PMPに比べると高コスパ IPA:プロジェクトマネージャ試験
システム開発プロジェクトにおいて、重要な役割を果たす存在がプロジェクトマネージャです。
プロジェクトマネージャ試験(PM)は、開発プロジェクトを取りまとめるプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャを目指す方が挑戦する資格となっています。
IT系の国家資格であるため日本国内の認知度も高く、取得すればキャリアアップの選択肢も増えることでしょう。
今回はそんなプロジェクトマネージャ試験について解説します。勉強すれば初学者の方でも挑戦できる資格です。ぜひ参考にしてください。
プロジェクトマネージャ試験の内容
プロジェクトマネージャ試験は、IPAが主催する「システム開発の上流工程を主導する能力」を証明する国家資格です。通称PMとも呼ばれています。
取得することで、組織の戦略に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任を持ってプロジェクトマネジメント業務を単独またはチームの一員として担う者と評価されます。
プロジェクトを取り巻く環境変化やステークホルダの多様な要求に柔軟に対応しながら、プロジェクトを確実に成功へ導くマネージャを目指す方にオススメです。
試験は午前と午後の2部制であり、以下の形で実施されます。
時間帯 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数と解答数 |
---|---|---|---|
午前Ⅰ | 9:30~10:20(50分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:30問 解答数:30問 |
午前Ⅱ | 10:50~11:30(40分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:25問 解答数:25問 |
午後Ⅰ | 12:30~14:00(90分) | 記述式 | 出題数:3問 解答数:2問 |
午後Ⅱ | 14:30~16:30(120分) | 記述式 | 出題数:2問 解答数:1問 |
IT系の国家資格で最高難易度
プロジェクトマネージャ試験は、高度情報処理技術者試験の中でもレベル4に位置する試験です。
システム開発プロジェクトの目的を実現するために、プロジェクトマネジメント業務の分担の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導する能力が問われます。
プロジェクトを成功に導くためには、様々な人の多様な要求に対して柔軟に対応しなければいけません。プロジェクトの責任者にとって必須のスキルです。
合格平均年齢も38歳と高く、プロジェクトの責任者として一定の経験を積んだ人が合格していると予想できます。
実務経験のあるエンジニアを対象とした難易度の高い資格なのです。
試験の概要
プロジェクトマネージャ試験は、プロジェクトを精巧に導くためのスキルはもちろん、プロジェクトメンバーを成長させるスキルを問われるのが特徴です。
午前と午後に分かれており、以下に関係する問題が出題されます。
- プロジェクトマネジメントに関する問題
- セキュリティに関する問題
- プロジェクトの立ち上げ・計画やチーム編成などに関する問題
- プロジェクトの実行・管理に関する問題
- プロジェクトの評価手法や完了基準に関する問題
プロジェクトマネジメント全般について問われているのがわかります。
プロジェクトの目標設定やチーム編成はもちろん、リスクの特定や品質計画などプロジェクトマネージャとして必要な項目ばかりです。中にはトラブルへの対処まで含まれています。
様々な知識や資質が総合的に必要とされる資格です。
プロジェクトマネージャについて詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
https://envader.plus/article/168
受験資格はなし
プロジェクトマネージャ試験に受験資格は設けられていません。年齢制限もないため、受けようと思えば誰でも受験できます。
ただし、エンジニア初学者の方や未経験の方は、合格が難しいでしょう。特に午後の問題は、実務経験に基づいた知識を問われることが多いため、経験の有無が大きな差となります。
例えばプロジェクトマネージャに関する試験としてPMP(Project Management Professional)がありますが、こちらは35時間の研修を受けなければいけません。プロジェクトマネージャ試験と比べると、受験のハードルが高くなっています。
プロジェクトマネージャが経験を重要視している証左です。初学者の方や未経験の方が挑戦する場合は、エンジニアとして現場経験を積み、開発プロジェクトの流れをある程度理解してから挑戦するようにしましょう。
年に1度だけ開催されている
プロジェクトマネージャ試験は、年に1度、10月にしか開催されていません。難易度が非常に高く合格率も低いことから、入念に準備をして挑戦するようにしましょう。
意識したいのが、実務経験者たちが挑戦しているのにも関わらず、平均15%前後しか合格していない点です。先述したように、ある程度の経験を積んでからの方が、リラックスして試験を受けられます。
年に1度だけの開催なのでチャンスは少ないのですが、しっかりと準備できる点は魅力と言って良いでしょう。
プロジェクトマネージャ試験の合格率は低い
プロジェクトマネージャ試験の合格率は、平均で15%前後と非常に低い水準です。実務経験者が多く挑戦しているのにも関わらず合格率が低いことから、難しいと予想できます。
IPAの統計資料から直近の合格率を調べると、以下の表のようになります。参考にしてください。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
平成30年度春期 | 18,212人 | 1,496人 | 13.2% |
平成31年度春期 | 17,588人 | 1,541人 | 14.1% |
令和2年度10月 | 9,672人 | 948人 | 15.1% |
令和3年度秋期 | 10,184人 | 959人 | 14.4% |
令和5年度秋期 | 11,754人 | 1,042人 | 14.1% |
プロジェクトマネージャ試験のオススメ試験対策
プロジェクトマネージャ試験は、テクノロジ系やストラテジ系、マネジメント系に関する知識を全般的に問われる試験です。合格するためには、広い知識を身につけなければなりません。
特に気をつけたいのが、マネジメント系の問題が頻出する午後の問題です。午前の部と比べて問題数が非常に少ないのですが、以下の知識が問われます。
- プロジェクトの立ち上げ・計画に関すること
- プロジェクトの実行・管理に関すること
- プロジェクトの終結に関すること
午後の部は、プロジェクトの立ち上げから終結までの一連の技能が必要です。一般論の解答が当てはまらない問題も多いことから、文章の読解力と共に説明する能力を身につけておきましょう。
問題文の読解力が不安な方は、IPAが配布している過去問を何度も解くことをオススメします。試験問題のパターンを掴めるため、本番でも緊張せずに解答できます。
過去問は公式サイトを参照する
プロジェクトマネージャ試験の過去問は、IPA公式サイトにあります。挑戦する際は、過去問を繰り返し解いていきましょう。
過去問と一緒に利用したいのが、参考書です。プロジェクトマネージャ試験は挑戦する方が多いのもあって、参考書が多くの出版社から出版されています。
基礎的な部分から学びたい場合は、まず参考書を使って理解度を深め、その後に問題集や過去問でアウトプットする方法がオススメです。
- 参考書をざっと読んで流れを掴む
- 各分野の細かい部分を覚えるために何度も読み返す
- ある程度できたら、問題集や過去問に取り組む
以上の流れが定番の方法となります。今の実力でなら合格できると確信したら、試験に申し込みましょう。
PMPと比較して
PMPはアメリカの非営利団体PMIが認定する国際的なプロジェクトマネージャーの認定資格です。難易度はIPAのプロジェクトマネージャー試験より高いとされています。 受験資格として3年の経験が求められるなどIPAのプロジェクトマネージャー試験に比べて敷居が高くなっています。 また、受験料も405~555ドルかかる上に定期的な更新費用も必要となります。日本国内限定の認定資格とはいえ7500円で更新料もないプロジェクトマネージャー試験とはかなりコストに差がつきます。
プロジェクトマネージャ試験の経験談・体験談
実際にプロジェクトマネージャ試験を受けた方の中には、経験談や体験談を記事にしている方もいます。合格した方の意見を見ることで、参考になる部分もあるでしょう。
ここからは、わかりやすく解説している以下の2つの記事を紹介します。
- 『見習いエンジ』:【プロジェクトマネージャ(PM)試験】独学受験記⑤ -試験当日の様子 -
- 『な~な~ななな~』:IPA プロジェクトマネージャ試験 合格体験記(2022年度)
『見習いエンジ』:【プロジェクトマネージャ(PM)試験】独学受験記⑤ -試験当日の様子 -
画像引用::「『見習いエンジ』:【プロジェクトマネージャ(PM)試験】独学受験記⑤ -試験当日の様子 -」
非情報系人材からSEをしている見習いエンジさんの体験記です。タイトルに「5」とあるように、複数の記事で細かく解説されています。
試験前日の準備から当日の試験会場の様子まで、細かく描かれています。実際に受験したからこその注意点もわかりやすく書かれているので、自分が受ける際のシミュレーションとしても活用できるでしょう。
難しいプロジェクトマネージャ試験の体験を、ユーモアを交えて解説してくれている記事です。
参考記事:「『見習いエンジ』:【プロジェクトマネージャ(PM)試験】独学受験記⑤ -試験当日の様子 -」
『な~な~ななな~』:IPA プロジェクトマネージャ試験 合格体験記(2022年度)
画像引用:「『な~な~ななな~』:IPA プロジェクトマネージャ試験 合格体験記(2022年度)」
Na7さんがシステムアーキテクト試験に挑戦し、3回目にして合格した際の体験が詳しく書かれている記事です。仕事・家事・育児をしながら、どうやって試験と向き合ったのか良く分かる内容となっています。
プロジェクトマネジメント業務に一切触れていない状態からの取得であるため、未経験の方の参考になるでしょう。
注目したいのが、午前と午後の試験にどのような対策を取り、結果どうだったのかという点です。特に午後の難しい部分は、気をつけた部分に加え、オススメの教本まで紹介されています。
細かい対策になりますが、小論文の書き方までフォローしてくれているのも嬉しいポイントです。プロジェクトマネージャ試験の合格を目指す初学者の方にとって、強い味方になってくれる内容となっています。
参考記事:「『な~な~ななな~』:IPA プロジェクトマネージャ試験 合格体験記(2022年度)」
プロジェクトマネージャ試験はITプロジェクト成功請負人を証明する資格
プロジェクトマネージャ試験は、プロジェクト管理スキルを証明できる国家資格です。プロジェクトに関わった経験や実績以外に、知識やスキルを証明する方法として活用できます。
取得すれば大規模プロジェクトの管理を任されるといった、プロジェクトマネージャとしての道が拓けるでしょう。
一方で、難易度が高く、合格者のほとんどが実務経験者です。エンジニア初学者の方や未経験の方が挑戦する場合は、事前の勉強を十分に行い、納得できる状態になってから挑戦してくださいね。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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