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2023.12.25

TerraformでAWS Cognitoの認証機能を活用

この記事の目的

この記事では、AWS Cognitoの基本概念と機能、そしてそれを利用する具体的な利点を理解することを目指しています。開発者や技術関係者がCognitoの機能を活用して、セキュリティが強化された効率的なユーザー認証システムを構築する方法について具体的な知識を提供します。

AWS Cognitoの概要

AWS CognitoはAmazon Web Servicesが提供する認証・認可・ユーザー管理サービスです。このサービスは、ウェブやモバイルアプリケーションに対して、安全かつスケーラブルなユーザー認証とアクセス制御を提供します。

要するに、AWS Cognitoは、ウェブやモバイルアプリケーションの「玄関」のようなものです。

ユーザーがアプリケーションにアクセスする際には、まずAWS Cognitoの「玄関」を通り抜けなければなりません。AWS Cognitoは、ユーザーの身元を確認して、アプリケーションにアクセスする権限があるかどうかを判断します。

具体的な利用例

例として、スタートアップ企業が新しいウェブアプリケーションを開発している状況を想定します。このアプリケーションでは、ユーザーがアカウントを作成し、ログインしてさまざまなサービスにアクセスする必要があります。開発チームは、セキュリティと使いやすさを重視しながら迅速に認証システムを構築する必要があります。

AWS Cognitoを使用すると、このチームは短期間で安全なユーザー認証システムを実装できます。Cognitoのユーザープールを使用してユーザー登録とサインイン機能を迅速に導入し、FacebookやGoogleなどの外部アイデンティティプロバイダーを通じたログインをサポートできます。さらに、多要素認証(MFA)を簡単に設定してセキュリティを強化することも可能です。

この例では、Cognitoがいかにして開発プロセスを加速し、同時にセキュリティとスケーラビリティを提供するかが示されています。開発チームは認証システムの複雑さに時間を費やすことなく、アプリケーションの他の重要な機能開発に集中できます。

IaCツールTerraformとは何か

CognitoのデプロイをIaCツールであるTerraformで実施していきます。 Terraformは、インフラストラクチャーをコード(IaC)として管理するためのオープンソースツールです。これにより、クラウドリソースのプロビジョニングと管理を自動化し、環境の再現性と追跡性を向上させます。特にAWSリソースの管理において、Terraformは一貫性と効率性を提供し、設定ミスや手作業によるエラーを削減します。

IaCとTerraformについては、こちらの記事で詳しく解説をしています。

https://envader.plus/article/136

Cognitoのハンズオン

AWS Cognitoユーザープールとは

AWS Cognitoユーザープールは、ユーザーのサインアップやサインインなどの認証プロセスを管理するためのフルマネージドサービスです。ユーザープールにより、アプリケーションはユーザー認証情報を直接扱うことなく、安全な認証とユーザー管理機能を提供できます。

以下はTerraformでCognitoをセットアップするハンズオンです。

Terraformのインストールと設定

まず、Terraformをインストールし、AWSの認証情報を設定します。これには、AWS CLIとAWSのアクセスキーとシークレットキーが必要です。Terraformのウェブサイトから自分のOSに応じたインストーラーをダウンロードし、指示に従ってインストールします。

https://developer.hashicorp.com/terraform/install

Terraformコンフィグレーションファイルの作成

次に、Cognitoユーザープールを構築するためのTerraformコンフィグレーションファイル(例:cognito.tf)を作成します。以下は基本的なCognitoユーザープールを定義するTerraformコードの例です。

provider "aws" {
  region = "ap-northeast-1"
}

resource "aws_cognito_user_pool" "my_user_pool" {
  name = "my-user-pool"

# Security Hubのセキュリティ基準に従ったパスワード設定
  password_policy {
    minimum_length    = 14
    require_lowercase = true
    require_numbers   = true
    require_symbols   = true
    require_uppercase = true
  }

# MFA認証の有効化
  mfa_configuration {
  required = true
 }
}

このコードは、最低限の設定でユーザープールを作成します。パスワードポリシーはカスタマイズ可能です。

Terraformの実行

コンフィグレーションファイルを作成したら、以下のコマンドを実行して、AWSにCognitoユーザープールをデプロイします。

terraform init
terraform plan
terraform apply

terraform init は、Terraformがプロジェクトを初期化し、必要なプラグインをダウンロードします。terraform plan は提案される変更を表示し、terraform apply で実際にリソースを作成します。

確認と管理

terraform apply の実行後、AWSコンソールから作成されたCognitoユーザープールを確認できます。また、Terraformを使用して、ユーザープールの設定変更や追加リソースの管理が可能です。

Cognitoの高度な機能の活用

AWS Cognitoは、基本的なユーザー認証と管理機能だけでなく、高度なカスタマイズと統合のオプションも提供しています。開発者はアプリケーションのニーズに合わせて柔軟な認証フローを実装できます。

カスタム認証フロー

Cognitoでは、Lambdaトリガーを使用して、認証プロセスの任意の段階でカスタムロジックを実行できます。標準的なユーザー名とパスワードによる認証の代わりに、特定のビジネスロジックやユーザー検証手順を組み込むことが可能です。

例えば、企業向けのアプリケーションでは、ユーザーが特定の役職や部署に所属していることを検証するために、カスタム認証フローを活用できます。また、ソーシャルゲームやオンラインショッピングのアプリケーションでは、ユーザーのデバイス情報や位置情報を基に、不正ログインを検知するためにカスタム認証フローを活用できます。

フェデレーションアイデンティティの統合

Cognitoは、フェデレーションアイデンティティをサポートし、Facebook、Google、Amazonなどのソーシャルアイデンティティプロバイダー(IdP)や、企業向けのSAMLベースのIdPとの統合が可能です。これにより、ユーザーは既存のアカウントを使用してアプリケーションにログインでき、アプリケーションはユーザーのソーシャル情報を利用してパーソナライズされたエクスペリエンスを提供できます。

例えば、FacebookやGoogleなどのソーシャルメディアアカウントでログインできるアプリケーションでは、フェデレーションアイデンティティの統合を活用することで、ユーザーの利便性を向上させることができます。また、企業向けのアプリケーションでは、社内のActive DirectoryやSAMLベースのIdPと統合することで、シングルサインオンを実現できます。

カスタムUIとユーザーエクスペリエンス

Cognitoは、カスタムUIの構築をサポートし、アプリケーションのブランドやデザインに合わせた認証画面を作成できます。また、CognitoはレスポンシブなWeb UIやネイティブモバイルアプリケーション用のUIを提供し、エンドユーザーに最適化されたサインイン体験を提供します。

例えば、高級感のあるブランドイメージを重視するアプリケーションでは、カスタムUIを活用して、洗練されたサインイン体験を実現できます。また、モバイルデバイスで使用されるアプリケーションでは、レスポンシブなUIを活用して、さまざまな画面サイズに対応したサインイン体験を提供できます。

TerraformでのCognitoの管理と運用

Terraformを使用してAWS Cognitoを管理することは、変更管理、バージョニング、そしてセキュリティの面で多くの利点をもたらします。

変更管理

Terraformを使用すると、Cognitoの設定変更がコードとして記述され、追跡しやすくなります。設定変更をより透明かつ制御された方法で行うことが可能です。例えば、新しい認証ポリシーの導入やユーザープールの属性の変更などが、コードレビューと承認プロセスを経て確実に適用されます。

バージョニング

Terraformのコードはバージョン管理システム(例えばGit)で管理されるため、過去の変更を簡単に追跡し、必要に応じて以前のバージョンに戻すことができます。これにより、Cognito設定のバージョン履歴が明確になり、変更点の理解とトラブルシューティングが容易になります。

セキュリティのベストプラクティス

Terraformを利用することで、Cognitoのセキュリティ設定を一元的に管理し、一貫したセキュリティポリシーを適用することが可能です。例えば、多要素認証の強制、パスワードポリシーの設定、アイデンティティプロバイダーのセキュアな統合などが、コードベースで一貫して管理されます。

まとめ

Cognitoの管理と運用をTerraformで効率化

Cognitoは、ユーザー認証と管理を提供するサービスです。Terraformは、インフラストラクチャをコードで管理するためのツールです。Terraformを使用してCognitoを管理することで、変更管理、バージョニング、セキュリティの面での利点を得ることができます。Cognitoの管理と運用を担当するエンジニアは、Terraformの活用を検討することをおすすめします。

参考資料

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/cognito/latest/developerguide/what-is-amazon-cognito.html

https://registry.terraform.io/providers/hashicorp/aws/latest/docs/resources/cognito_user_pool

エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

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