インターネットが普及した現代において、情報セキュリティは大きな意味を持ちます。特に企業にとって、サイバー攻撃や情報漏洩といったリスクは防ぎたいもの。
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティに関する基礎的な知識を持っている証明になる資格です。取得することで、情報管理に関する能力を得られる他、就職や転職でも有利になるでしょう。
今回は、そんな情報セキュリティマネジメント試験について解説します。試験の内容はもちろん、「取得する効果」や「勉強方法」も紹介しているので、資格に挑戦する方は、ぜひ参考にしてください。
情報セキュリティマネジメント試験とは情報管理の能力を証明できる国家資格
情報セキュリティマネジメント試験は、情報管理の能力を証明できる国家資格です。2016年から始まった、比較的新しい試験となっています。
情報セキュリティを確保するには、様々な面からの取り組みが重要です。情報セキュリティマネジメント試験は、組織の情報セキュリティ確保に貢献し、脅威から継続的に組織を守るための基本的なスキルを認定する試験となっています。
IT社会において、重要な資格と言えるでしょう。
情報管理に関する能力が必要
ITが当たり前となった現代において、情報セキュリティは必須です。DXの推進や、AI・IoT・ビッグデータ活用など、企業活動においてセキュリティの強化は急務となっています。
そうした背景もあって、試験に合格するには、以下の情報管理に関する能力が必要です。
- ITによる対策(技術面の対策)
- 人による対策(管理面の対策)
セキュリティに関する対策知識を、ITと人の両方から問われます。情報セキュリティの知識を持った人間としての能力が問われる資格です。
試験の内容
情報セキュリティマネジメント試験は、全国にあるテストセンターで開催されています。
試験実施日 | 全国のテストセンターで毎日実施 |
---|---|
受験資格 | 誰でも可 |
出題分野 | 科目A試験:情報セキュリティの考え方ら管理方法など |
科目B試験:情報セキュリティの実践力 | |
合格要件 | 総合評価点:600点以上/1,000点 |
試験時間 | 120分 |
出題形式 | CBT方式 |
多肢選択式 | |
試験会場 | 全国47都道府県 |
試験の合格要件
情報セキュリティマネジメント試験の合格要件は、総合評価点で600点以上取らなければいけません。満点が1,000点なので、6割が得点圏です。
問題数は60問となっており、科目A試験が48問、科目B試験が12問で構成されています。CBT方式なため、非常に受験しやすい試験と言えるでしょう。
そんな情報セキュリティマネジメント試験の受験者数と合格者数は、以下のように推移しています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
平成30年度秋期 | 15,579人 | 7,220人 | 46.3% |
令和元年度秋期 | 14,355人 | 6,754人 | 47.0% |
令和3年度春期 | 14,089人 | 7,376人 | 52.4% |
令和4年度春期 | 13,131人 | 8,033人 | 61.2% |
合格率は50%前後です。比較的合格しやすい試験と言えるでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験の効果
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティに特化した国家資格です。取得することで、以下の効果に期待できます。
- 転職や就職で有利になる
- 上位の資格を目指せる
- 自分のためになる
就職や転職で有利になる
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティマネジメントの人材が欲しいという社会のニーズに応える形で新設された試験です。企業から情報セキュリティマネジメントの知識がある人材を求められている点は、間違いありません。
取得することで、就職や転職の際に有利に働くでしょう。アピールする手段の1つとして、有効です。
上位の資格を目指せる
情報セキュリティマネジメント試験を取得することで、情報セキュリティマネジメントの基礎知識やスキルが身につきます。それを足がかりに、専門的な上位資格に挑戦する方法も良いでしょう。例えば以下の資格です。
- 応用情報技術者試験
- ITストラテジスト試験
- 情報処理安全確保支援士試験
これらを取得すれば、情報セキュリティのエキスパートとして活躍できます。セキュリティエンジニアの道を志している初学者の方にとっても、良いステップアップとなります。
自分のためになる
情報セキュリティマネジメント試験は、企業のみならず自分にも効果を発揮します。パソコンやスマホなど、日常的に使っているデバイスを危険から守れるからです。
メールやアプリがウイルスに感染しているかの見極めはもちろん、感染させないための対策もできます。
自分を守るためという面においても、情報セキュリティマネジメント試験を取得する効果は大きいと言えるでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験の基礎知識・学習範囲
情報セキュリティマネジメント試験に挑戦するにあたって知っておきたいのが、出題範囲です。その名の通りセキュリティに関する問題が出ますが、どのような問題が出るのか気になる方も多いでしょう。
ここからは、以下の2つにわけて、詳しく解説します。
- 学習範囲
- 必要な学習時間
学習範囲
情報セキュリティマネジメント試験では、以下の領域が出題されます。
出題分野 | 出題内容 |
---|---|
情報セキュリティ全般 | 機密性・完全性・可用性、脅威、脆弱性、サイバー攻撃手法、暗号、認証など |
情報セキュリティ管理 | 情報資産、リスク、ISMS、インシデント管理などの各種管理策、CSIRTなど |
情報セキュリティ対策 | マルウェア対策、不正アクセス対策、情報漏洩対策、アクセス管理、情報セキュリティ啓発など |
情報セキュリティ関連法規 | サイバーセキュリティ基本法、個人情報保護法、不正アクセス禁止法など |
テクノロジ | ネットワーク、データベース、システム構成要素 |
マネジメント | システム監査、サービスマネジメント、プロジェクトマネジメント |
ストラテジ | 経営管理、システム戦略、システム企画 |
情報セキュリティの考え方を始め、情報セキュリティ管理の実践規範や各種対策、情報セキュリティ関連法規など、様々な知識が問われます。
この他、情報セキュリティ管理の実践力を問われる問題も出題されるため、深い領域まで理解しておきましょう。
必要な学習時間
情報セキュリティマネジメント試験を取得するのに必要な学習時間は、それほど多くありません。
未経験からの独学でも70時間ほどあれば可能です。先に受験日を決めておいて、逆算する形で学習計画を立てると良いでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験の勉強法・試験対策
情報セキュリティマネジメント試験の勉強法は、簡単です。以下の方法を繰り返して知識を深めていきましょう。
- 参考書を読み込む
- 過去問を解く
参考書を読み込む
情報セキュリティマネジメント試験の参考書は、様々な出版社から刊行されています。まずは参考書を読み込むところから始めましょう。
内容を十分に理解できたら、過去問題へ挑戦してください。
過去問題を解く
情報セキュリティマネジメント試験の合格には、過去問題を使用した勉強が最適です。基礎的な知識が身についたら、以下を意識して進めましょう。
- 過去問は公式サイトにある
- 過去問題を繰り返し解くことが大切。
過去問は公式サイトにある
情報セキュリティマネジメント試験の過去問題は、試験を主催するIPAの公式サイトで入手できます。過去問に挑戦するのに会員登録や費用も必要ないため、気軽に挑戦できます。
過去問を通して試験の内容と形式を理解できれば、リラックスして本番に臨めます。もし過去問の解説や補足情報が欲しいとなった場合は、出版社から発売されている過去問集がおすすめです。
過去問題を繰り返し解くことが大切
情報セキュリティマネジメント試験の試験対策として、過去問題を繰り返し解く方法が最も効果的です。ただ解くだけでなく、繰り返しとくことを意識してください。
過去問を解く中で、試験で求められる知識と技能を具体的に把握しましょう。その中で自分の弱点を見つけたら、重点的に潰していくと自信に繋がります。
より実践的に過去問に挑戦する場合は、時間を計って問題を解くことをおすすめします。試験当日の時間管理能力をリアルに味わえるため、試験の練習として効果的です。
情報セキュリティマネジメント試験を取得する価値とキャリア展望
情報セキュリティマネジメント試験は、多くの企業で求められている資格の1つです。取得することで、様々なキャリアへの道が開けるでしょう。
ここからは、以下の2つの項目にわけて、それぞれ解説します。
- 資格の価値
- 合格後のキャリアパス
資格の価値
情報セキュリティマネジメント試験は、社会のニーズに応える形で新設された資格です。そのため、資格の価値も大きいと言えます。
企業や官公庁、教育機関などで活用事例もあることから、現場で役立つ有用な資格です。企業によっては、奨励金や手当の支給もあるでしょう。
情報セキュリティが意識される現代において、資格の価値は非常に大きいと言えます。
合格後のキャリアパス
情報セキュリティマネジメント試験を取得後のキャリアは、様々です。より上位の資格に挑戦しても良いですし、以下のキャリアを進む方法もあります。
- セキュリティエンジニアを目指す
- IT利用者側として日常業務に活かす
- 社内の顧客からの情報セキュリティ相談に乗れる存在を目指す
エンジニア初学者の方や、IT系の職種以外の方が活用しやすい資格と言えるでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験は情報セキュリティに特化した国家資格
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティに特化した国家資格です。2016年に新設された新しい資格で、セキュリティを重要視する企業のニーズに応えたという背景があります。そのため、取得する意味が高いと言えるでしょう。
合格率は50%前後と高く、しっかり勉強すれば合格しやすい資格です。通年で開催されているので、エンジニア初学者の方や気になっている方は、ぜひ1度挑戦してみましょう。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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