情報社会化が進み、生活が便利になった今、情報システムの脆弱性や運用面のミスに伴うトラブルが頻発しています。システム監査者とは、そうした事態を回避し、情報システムの安全性を高める存在です。
IPAが主催するシステム監査技術者試験に合格すれば、システム監査をする知識・能力があると証明できます。
今回は、IT社会において重要な資格であるシステム監査技術者試験について解説します。システム監査技術者試験は、高度情報処理技術者試験でもレベル4と非常に難易度の高い試験です。
合格のために知っておきたい「試験対策」や「過去問の使い方」を詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
システム監査技術者試験とは情報システムに関する能力を保証する資格
システム監査技術者試験は、情報システムに対する監査を行う能力を認定する資格です。
試験に合格することで、情報システムの運用や管理に関するリスクを評価し、適切な監査手続きを実施する能力があると証明できます。
試験は午前と午後の2部制で、以下の形で実施されます。
時間帯 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数と解答数 |
---|---|---|---|
午前Ⅰ | 9:30~10:20(50分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:30問 解答数:30問 |
午前Ⅱ | 10:50~11:30(40分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:25問 解答数:25問 |
午後Ⅰ | 12:30~14:00(90分) | 記述式 | 出題数:3問 解答数:2問 |
午後Ⅱ | 14:30~16:30(120分) | 記述式 | 出題数:2問 解答数:1問 |
システム監査技術者の基礎
システム監査技術者は、企業や組織において情報システムの適切な運用・管理を確認し、問題点を指摘して改善点を提案する役割を担っています。
業務内容もシステム監査に重きをおいており、以下が代表的なものです。
- 監査計画の作成
- 監査の実施
- 監査報告書の作成
- フォローアップ
監査を実施してITシステムの安全性や効率性を評価し、改善策を提案する専門家と認識しておきましょう。システム監査技術者によって、ITシステムの安全性が担保されているのです。
試験の内容
システム監査技術者試験は、高度情報処理技術者試験の中でもレベル4に位置する試験です。
試験では、ITシステムの基礎的な知識はもちろん、以下のような監査に関する知識が問われます。
- システム監査の実践に関すること
- システム監査人の行為規範に関すること
- システム監査関連の法規に関すること
この他、情報システムや組み込みシステム、通信ネットワークについても出題されます。もし他の資格も検討しているのなら、データベーススペシャリスト試験やエンベデッドシステムスペシャリスト試験の内容も理解しておくと、より挑戦しやすくなるでしょう。
どちらも以下の記事で詳しく解説しているので、確認してみてください。
https://envader.plus/article/224
試験の合格要件
システム監査技術者試験の合格には、午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰの試験で100点満点中60点以上の得点が必要です。更に午後Ⅱでは、評価ランクAのみが合格となります。
各試験の得点が基準点に達していないと、その後に受けた試験の採点はされずに不合格となります。非常に厳しい合格基準です。
合格率は高度情報処理技術者試験の中では低い水準であり、IPAの統計資料によると15%前後を推移しています。直近5回の合格率は以下の通りです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
平成30年度春期 | 2,841人 | 530人 | 14.4% |
平成31年度春期 | 2,879人 | 421人 | 14.6% |
令和2年度10月 | 1,702人 | 260人 | 15.3% |
令和3年度秋期 | 1,877人 | 301人 | 16.0% |
令和4年度秋期 | 1,972人 | 313人 | 15.9% |
システム監査技術者試験に合格するには?オススメの勉強法
システム監査技術者試験は、合格率が15%前後と難しい試験です。合格するには計画的に勉強する必要があります。
独学で試験に挑戦する方は、以下の流れで取り組むと合格しやすいでしょう。
- 基礎知識の習得
- 実践的スキルの強化
- 過去問題で実力試し
Step1.基礎知識の習得
まず、ITサービスマネージャとしての基礎知識を身につけます。高度情報処理技術者試験なら共通で出題される、以下の知識を身につけましょう。
- IT関する基礎的な理論
- ネットワーク
- データベース
- セキュリティ
- サービスマネジメント
- システム開発技術
- 経営戦略マネジメント
- 法務
- 企業活動
- システム監査
ITの総合的な知識と監査に関する知識の両方が必要です。中でもシステム監査に関する問題は難易度が高い傾向にあります。Webサイトやインターネットスクール、書籍などを使って、知識として定着させましょう。
Step2.実践的スキルの強化
基礎を身につけたら、次に実践的なスキルを磨きます。システム監査技術者試験では、実際のシステム監査を想定した出題があるためです。
実践的なスキルを身につけるには、実際のシステム監査の事例を学ぶことをおすすめします。たとえば、過去に発生したITシステムの問題点やその解決策についての事例を分析するといった方法です。
システム監査に関する法律についての知識も必要なため、幅広く学習しましょう。
Step3.過去問題で実力試し
最後に、過去の試験問題を解きます。実際の試験に近い形で、知識とスキルを試す形です。
過去問を解き、試験の傾向と対策を理解しましょう。また、苦手な分野を特定できるため、集中的に対策を練られる点もメリットです。間違えた問題を分析し、ミスをなくしていってください。
今の実力なら合格できると確信したら、試験に申し込みましょう。
システム監査技術者試験の過去問題と対策方法
システム監査技術者試験の合格には、過去問題を使用した勉強が最適です。基礎的な知識が身についたら、過去問を繰り返し解きましょう。
過去問題は公式サイトにある
システム監査技術者試験の過去問題は、試験を主催するIPAの公式サイトで入手できます。過去問に挑戦するのに会員登録や費用も必要ないため、気軽に挑戦できます。
過去問を通して試験の内容と形式を理解できれば、リラックスして本番に臨めます。もし過去問の解説や補足情報が欲しいとなった場合は、出版社から発売されている過去問集がおすすめです。
過去問題を繰り返し解くことが大切
ITサービスマネージャ試験の試験対策として、過去問題を繰り返し解く方法が最も効果的です。ただ解くだけでなく、繰り返しとくことを意識してください。
過去問を解く中で、試験で求められる知識と技能を具体的に把握しましょう。その中で自分の弱点を見つけたら、重点的に潰していくと自信に繋がります。
より実践的に過去問に挑戦する場合は、時間を計って問題を解くことをおすすめします。試験当日の時間管理能力をリアルに味わえるため、試験の練習として効果的です。
システム監査技術者試験の資格の価値とキャリア展望
システム監査技術者試験の資格は、取得することでさまざまなキャリアを希望できます。システム監査ができる人材としてはもちろん、経営的視点を持つマネージャーとしてのキャリアにも期待できるでしょう。
ここからは、以下の2つの項目にわけて、それぞれ解説します。
- 資格の価値
- 合格後のキャリアパス
資格の価値
システム監査技術者試験の資格を取得すると、システム監査の専門家として証明できます。ITインフラが基本となった現代において、ITシステムの安全性や効率性を評価できる人材は貴重です。多くの企業にとって、欲しい人材となるでしょう。
また、システム監査技術者は、ITプロジェクトの品質保証やコンプライアンスの確保といった重要な役割を担う存在でもあります。ITを軸足にして、マネジメント寄りの仕事にチャレンジしたい方にとっても、価値のある資格です。
合格後のキャリアパス
システム監査技術者試験に合格後は、さまざまなキャリアパスがあります。例えば以下のようなキャリアです。
- システム監査員
- ITコンサルタント
- リスクマネージャー
- 公的機関や教育機関での講師
ITに関する経営的な知識も身につくため、監査以外の仕事もできるでしょう。監査員としてのキャリアを積むのであれば、公認システム監査人や公認会計士などを取得して、監査法人に転職する方法もあります。
合格することで、多くのキャリアに挑戦できるでしょう。
システム監査技術者試験は取得するとキャリアが拓ける資格
システム監査技術者試験は、独立した視点で、経営方針に対してシステムが正しく機能しているのかを監査する能力があると証明できる資格です。取得することで、システム監査人としてはもちろん、ITコンサルタントやリスクマネージャーといったキャリアにも挑戦できます。
その難易度は高く、合格率は15%と低い水準です。監査に関する法律知識も問われるため、万全の状態で挑戦することをおすすめします。
より経営に携わりたいと考えている方は、ぜひ挑戦してみてください。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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