情報処理安全支援士試験は、エンジニアの中でもセキュリティに特化した資格の取得を目指すのであれば、候補の1つとなる試験です。エンジニア初学者の方を含め、多くのエンジニアが注目している資格となっています。
一方で、難易度は非常に高く、スキルレベル4の最高難易度となっています。資格の取得を目指すのであれば、長時間の学習は必須です。
今回はそんな情報処理安全確保支援資格士試験について解説します。試験の概要はもちろん、対策や勉強方法、取得後のキャリア展望まで紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
情報処理安全確保支援士試験の概要
情報処理安全確保支援士試験は、情報セキュリティスペシャリスト試験の内容をベースに、2017年4月から始まった試験です。情報処理の促進に関する法律に基づいて、情報処理技術者としての知識やスキルがあることを認定する資格となっています。
試験は午前と午後の2回に分けて行われ、以下のスケジュールで進みます。
時間帯 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数と解答数 |
---|---|---|---|
午前Ⅰ | 9:30~10:20(50分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:30問 |
解答数:30問 | |||
午前Ⅱ | 10:50~11:30(40分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:25問 |
解答数:25問 | |||
午後 | 12:30~15:00(150分) | 記述式 | 出題数:4問 |
解答数:2問 |
春と秋の年2回にわたって実施されているため、比較的挑戦しやすい試験です。
サイバーセキュリティ分野の国家資格
情報処理安全確保支援士試験は、サイバーセキュリティ分野における国家資格です。試験を実施するIPAが、有資格者登録簿の管理や講習の実施を所管しています。
内容はシステム関連業務の中でも技術者寄りとなっているため、IT業界で働くエンジニアであるなら、取得しておいて損はないでしょう。
サイバーセキュリティ分野の国家資格を取得したいなら、ぜひ挑戦したい資格です。
情報系唯一の「士業」
情報処理安全確保支援士試験は、情報系で唯一の「士業」です。士業とは、原則として法律に則った独占業務を有している職業の俗称となります。代表的な士業は、以下です。
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 会計士
- ファイナンシャルプランナー(ファイナンシャル・プランニング技能士)
士業は他にもあるので、詳しいことは「あしたの人事Online」さんで確認してください。
いずれも専門的な知識が必要であり、各分野における専門的な知見を持っている証明でもあります。
難易度は高い
情報処理安全確保支援士試験は、難易度の高い試験です。IPAが所管する試験の中でも最高難易度のレベル4となっています。
合格するには満点の60%以上なのは、他の試験と同じです。しかし合格率は約20%程度と低く、容易に突破できない試験だと読み取れます。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
平成30年度秋期 | 15,257人 | 2,818人 | 18.5% |
平成31年度春期 | 14,556人 | 2,744人 | 18.9% |
令和元年度秋期 | 13,964人 | 2,703人 | 19.4% |
令和2年度10月 | 11,597人 | 2,253人 | 19.4% |
令和3年度春期 | 10,869人 | 2,306人 | 21.2% |
令和3年度秋期 | 11,713人 | 2,359人 | 20.1% |
令和4年度春期 | 11,117人 | 2,131人 | 19.2% |
令和4年度秋期 | 13,161人 | 2,782人 | 21.1% |
令和5年度春期 | 12,146人 | 2,394人 | 19.7% |
申請と更新が必要
情報処理安全確保支援士試験は、合格しただけでは効果を発揮しません。試験後に登録申請する必要があります。登録申請をして、初めて情報処理安全確保支援士を名乗れます。
注意したいのが、3年ごとに更新が必要な点です。サイバーセキュリティ対策に求められる知識や技能を常に最新の状態にアップデートし続けなければいけないため、以下に出席しなければいけません。
- IPA主催のオンライン講習(年に1回実施)
- IPAが実施する実践講習か民間企業が実施する特定講習(3年に1回)
これらを受講し、確認テストで全問正解をしないと、資格を剥奪されてしまいます。取得も難しいのですが、維持するのも難しい資格なのです。
情報処理安全確保支援士試験の内容と合格要件
情報処理安全確保支援士試験の試験内容は、非常に幅広い点が特徴です。情報セキュリティマネジメントについて構成され、以下の内容を問われます。
- 情報資産管理の計画
- 情報セキュリティリスクアセスメント及びリスク対応
- 情報資産に関する情報セキュリティ要求事項の提示
- 情報セキュリティを継続的に確保するための情報セキュリティ要求事項の提示
- 情報資産の管理
- 部門の情報システム利用時の情報セキュリティの確保
- 業務の外部委託における情報セキュリティの確保
- 情報セキュリティインシデントの管理
- 情報セキュリティの意識向上
- コンプライアンスの運用
- 情報セキュリティマネジメントの継続的改善
- 情報セキュリティに関する動向・事例情報の収集と評価
更に詳しい内容はUIPAの試験要項に詳しくまとめられています。セキュリティに関する知識が問われ、独学で目指すのなら200〜600時間ほど勉強時間が必要です。
午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後の試験全てで60%以上の得点を獲得しなければいけないため、総合的な知識が求められます。
全ての試験で充分な得点を取れるよう、学習しなければならないでしょう。
情報処理安全確保支援士試験の対策・勉強方法
情報処理安全確保支援士試験は、サイバーセキュリティに関する知識を全般的に問われる試験です。中でも注意したいのが、筆記試験となる午後試験です。
午後試験は出題数が少ない代わりに、以下の能力が問われます。
- 問題に対する深い理解度
- 長文読解力
- アウトプット能力
これらは繰り返し過去問を繰り返して身につけるしかありません。何度も過去問を解き、理解度を深めていきましょう。
過去問は公式サイトにある
情報処理安全確保支援士試験の過去問は、IPA公式サイトにあります。挑戦する際は、過去問を繰り返し解いていきましょう。
また、参考書は多くの出版社から出版されています。基礎的な部分から学びたい場合は、まず参考書を使って理解度を深め、その後に問題集や過去問でアウトプットする方法がオススメです。
王道の方法ですが、難易度が高いのもあって最も取り組みやすい対策でもあります。挑戦できると確信できたら、試験に申し込みましょう。
情報処理安全確保支援士試験の価値は高い
情報処理安全確保支援士試験は、取得難易度の高い試験です。そのため、以下の点でメリットのある資格となっています。
- サイバーセキュリティを体系的に学べる
- 自分の市場価値を高められる
- 資格手当や報奨金をもらえる可能性がある
- 時化の一部免除を受けられる
- キャリアアップに有効
国家資格であることから、取得するメリットは非常に大きいと言えます。学習する過程でサイバーセキュリティに関する知識を体系的に学べる点も大きいでしょう。
エンジニアとして自分の市場価値を高めたいのであれば、挑戦しがいのある資格です。
情報処理安全確保支援士試験を取得後のキャリア展望
情報処理安全確保支援士試験を取得後、キャリア展望はセキュリティ分野に向けると良いでしょう。身につけた知識を活かせます。
どのようなエンジニアを目指すのかは人によりますが、以下の点を意識して自身のキャリアを考えてみてください。
- 需要が増えている
- 将来性は明るい
需要が増えている
情報処理安全確保支援士試験を取得した人材の需要は、高まりつつあります。企業によっては情報処理安全確保支援士の必置を検討しているほどです。
近年、サイバー攻撃が巧妙化・過激化しています。何の対策もしないのは、企業にとって非常に大きいリスクです。
セキュリティに関する問題や不安は、多くの企業が抱えています。情報処理安全確保支援士となることで、そうした層に求められる人材になります。
将来性は明るい
情報処理安全確保支援士は、サイバーセキュリティに特化した人材です。多くの企業が取り入れているAIやDX、IoTにとっても必要不可欠な存在となっています。
ITを使った事業をする上で、セキュリティは必須です。今後、AIやDXを導入する企業はますます増えていくでしょう。
一方で、ITエンジニアの人材不足は深刻化しています。急に解消される問題ではないため、ITエンジニアは貴重な存在が続きます。情報処理安全確保支援士という国家資格を持った存在ならなおさらです。
ITがますます社会に普及していく中で、情報処理安全確保支援士を取得する未来は明るいと言えます。
情報処理安全確保支援士試験は取得メリットが大きい資格
情報処理安全確保支援士試験は、IPAが主催するサイバーセキュリティ分野の国家資格です。情報系唯一の士業であり、取得することで自分の市場価値を高められます。
一方で、難易度が非常に高く、高額率は20%代を推移しています。勉強時間が200〜600時間と長時間必要ですが、取得するメリットと比較すると少ない時間です。
IPAが過去問を無料で配布しているので、気になっている方は参考書を読み込みつつ、挑戦してみましょう。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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