678:90cd:0ab8:cdef:0000:0000
↓
2001:1234:5678:90cd:0ab8:cdef::
- コロン(:)で区切られたフィールド内で、先頭から0が連続する場合に省略することができる。
例)
2001:1234:5678:90cd:0ab8:cdef:0000:0000
↓
2001:1234:5678:90cd:ab8:cdef:0000:0000
IPv6アドレスの構成
IPv4アドレスはネットワーク部とホスト部に分けられます。
IPv6も同様の構成ですが名称が異なります。IPv4アドレスのネットワーク部をプレフィックス、ホスト部をインターフェースIDと呼びます。 一般的にはそれぞれ固定の64ビットで区分けされますが、これは変更可能です。その際、IPv4アドレスでの「/ネットマスク」に相当する「/プレフィックス」を用いて、例えば 2001:1234:5678:90cd:ab8:cdef::/64 のように表示します。
IPv4とIPv6の比較
-
ビット数、表記法
前述したようにIPv4とIPv6ではビット数、表記法が異なります。再度確認しておきます。
ビット数 表記法 IPv4 32 先頭から8ビットごとにドット(.)で区切り10進数に変換して表す 例) 192.168.0.1 IPv6 128 先頭から16ビットごとにコロン(:)で区切り16進数に変換して表す- 例)2001:1234:5678:90cd:0ab8:cdef:0000:0000 -
割り振られるアドレスの数
IPv4と比較してアドレスが128ビットに拡張されたことで、IPアドレスの枯渇問題を解決し、地球上のあらゆるデバイスをインターネットに接続できるようになります。
IPv6の注意点
IPv4とIPv6は直接的な互換性がありません。IPv6で通信を行う際は通信機器、サービス(Webサイト等)もIPv6に対応している必要があります。そのためIPv4を利用しIPv6を利用しているサイトを閲覧することはできません。また逆も同様にIPv6を利用しIPv4を利用しているサイトの閲覧もできません。
そこでIPv4 over IPv6が必要となります。
IPv4 over IPv6は、IPv6のインフラストラクチャを用いつつも、IPv4の通信も行うことができる方式です。IPv6環境で通信を行えるので通信速度の改善にもつながります。ただし、利用する際はプロバイダやルーターもIPv4 over IPv6に対応している必要があります。
IPv6のその他特徴
IPv6の特徴を解説します。
ヘッダ
IPv6ヘッダは、パケット転送時に必要な情報を固定帳の基本ヘッダに、必ずしも必要ではない情報は拡張ヘッダに組み込みます。これにより、ルータはルーティングの際に基本ヘッダのみを読み取れば転送が可能となります。結果として、ルーティングの処理速度が上がります。
フィールド | ビット数 | 概要 |
---|---|---|
バージョン | 4 | IPv6を意味する「0110」 |
トラフィッククラス | 8 | IPv4のToSに該当するフィールド。パケット送信時のQoSを指定 |
フローラベル | 20 | 通信経路の品質確保、経路の優先選択のために使用 |
ペイロード長 | 16 | IPv6ヘッダを除く、「拡張ヘッダ」と「ペイロード」のデータ部の長さ |
ネクストヘッダ | 8 | IPv4のプロトコルにあたるフィールド。拡張ヘッダや上位プロトコルのタイプを表す |
ホップリミット | 8 | IPv4のTTLに該当するフィールド。通過できるルータの数を制限する |
送信元アドレス | 128 | 送信元のIPv6アドレス |
宛先アドレス | 128 | あて先のIPv6アドレス |
拡張ヘッダ | 可変 | パケット転送時のオプション情報を記述 |
IPsec
IPsecとはパケットの認証や暗号化のための標準プロトコルです。IPv4ではIPsecの利用が必須ではないですが、IPv6では原則として実装が必須となっています。IPv6の拡張ヘッダとして認証ヘッダと暗号化ヘッダを組み込むことで、データ通信のセキュリティが強化されています。
アドレスの種類
アドレス | 概要 |
---|---|
グローバルユニキャストアドレス | グローバルユニキャストアドレスは全世界で一意に決まるアドレスという意味です。IPv4のグローバルアドレスにあたります。インターネット、組織内の通信で一般的に利用されるIPv6アドレスです |
リンクローカルユニキャストアドレス | 同一セグメント内で一意に決まるアドレスです。ルーターを介さない通信で利用されます。通常インターフェースIDには64ビット版のMACアドレスが格納されます |
ユニークローカルアドレス | ユニークローカルアドレスはIPv4のプライベートアドレスにあたり、ネットワーク内で利用されます |
まとめ
IPv4は現在インターネット通信で広く使われています。しかしインターネット人口の増加やIoT機器の台頭などの理由で、IPv4アドレスは枯渇してきている状況です。この問題を解決するためにIPv6が生まれました。特徴としてはアドレスの数が膨大、通信速度の向上、セキュリティ面での強化があげられます。IPv4とIPv6では互換性がないためIPv6でIPv4のサービスを利用したい場合はIPv4 over IPv6を利用する必要があります。
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