
情報処理安全確保支援士試験は、情報セキュリティ分野で高度な専門性を持ち、組織の安全を支える役割を担う人材を対象とした国家資格です。
サイバー攻撃や情報漏えいへの対策が重要視される中、技術だけでなく、リスクを整理し適切な対応を判断する視点が求められます。セキュリティ分野で専門性を高め、将来的に中核的な立場を目指したい方にとって、キャリアの方向性を考える手がかりとなる資格です。
本記事では、情報処理安全確保支援士試験の概要や試験内容を整理しながら、どのような役割を目指す人に向いている試験なのかを解説します。
情報処理安全確保支援士試験とは

情報処理安全確保支援士試験は、情報セキュリティ分野における高度な専門知識と実践的な判断力を評価するIT系国家資格です。サイバー攻撃や情報漏えいといったリスクに対して、技術面・運用面の両方から対応できるかが問われる試験であり、セキュリティを専門領域として担う人材の育成を目的としています。
情報処理安全確保支援士試験の内容

情報処理安全確保支援士試験では、情報セキュリティに関する知識量だけでなく、リスクを把握し、適切な対策を判断・整理できるかが重視されます。
試験で求められる主な内容は、以下のとおりです。
- 情報資産の管理と保護
- 情報セキュリティリスクの分析と対応
- セキュリティポリシーや要求事項の整理
- システム・業務におけるセキュリティ確保
- 外部委託・クラウド利用時のセキュリティ対応
- 情報セキュリティインシデントへの対応
- 法令・規程・コンプライアンスの理解
- 情報セキュリティマネジメントの継続的改善
特定の技術だけに偏らず、組織全体のセキュリティをどう維持・向上させるかという視点で出題される点が特徴です。
試験は午前と午後の2回に分けて行われ、以下のスケジュールで進みます。
| 時間帯 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数と解答数 |
|---|---|---|---|
| 午前Ⅰ | 9:30~10:20(50分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:30問 / 解答数:30問 |
| 午前Ⅱ | 10:50~11:30(40分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:25問 / 解答数:25問 |
| 午後 | 12:30~15:00(150分) | 記述式 | 出題数:4問 / 解答数:2問 |
情報処理安全確保支援士の登録制度について

情報処理安全確保支援士は、試験合格後に登録申請を行うことで名乗ることができる資格です。合格しただけでは資格として有効にならない点が特徴です。
登録後は、3年ごとの更新制度が設けられており、サイバーセキュリティに関する知識や技能を継続的に更新することが求められます。更新にあたっては、IPAが実施する講習への参加が必要です。
- IPA主催のオンライン講習(年1回)
- IPAまたは民間機関が実施する実践・特定講習(3年に1回)
これらの講習を通じて、最新のセキュリティ動向を継続的に学ぶ仕組みが整えられています。
情報処理安全確保支援士試験の難易度

情報処理安全確保支援士試験は、出題範囲が広く、実務を前提とした思考力が求められるため、難易度が高いと感じられやすい試験です。セキュリティに関する個別知識だけでなく、状況設定を読み取り、リスクを整理したうえで適切な対策を判断し、論理的に説明できるかが問われます。
特に午後試験では、現場に近いケースをもとにした記述式問題が出題されるため、理解が浅いままでは対応が難しくなります。セキュリティ分野を広く捉え、技術・運用・リスク対応を横断的に理解しているかが試される点が特徴です。
実際の合格率は、以下のようにおおむね20%前後で推移しています。
| 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
|---|---|---|---|
| 平成30年度秋期 | 15,257人 | 2,818人 | 18.5% |
| 平成31年度春期 | 14,556人 | 2,744人 | 18.9% |
| 令和元年度秋期 | 13,964人 | 2,703人 | 19.4% |
| 令和2年度10月 | 11,597人 | 2,253人 | 19.4% |
| 令和3年度春期 | 10,869人 | 2,306人 | 21.2% |
| 令和3年度秋期 | 11,713人 | 2,359人 | 20.1% |
| 令和4年度春期 | 11,117人 | 2,131人 | 19.2% |
| 令和4年度秋期 | 13,161人 | 2,782人 | 21.1% |
| 令和5年度春期 | 12,146人 | 2,394人 | 19.7% |
| 令和5年度秋期 | 14,964人 | 3,284人 | 21.9% |
| 令和6年度春期 | 14,342人 | 2,769人 | 19.3% |
| 令和6年度秋期 | 17,324人 | 2,615人 | 15.1% |
| 令和7年度春期 | 16,526人 | 3,134人 | 19.0% |
| 令和7年度秋期 | 18,816人 | 4,199人 | 22.3% |
出典:IPA公式 - 統計情報
情報処理安全確保支援士試験の対策・勉強方法

情報処理安全確保支援士試験は、サイバーセキュリティに関する知識を全般的に問われる試験です。中でも注意したいのが、筆記試験となる午後試験です。
午後試験は出題数が少ない代わりに、以下の能力が問われます。
- 問題に対する深い理解度
- 長文読解力
- アウトプット能力
これらは繰り返し過去問を繰り返して身につけるしかありません。何度も過去問を解き、理解度を深めていきましょう。
過去問は公式サイトにある

情報処理安全確保支援士試験の過去問は、IPA公式サイトにあります。挑戦する際は、過去問を繰り返し解いていきましょう。
また、参考書は多くの出版社から出版されています。基礎的な部分から学びたい場合は、まず参考書を使って理解度を深め、その後に問題集や過去問でアウトプットする方法がオススメです。
王道の方法ですが、難易度が高いのもあって最も取り組みやすい対策でもあります。挑戦できると確信できたら、試験に申し込みましょう。
情報処理安全確保支援士試験の将来性

情報処理安全確保支援士試験は、組織の情報セキュリティを専門的に支える人材であることを示せる国家資格です。
技術的な知識に加え、リスクを整理し、状況に応じた判断や対応を行える点が評価されます。
近年、サイバー攻撃の高度化やDX・クラウド活用の拡大により、セキュリティを専門領域として担える人材の需要は高まり続けています。企業にとって、情報セキュリティは「後回しにできない経営課題」の一つとなっており、支援士の役割は今後も重要性を増していくでしょう。
この資格を通じて身につく視点は、
- セキュリティエンジニア
- SOC/CSIRT担当
- セキュリティアーキテクト
- リスク管理・ガバナンス領域
といった、専門性の高いポジションへ進むための土台になります。
実装だけでなく、組織全体の安全を考える立場を目指したい方にとって、キャリアの方向性を明確にしやすい資格です。
組織の安全を支える専門資格

情報処理安全確保支援士試験は、セキュリティ分野で専門性を築き、組織を支える役割を担いたい人に向けた国家資格です。実務に即した判断力や俯瞰的な視点は、将来にわたって活かしやすい強みになります。
セキュリティを軸に、自身のキャリアを一段引き上げたい方にとって、検討する価値の高い試験といえるでしょう。
IPAの高度資格9種について
IPAの高度資格は9種類あります。それぞれの特徴やキャリア別に整理した以下の記事も参考にしてみてください。「今の立場」と「次に目指したい役割」から、自分に合う資格が見えてきます。
▼何がおすすめ?IPA 高度な知識・技能資格概要
https://envader.plus/article/200
参考資料
-
IPA - 情報処理安全確保支援士試験
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

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