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2025.11.25

IaCとは?初心者にもわかる!インフラの自動化入門

はじめに

「IaCというのを知ったけど、よくわからない」

「初心者の自分でもIaCを使ってインフラを自動化できる?」

こんな疑問をお持ちではないでしょうか。

実は、IaCは初心者でも段階的に理解すれば、決して難しくありません。この記事では、IaCの基本から実際に手を動かす体験まで、分かりやすく解説します。

この記事で分かること:

  • IaCの基本と、なぜ必要なのか
  • 主要ツールの選び方
  • 実際にインフラをコード化する体験

それでは、IaCの世界へ一緒に踏み出しましょう。

IaCとは

IaC(Infrastructure as Code)は、サーバーやネットワークなどのインフラ構成をコードとして管理し、同じ環境を何度でも再現できるようにする仕組みです。コードが設計図の役割を持つため、手作業より安定してインフラを整えられます。

IaCで何ができるようになったか

IaCを使うと、インフラの構築や変更を自動で行えるようになります。管理画面で同じ操作を繰り返す必要がなくなり、環境を作る作業が効率化されます。

複数の環境を同じ設定で作れる

開発・テスト・本番といった複数の環境を、同じコードから生成できます。設計図であるコードから同じ環境を構築できるため、本番だけ設定が違うといったズレも防げます。

大量のサーバーも一度に作れる

「サーバーを10台作る」とコードに書けば、そのとおりに自動で作成できます。台数を変えたいときは数字を書き換えるだけで対応でき、規模の拡大にも柔軟に使えます。

すべての環境に変更を一度に反映できる

共通のコードから作った環境であれば、コードを修正して実行するだけで、全ての環境に同じ変更を適用できます。Gitと組み合わせれば、変更履歴を残しながら安全に管理でき、問題が起きた場合も以前の状態に戻せます。


従来は管理画面を操作して手作業で設定する必要があり、同じ環境を複数作る場合は同じ手順を繰り返していました。IaCなら一度書いたコードを実行するだけで環境を再現できるため、作業時間の削減と設定ミス防止につながり、現在のインフラ管理で欠かせない技術となっています。

IaCのメリット・デメリット

IaCを導入すると、環境構築の安定性や変更管理のしやすさが向上し、長期的な運用コストを抑えられます。一方で、導入までに一定の学習コストが発生する点は注意が必要です。

「Iacを導入すべきか?」「従来の方法でも良いのでは」と疑問を持ち、迷われている方も多いかと思います。このセクションの内容を、ぜひ判断材料にしていただければと思います。

IaCのメリット

開発・リリースのスピードが向上

構築作業が安定して再現できるようになるため、環境準備の待ち時間が大幅に減ります。新しい機能を素早く試せるようになり、開発全体のテンポが整うのが大きな利点です。

運用の手間とコストを削減

運用中に発生する設定変更やメンテナンス作業を、コードにまとめて反映できるようになります。人手による作業が減ることで、設定ミスの発生率も下がり、障害対応にかかる負荷も軽減できます。

チーム開発での保守性の向上

環境設定の内容がコードとして共有されることで、「担当者にしか分からない設定」が減ります。情報の透明性が高まり、引き継ぎやレビューも行いやすくなるため、チーム全体の再現性と品質を保ちやすくなります。

IaCのデメリット

学習に時間がかかる

IaCツールの使い方や、インフラをコードに整理する考え方を習得する必要があります。個人だけでなくチーム全体で扱う場合は、教育やキャッチアップの時間も見込むことが大切です。

初期導入に工数がかかる

既存環境をコード化する際、現在の設定内容を整理し直す必要があります。特に複雑な環境では、移行作業に時間がかかるだけでなく、現状の設定を「棚卸し」する作業も発生します。

デメリットはありますが、一度IaC化すればその後の運用がスムーズになり、環境変更や担当者交代による混乱が起こりにくくなります。複数の環境を継続的に管理している場合や、変更頻度が高いプロジェクトでは、導入の効果を特に実感しやすい手法と言えます。

IaCの構成管理ツール|主要ツールの比較

IaCを実践するには、インフラ構成をコードどおりに作成・更新してくれる構成管理ツールを利用します。どのツールを選ぶかで運用のしやすさが変わるため、最初の選定が重要になります。

IaCで特に比較されることが多いのが CloudFormationTerraform の2つです。どちらもインフラをコード化するためのツールですが、対応範囲や使い勝手に違いがあります。本記事では、この2つに絞って特徴を整理します。

CloudFormationとTerraformの特徴

CloudFormationとTerraformの違いを一目で比較できるよう、特徴を表にまとめます。

ツール名対応クラウド記述方法学習難易度おすすめの人
CloudFormationAWS専用JSON/YAML低〜中AWSのみを使う初心者
Terraformマルチクラウド(AWS、Azure、GCPなど)HCL(独自言語)マルチクラウド環境を管理したい

AWS環境のみの場合

AWSのみを利用する環境であれば、CloudFormationが扱いやすい選択です。追加のインストールが不要で、AWSコンソールからすぐに試せるため、初めてIaCを触る人でも取り組みやすい点が魅力です。YAMLで記述できるため、設定内容を把握しやすいのも特徴です。

複数のクラウドを使う場合

AWS・GCP・Azureなど複数クラウドを扱う場合は、Terraformが便利です。普及率が高く日本語の情報も豊富なため、調べながら進めやすく、学習コストを抑えやすい点が利点です。公式ドキュメントも整っており、独学で進めたい人にも向いたツールです。

CloudFormationとTerraformの比較は、以下の記事で詳しく解説しています。ツール選定の参考として役立ちます。

▼CloudFormation vs Terraform どっちを選ぶ?自動化ツールの違いと選定ポイント

https://envader.plus/article/503

IaC 実践ハンズオン|AWS S3を構築してみよう

IaCの基本を体験するには、CloudFormationでAWS S3バケットを作成する方法が分かりやすいです。追加のインストールが不要で、AWSコンソールからすぐに試せるため、初めてIaCに触れる方でも取り組みやすい内容になっています。数行のコードを書くことで、インフラをコードとして管理できる感覚を得られます。

このセクションで得られること

  • IaCコードの基本的な書き方の理解
  • インフラがコード化される流れの体感
  • 「自分にもできる」という経験

前提条件

以下があれば、すぐに試せます。

  • AWSアカウント(無料枠で十分)

  • IAMユーザーの場合、CloudFormation と S3 の操作権限

    このハンズオンは、以下の権限を持つIAMユーザーで操作しています。

    • CloudFormation:AWSCloudFormationFullAccess
    • S3:AmazonS3FullAccess
  • テキストエディタ(VSCodeなど)

追加のソフトウェアをインストールする必要はありません。

このハンズオンに料金は発生しません

今回作成するS3バケットは空の状態で作られるため、料金は発生しません。S3は「バケットを作成しただけ」では費用が発生せず、課金対象となるのは中に保存したデータ量です。有料アカウントを利用している場合でも、今回の手順は追加費用なく実行できます。


1:CloudFormationテンプレートを作成

テキストエディタで以下の内容を記述し、s3-bucket.yaml として保存します。

AWSTemplateFormatVersion: '2010-09-09'
Description: 'Simple S3 Bucket for IaC Demo'

Resources:
  MyS3Bucket:
    Type: AWS::S3::Bucket
    Properties:
      BucketName: my-iac-demo-bucket-envader123
      Tags:
        - Key: Name
          Value: My IaC Demo Bucket

このコードが意味すること

項目内容
AWSTemplateFormatVersionCloudFormationテンプレートの書式バージョン
Descriptionこのテンプレートの説明文
Type: AWS::S3::BucketS3バケットを作成する指定
BucketName作成するバケット名(世界で一意にする必要がある)
Tagsリソースに付けるタグ情報

短い記述ですが、この内容だけでインフラの構成を「コード」として表現できます。

※S3バケット名は世界で一意にする必要があります。envader123 の部分を適宜書き換えてご利用ください。

2:AWSマネジメントコンソールにログイン

AWSマネジメントコンソールにログインします。

3:CloudFormationサービスを開く

AWSコンソール上部の検索欄で「CloudFormation」と入力し、サービス画面を開きます。

4:スタックを作成

  1. 「スタックの作成」をクリック

  2. 「既存のテンプレートを選択」を選択

  3. 「テンプレートファイルのアップロード」を選択

  4. ファイルの選択をクリック

  5. s3-bucket.yaml をアップロード

  6. 「次へ」をクリック

5:スタックの詳細を指定

  1. スタック名に iac-demo-stack と入力し、「次へ」をクリック

  2. スタックオプションの設定はそのまま「次へ」をクリック

    ※この画面はすべて初期設定のままで問題ありません

  3. 内容を確認して「次へ」をクリック

    ※画面下部に「IAMロールを取得できませんでした」と表示される場合がありますが、CloudFormationをIAMユーザー権限で実行する場合は問題ありません。そのまま次へ進めます。

6:設定の最終確認

設定の最終確認画面が表示されます。このまま「送信」をクリックします。

7:作成完了を確認

数十秒ほど待つと、ステータスが「CREATE_COMPLETE」になります。

8:S3バケットを確認

S3サービスを開きます。

作成したバケットが確認できます。

9:スタックを削除する

検証が終わったら、作成したリソースを削除します。

  1. CloudFormation で対象のスタックを選択し、「削除」をクリック

  2. 内容を確認して削除を実行

  3. ステータスが「DELETE_COMPLETE」と表示されることを確認

  4. スタック一覧に何も表示されていないことを確認

    一覧が空になっていれば、スタックの削除が完了です。

10.S3バケットの削除

CloudFormation がテンプレートファイルを保存するために、自動で S3 バケットを作成する場合があります。スタック削除後も残ることがあるため、必要に応じて削除します。

  1. バケット内のオブジェクトを選択し、「削除」をクリック

  2. 確認画面の指示に従い、オブジェクトを削除

  3. バケット一覧に戻り、対象のバケットを選択して「削除」をクリック

  4. 確認画面の指示に従い、バケットを削除

  5. バケット一覧に何も表示されていないことを確認

    一覧が空になっていれば、S3バケットの削除が完了です。


S3バケットを作成するハンズオンを通して、コードからインフラが構築される流れを体験できたかと思います。難しく見えていたIaCも、実際に手を動かすと意外にシンプルに扱える印象を持てたのではないでしょうか。

さらに深く学びたい場合は、CloudFormationのテンプレート構造を解説した以下の記事が参考になります。複雑なリソースにも挑戦しやすくなります。

▼AWS CloudFormationでインフラをコード化する!初心者向けテンプレート作成ガイド

https://envader.plus/article/498

まとめ

この記事では、IaCの基本と主要ツールの違いを押さえ、CloudFormationでS3バケットを作成する流れを体験しました。コードを書くだけでインフラが構築される感覚は、IaCが身近に感じられるきっかけになるはずです。

IaCを活用できるようになると、環境の再現性や変更管理が安定し、開発や運用の効率も高まります。小さなハンズオンでも、実務につながる効果を理解する第一歩になります。

さらに学習を進めたい方は、Terraformを用いた応用的な内容にも挑戦できます。以下の記事では、より実践的なIaCの活用方法を紹介しています。

IaCの理解と活用を続けることで、自動化や運用改善に取り組む際の選択肢が広がります。ぜひ、さまざまなリソースをIaCで構築する体験にも挑戦してみてください。

参考資料

以下のリンクは、この記事で解説した手順や概念に関連する参考資料です。より詳しく学びたい方は、ぜひご覧ください。

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「成功する人とそうでない人の違いは何か?」

私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。

比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。

多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、

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エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

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