はじめに
Gitのブランチ操作は、checkout
コマンドを使用して行われてきました。しかし、Gitのバージョン2.23.0で新たに導入されたswitch
コマンドを使用すると、ブランチ操作をより直感的で明確に行うことができます。
switch
コマンドはブランチの切り替えや新しいブランチの作成に特化しています。一方で、checkout
コマンドはブランチの切り替えに加えて、作業ディレクトリのファイルの変更や復元にも使用されます。
この記事では、switch
コマンドの基本的な使い方と機能を紹介します。また、checkout
コマンドとの比較を行い、両者の違いとそれぞれのコマンドが適した使用状況について解説します。最後に、switch
コマンドを使った実践的な使用例を提供します。
Gitについての基本
Gitは、ファイルの変更履歴を管理するバージョン管理ツールです。個人の作業でもチーム開発でも、「誰が・いつ・何を」変更したのかを記録でき、安心して作業が進められます。
Gitの基本をさらに知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
▼Gitを基礎から学びたい方はこちら
【初心者向け】GitHubとは?必須知識と使い方について解説!
https://envader.plus/article/68
▼Gitコマンド早見表はこちら
必見!現場で役立つGitコマンド29選をまとめて紹介!
https://envader.plus/article/402
git switch コマンドの基本
Gitのswitch
コマンドは、ブランチ間の移動をより直感的で簡単にするために設計されました。こちらでは、switch
コマンドの基本的な使い方と機能について解説します。
ブランチの切り替え
switch
コマンドの最も基本的な使用法は、既存のブランチ間での移動です。コマンドは以下のように使用されます。
git switch <ブランチ名>
このようにして指定されたブランチに切り替えることができます。例えば、develop
ブランチに移動したい場合は、以下のように入力します。
git switch develop
新しいブランチの作成と切り替え
switchコマンドを使用すると、新しいブランチを作成し、そのブランチに直接切り替えることができます。-cオプションを使用して、以下のように実行します。
git switch -c <新しいブランチ名>
例えば、feature/new-feature
という新しいブランチを作成する場合、以下のコマンドを入力します。
git switch -c feature/new-feature
追跡ブランチの切り替え
リモートリポジトリのブランチを追跡する新しいローカルブランチを作成する場合にもswitch
コマンドが役立ちます。--track
オプションを使って、リモートのブランチと同じ名前の新しいローカルブランチを作成し、切り替えます。
git switch --track origin/<ブランチ名>
例えば、リモートリポジトリのmain
ブランチを追跡するためには、以下のようにします。
git switch --track origin/main
git switch
の基本から応用まで詳しく解説した記事もご用意しています。具体的な操作手順やハンズオン形式で学びたい方はぜひご覧ください。
git switch完全ガイド|初心者でも安全にブランチを切り替える使い方とハンズオン
https://envader.plus/article/545
git checkoutコマンドとの比較
Gitのswitch
コマンドは、checkout
コマンドの機能の一部をより使いやすくするために導入されました。こちらでは、switch
とcheckout
の主な機能の違いと、それぞれのコマンドが最適な使用状況について説明します。
git switchが導入された背景
もともとGitでは、ブランチの切り替えや新しいブランチの作成を含むさまざまな操作を、checkout
コマンドひとつで行っていました。checkout
は、ブランチ操作だけでなく、作業ディレクトリの変更やファイルの復元など、非常に幅広い機能を備えたコマンドです。
その汎用性は大きな強みですが、一方で「どの操作がどの挙動に対応するのか」が直感的にわかりにくい場面もありました。
このような背景から、Gitの開発チームは操作の目的ごとにコマンドを分けることで、よりわかりやすく、迷いにくい操作体系を目指しました。
switchとrestoreへの分割
これを受けて、git checkout
の一部の機能が次の2つの専用コマンドとして分割されました。
-
git switch
この新しいコマンドはブランチの切り替えに特化しています。switchは、現在のブランチから別のブランチに移動する操作を、より明確かつ直感的に行うことができます。
-
git restore
作業ディレクトリやステージングエリア(インデックス)のファイルの状態を変更するためのコマンドです。これにより、コミットされていない変更を元に戻したり、過去のコミットから特定のファイルを復元するような操作が行えます。
git restoreコマンドについてはこちらで詳しく解説しています。
Gitのrestoreを使ってファイルを元に戻そう!簡単ガイドとresetとの違い
https://envader.plus/article/448
結局switchでいいの?
結論として、Gitのswitch
コマンドは、特にブランチ操作に関しては、より使いやすく直感的な選択となるでしょう。しかし、switchコマンドがすべてのケースでcheckout
コマンドを完全に置き換えるわけではありません。次に説明する機能の違いなどを理解して使い分けましょう。
switchとcheckoutの機能の違い
機能 | switch | checkout |
---|---|---|
ブランチの切り替え | ○ | ○ |
新しいブランチの作成 | ○ | ○ |
作業ディレクトリの変更 | ✕ | ○ |
ファイルの状態の復元 | ✕ | ○ |
使い分けのポイント
目的 | 使用するコマンド |
---|---|
ブランチの切り替えや新規作成 | switch |
特定のコミットやブランチの状態に作業ディレクトリを戻す | checkout |
switchのメリットとデメリット
-
メリット
ブランチ操作がシンプルでわかりやすい
-
デメリット
作業ディレクトリの変更やファイルの復元ができない
checkoutのメリットとデメリット
-
メリット
ブランチ操作に加えて、作業ディレクトリの変更やファイルの復元など、多彩な機能を利用できる
-
デメリット
ブランチ操作が複雑になる可能性がある
git switch
や git restore
が登場した現在でも、git checkout
は依然として多くの開発現場で利用されています。1つのコマンドでブランチ操作とファイルの復元が行えるその汎用性は今も健在です。
git checkout
の基本的な使い方や、ブランチ操作以外の便利な活用方法については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
git checkout完全ガイド|初心者向けブランチ作成からファイル復元までの基本を解説!
https://envader.plus/article/546
実践的な使用例
効率的なブランチ間の作業
-
フィーチャーブランチの素早い切り替え
新しい機能を開発する際、
git switch -c feature/<feature-name>
を使って新しいフィーチャーブランチを作成し、すぐに作業を開始できます。これと似た操作をcheckoutコマンドで行う場合はgit checkout -b feature/<feature-name>
となりますが、switchコマンドの方がブランチの作成と切り替えの意図がより明確です。 -
使用の簡潔さ
switch
コマンドは新しいブランチ操作に特化しているため、同じ操作をより直感的に行うことができます。checkout
コマンドはより汎用的ですが、そのために複数の機能を覚える必要があります。
コマンドのショートカットと組み合わせ
-
エイリアスの利用
よく使用するswitchコマンドにエイリアスを設定することで、コマンドの入力を簡略化できます。例えば、
git config --global alias.sw switch
を実行すると、git sw
でswitchコマンドを呼び出せるようになります。 -
他のGitコマンドとの組み合わせ
switchコマンドは、
git merge
やgit rebase
などの他のGitコマンドと組み合わせて使用することで、ブランチの統合やリベース作業を効率的に行うことができます。
まとめ
Gitのswitch
コマンドは、ブランチの切り替えや新しいブランチの作成を、より直感的に行えるよう設計されたコマンドです。checkout
との違いを理解し、目的に合わせて適切に使い分けることで、Gitの操作がよりスムーズになります。
git switchの基本的な使い方
# 既存のブランチに切り替える
git switch <ブランチ名>
# 新しいブランチを作成し、そのブランチに切り替える
git switch -c <新しいブランチ名>
git switchとgit checkoutの違い
-
switch
ブランチの切り替えや新しいブランチの作成に特化しています。
-
checkout
ブランチ操作に加えて、作業ディレクトリのファイル変更や復元など、より幅広い操作に対応。
実践的な使用例
-
効率的なブランチ間の作業
git switch
コマンドとgit merge
コマンドを組み合わせて使用することで、ブランチの統合をよりスムーズに行うことができます。 -
コマンドのショートカットと組み合わせ
git switch
は、エイリアス(例:git sw
)を設定することで入力を簡略化できます。また、git merge
やgit rebase
などと組み合わせることで、ブランチの統合やリベース作業がより効率的に行えます。
ブランチ操作をよりシンプルにしたいときは git switch
が便利です。一方で、git checkout
はファイルの復元や作業ディレクトリの変更といった、より幅広い操作に対応できる柔軟なコマンドです。それぞれの強みを活かして、場面に応じた使い分けをしていきましょう。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

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「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
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多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

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