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2024.07.20

エンジニア初心者が押さえておくべき生成AIの基本用語解説

はじめに

みなさん、生成AIは使っていますでしょうか?現代のエンジニアにとって、生成AIの技術を理解し、適切に活用することは不可欠です。生成AIは、新しいデータを生成する能力を持つ人工知能であり、テキスト、画像、音声、動画など、多様な形式のデータを生成することができます。この技術の急速な発展に伴い、異なる生成AIモデルを比較し、最適なものを選択するための知識が求められています。本記事では、生成AIの基本用語やパラメータについて、初心者向けに分かりやすく解説します。

生成AIはエンジニアの仕事を奪うなどと言われていますが、敵として警戒するのではなく、用いて使いこなす姿勢を持つことが大切です。生成AIは私たちの能力を拡張し、新たな可能性を開くツールです。正しい知識を身につけ、効果的に利用することで、生成AIの持つポテンシャルを最大限に引き出しましょう。

生成AIの基本概念

生成AIとは

生成AI(Generative AI)は、新しいデータを生成することができる人工知能技術です。既存のデータを基にして、新しいテキスト、画像、音声、動画など、様々な形式のデータを生成するために使用されます。生成AIは、創造的なタスクを自動化し、効率化することができるため、多くの分野で注目を集めています。例えば、マーケティングコンテンツの作成、ゲームや映画の制作、カスタマーサポートなど、幅広い用途で利用されています。

一言で言うと、生成AIは「新しいデータを自動で作り出すAI」です。

生成AIの代表例としては、テキスト生成AIのChatGPTや画像生成AIのDALL-E、音声生成AIのVALL-E、動画生成AIのGen-2などがあります。これらのモデルは、それぞれの用途に特化した高度な技術を持ち、ユーザーのニーズに応じたデータ生成を行います。

生成AIの主な種類と具体例

生成AIにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる形式のデータを生成します。以下に、代表的な種類と具体例を示します。

種類説明
テキスト生成AIユーザーが入力した質問や指示に対して回答を生成したり、テキストコンテンツを作成します。テキスト生成AIは、自然言語処理技術を利用して、人間らしい文章を生成する能力を持ちます。ChatGPT、Google Gemini
画像生成AIテキストやデータを基に新しい画像を生成します。画像生成AIは、コンピュータビジョン技術を活用して、指定された条件に基づいた画像を作成します。Midjourney、DALL-E
音声生成AI音声やテキストを基に新しい音声を生成します。音声生成AIは、音声合成技術を用いて、自然な話し声を生成することができます。VALL-E
動画生成AIテキストや画像を基に新しい動画を生成します。動画生成AIは、ディープラーニング技術を使用して、リアルな動画コンテンツを作り出します。Gen-2

パラメータ数とその重要性

生成AIの性能を理解し、最適化するためには、モデルのパラメータ数について知ることが重要です。パラメータ数は、モデルがどれだけ複雑なパターンを学習できるか、そしてどれだけの計算リソースが必要かを示します。ここでは、パラメータ数の定義とその重要性についてわかりやすく説明します。

パラメータ数の定義

パラメータは、生成AIモデルが学習する際に最適化される値で、モデルの性能に直接影響を与えます。例えば、ニューラルネットワークにおける重みやバイアスがこれに該当します。パラメータ数が多いほど、モデルはより多くのデータを記憶し、複雑なデータパターンを学習できますが、その分計算コストも増大します。そのため学習時間が長くなり、必要なハードウェアリソースも増加します。

パラメータ数とモデルの複雑さ

パラメータ数が多いモデルは、より高い性能を発揮する可能性がありますが、訓練に時間がかかり、リソースが多く必要になります。適切なパラメータ数の設定が重要です。次のポイントを考慮してください

計算リソースの確保

大規模なモデルは、高性能なハードウェア(GPUやTPUなど)を必要とします。パラメータ数が増えると、これらのリソースが増大するため、予算やインフラストラクチャの制約を考慮する必要があります。

訓練時間

パラメータ数が多いモデルは、訓練に長い時間がかかります。これは、モデルの開発サイクルを遅らせる可能性があるため、プロジェクトのスケジュールに影響を与えることがあります。

過学習のリスク

パラメータ数が多いモデルは、訓練データに対して過度に適応しやすく、新しいデータに対する汎化性能が低下するリスクがあります。適切な正則化技術を使用することで、過学習を防ぐことができます。

生成AIモデルの開発において、パラメータ数の最適な設定を見つけることは非常に重要です。モデルの性能を最大限に引き出し、計算リソースや訓練時間を効率的に管理することができます。

モデルの性能を最大限に引き出し、計算リソースや訓練時間を効率的に管理するために、生成AIモデルの開発においてパラメータ数の最適な設定を見つけることが非常に重要です。

モデルサイズと実用性

生成AIのモデルサイズは、モデルが使用するメモリ量やストレージ容量を指します。通常、トレーニングは高性能な計算環境で実施されます。ここでは、モデルサイズの定義とその実用性について説明します。

モデルサイズの定義

モデルサイズは、モデルのパラメータ数や計算リソースの要件に関連します。例えば、最新のGPT-4やGeminiのような大規模モデルは数十億から数兆のパラメータを持ち、これには大量のメモリとストレージが必要です。

トレーニング環境

大規模な生成AIモデルのトレーニングは、通常、以下のような高性能な環境で行われます。

  • 高性能GPU/TPUを使用して、大量の計算を迅速に行います。これにより、トレーニング時間を短縮できます。
  • クラウドサービスを利用することで、AWSやGoogle Cloud、Microsoft Azureなどの大規模な計算リソースを柔軟に使用できます。これにより、初期投資を抑えつつ高い計算能力を確保できます。
  • 専用のデータセンターでは、大規模なトレーニングデータと計算リソースを管理し、効率的なトレーニングが可能です。

モデルサイズの実用的な考慮点

  • 計算リソースとコスト
    大規模モデルは高性能なハードウェアを必要とし、運用コストも高くなります。小規模モデルや量子化技術を使用することで、コストを削減できます。
  • モバイルデバイスでの運用
    モバイルデバイスで使用する場合、小型で効率的なモデルが求められます。大規模モデルはリソースを多く消費するため、スマートフォンやタブレットでは実行が難しいことがあります。
  • 推論時間とリアルタイム処理
    リアルタイム処理が求められるアプリケーションでは、推論時間が短いモデルが望まれます。小型モデルや量子化されたモデルは、推論時間を短縮し、リアルタイム処理に適しています。

モデルサイズの選択は、アプリケーションの要件、利用可能なリソース、運用コストを総合的に考慮して行う必要があります。これにより、効率的で効果的なAIソリューションを実現することができます。

訓練データの重要性

訓練データの役割

生成AIの性能は、訓練データの質と量に大きく依存します。高品質なデータが必要であり、データバイアスを避けるための適切なデータ選定と前処理が求められます。訓練データが豊富で多様であるほど、モデルは幅広い状況に対応できるようになります。

データ前処理

データクリーニングや正規化は、モデルの性能を向上させるために重要です。以下のポイントに注意してデータを前処理します。

  • データクリーニング
    データセットから不適切なデータや欠損値を除去します。これにより、モデルが正確に学習できる環境を整えます。

  • データ正規化
    データのスケールを統一することで、モデルの学習がスムーズになります。特に数値データの場合、標準化や正規化を行うことが一般的です。

  • データバイアスの除去
    訓練データに偏りがあると、モデルも偏った学習をしてしまいます。データの多様性を確保し、バイアスを避けることが重要です。

適切なデータ前処理を行うことで、モデルの精度を高め、実際の応用においても信頼性の高い結果を得ることができます。

性能評価指標

生成AIモデルの性能を評価するためには、さまざまな指標が使用されます。ここでは、一般的に用いられる主要な評価指標について説明します。

精度 (Accuracy) とその計算方法

精度は、モデルが正しく予測した割合を示します。これは、全予測数に対する正しい予測数の比率で計算されます。高い精度は、モデルが入力データに対して適切に応答していることを意味します。ただし、精度はクラスの分布が均等でない場合に限界があります。

計算方法

[ \text{精度} = \frac{\text{正しい予測数}}{\text{全予測数}} ]

F1スコア

F1スコアは、精度(Precision)と再現率(Recall)のバランスを測る指標です。特に、不均衡なデータセットにおいて重要です。F1スコアは、精度と再現率の調和平均として計算され、両者のバランスが重要な場合に適しています。

計算方法

[ \text{F1スコア} = 2 \times \frac{\text{精度} \times \text{再現率}}{\text{精度} + \text{再現率}} ]

BLEUスコア

BLEU(Bilingual Evaluation Understudy)スコアは、生成されたテキストの品質を評価するための指標で、特に翻訳やテキスト生成タスクで使用されます。BLEUスコアは、生成されたテキストと参照テキストとの一致度を計測し、高いスコアはより高品質な生成テキストを示します。

計算方法

BLEUスコアは、n-gramの一致度を基に計算され、特定の計算式を用いて累積的に評価されます。具体的な計算には、いくつかのステップが含まれますが、一般的には次のように行われます。

  1. 生成テキストと参照テキストのn-gram一致数を数える
  2. 一致数に基づいて精度を計算する
  3. ブレベティペナルティ(文の長さに基づくペナルティ)を適用する

これらの評価指標を使用することで、生成AIモデルの性能を多角的に評価し、改善のための具体的な方向性を見つけることができます。

応答時間とスループット

生成AIの性能を評価するためには、応答時間とスループットの指標も重要です。これらの指標は、モデルの実用性とユーザーエクスペリエンスに直接関係します。

応答時間 (Latency)

応答時間は、モデルが入力に対して応答を返すまでの時間を指します。迅速な応答は、ユーザーエクスペリエンスを向上させるために重要です。特にリアルタイムアプリケーションでは、低いレイテンシーが求められます。以下の点を考慮する必要があります。

  • ハードウェアの性能向上により、高性能なGPUやTPUを使用することで、応答時間を短縮できます。
  • モデルの最適化を行うことで、量子化や蒸留技術を使用し、計算効率を向上させて応答時間を短縮できます。
  • インフラの配置を工夫することで、クラウドサービスやエッジコンピューティングを活用し、ユーザーに近い場所で処理を行うことで応答時間を減少させることが可能です。

スループット (Throughput)

スループットは、一定時間内に処理できるデータの量を示します。高いスループットは、効率的なデータ処理を意味し、特に大規模なデータセットや複数のリクエストを同時に処理する場合に重要です。

  • バッチ処理を活用することで、一度に多くのリクエストを効率的に処理できます。
  • 並列処理を実施し、複数のプロセッサやスレッドを活用してスループットを向上させることが可能です。
  • スケーラビリティの確保により、システムが負荷に応じて柔軟にスケールアップまたはスケールダウンできるように設計することが重要です。

応答時間とスループットを最適化することで、生成AIモデルの実用性を最大化し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。これらの指標をバランスよく改善することが、効果的なAIソリューションの実現に繋がります。

モデルの汎化能力

生成AIモデルの性能を評価する際に重要な概念の一つに「汎化能力」があります。これは、モデルが訓練データ以外の新しいデータに対してどれだけ良く応答できるかを示します。ここでは、過学習と汎化性能について詳しく説明します。

過学習 (Overfitting)

過学習とは、モデルが訓練データに対して過度に適応しすぎてしまい、新しいデータに対してうまく応答できなくなる現象を指します。過学習が発生すると、モデルは訓練データに含まれるノイズや特異なパターンまで学習してしまい、一般化する能力が低下します。これを防ぐための方法として以下の技術が有効です。

  • 正則化
    モデルの複雑さを抑えるために、L1正則化やL2正則化を用いることが一般的です。これにより、モデルの過度な適応を防ぎます。

  • データ拡張
    訓練データを増やすために、データ拡張技術を使用します。例えば、画像データの場合、回転や反転、スケーリングなどを行います。これにより、モデルがより多様なデータに対して適応できるようになります。

汎化性能 (Generalization)

汎化性能は、モデルが見たことのないデータに対してどれだけ良く応答できるかを示す指標です。これは、モデルが実際の運用環境でどの程度役立つかを評価するために重要です。以下の方法で汎化性能を評価します。

  • データ分割
    訓練データを訓練セットとテストセットに分割します。モデルを訓練セットで学習させた後、テストセットで評価することで、モデルの汎化性能を測定します。

  • 交差検証
    データを複数の部分に分け、それぞれを交互に訓練セットとテストセットとして使用します。これにより、データの分割による偏りを減らし、より正確な汎化性能を評価できます。

汎化性能を高めることは、実際の運用環境でモデルが正確かつ信頼性のある予測を行うために不可欠です。過学習を防ぎ、汎化性能を最適化することで、生成AIモデルの実用性を最大化することができます。

モデル選択の指針

生成AIを選択する際には、以下の要素を考慮することが重要です。

  1. タスクの種類

    目的に合ったAIモデルを選択します。例えば、テキスト生成にはテキスト生成AI、画像生成には画像生成AIが適しています。具体的なタスクに特化したモデルを選ぶことで、より効果的な結果を得ることができます。

  2. パラメータ数

    使用するハードウェアや計算リソースに応じて、適切なパラメータ数のモデルを選びます。大規模なモデルは高い性能を発揮しますが、リソースの消費も多くなります。一方、小規模なモデルはリソース効率が良く、特定のタスクに対して十分な性能を発揮することがあります。

  3. モデルサイズ

    使用環境(モバイルデバイスやクラウドなど)に応じたモデルサイズを選択します。モバイルデバイスでは、小型で効率的なモデルが求められ、クラウド環境では大規模なモデルも実用的です。運用コストやデバイスの制約を考慮して、適切なサイズのモデルを選びます。

  4. 訓練データの質

    利用可能なデータの質と量に基づいて、適切なモデルを選びます。高品質で多様な訓練データがモデルの性能向上に寄与します。データのバイアスを避けるために、適切なデータ選定と前処理が必要です。

  5. 性能評価指標

    精度、F1スコア、BLEUスコアなどの評価指標を考慮してモデルの性能を評価します。これらの指標を用いて、モデルが特定のタスクに対してどれだけ効果的に機能するかを判断します。

  6. 応答時間とスループット

    アプリケーションの要件に応じて、応答時間やスループットを最適化します。リアルタイム処理が求められる場合は、応答時間が短いモデルが必要です。また、大規模なデータ処理を効率的に行うためには、高いスループットが求められます。

以上の要素をバランスよく考慮することで、特定のニーズに最適な生成AIモデルを選択し、効果的に活用することができます。

まとめ

生成AIの比較において重要なパラメータや用語について理解することは、適切なモデルを選択するために不可欠です。しかし、最も重要なのは、まずは実際に生成AIを触ってみることです。実際に使用することで、理論だけでは得られない実践的な理解を深めることができます。生成AIのモデルを試し、実際の動作を観察し、自分のプロジェクトに最適なモデルを見つけることが大切です。先般発表されたOpen AI GPT-4o miniは、4oに比べて1/30という低コストで試すことができます。もはやコストは気にならないレベルです。

多くの企業が生産性を高めるために生成AIを活用しています。例えば、GitHubでは開発者が生成AIツールを使用してコードの初期ドラフトを迅速に作成し、McKinsey & Companyではコンサルタントが生成AIを活用して業務の効率化と質の向上を実現しています。また、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)も同様に生成AIを利用して、生産性を向上させています。

生成AIに関する情報や研究は英語での資料が多いため、言語の壁を感じるかもしれません。しかし、Deeplなどの翻訳AIを利用することで、これらの情報にアクセスしやすくなります。言語的な障壁を乗り越え、多くの高品質な資料を活用して知識を深めてください。

参考資料

【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

IT未経験者必見 USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。

「フリーランスエンジニア」

近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。

「成功する人とそうでない人の違いは何か?」

私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。

比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。

多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、

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エンベーダー編集部

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