クラウドコンピューティングの重要性と普及の背景
クラウドコンピューティングはビジネスの世界だけでなく、私たちの日常生活の中でも急速に普及してきました。この技術がなぜこれほどまでに人々の注目を集め重要性を増したのでしょうか。
1. コスト削減
従来のITインフラストラクチャは大きな初期投資が必要で、ハードウェアの購入・設置・保守に多額の費用がかかりました。クラウドコンピューティングの登場により、オンデマンドでリソースを利用することができるようになり、大きな初期コストや保守コストの負担を大きく軽減することができました。
2. 柔軟性とスケーラビリティ
クラウドはトラフィックの増減に応じてリソースを瞬時にスケーリングすることができます。これによりビジネスのニーズに応じて簡単に拡張や縮小が可能となりました。
3. アクセスの簡易性
クラウドコンピューティングはインターネット経由でどこからでもアクセス可能なため、リモートワークや分散型チームの協力が格段に簡単になりました。
4. イノベーションと速度
クラウドプロバイダーは最新の技術とアップデートを常に提供しています。企業は新しい技術のベネフィットを享受しながら、自身での大規模な設備投資や研究に時間を割く必要がなくなりました。
これらの利点によりスタートアップから大企業まで、さまざまな業種や規模の組織がクラウドコンピューティングを採用しています。
IaaS (Infrastructure as a Service)とは
IaaSの定義
IaaSはクラウドサービスの一つで、仮想化されたコンピューティングリソースをインターネット経由で提供するサービスです。IaaSを利用することでユーザーは物理的なハードウェアを設置や保守することなく、必要なインフラストラクチャを必要なときにすぐに使用することができます
IaaSの主な特徴
- オンデマンドのリソース ユーザーは必要に応じてリソースを追加・削減することができます。
- ネットワーク接続の仮想環境 仮想マシン、ストレージ、ネットワークなどの基本的なITリソースへのアクセスが可能。
- コスト効率 使用したリソースのみを課金されるため、コストを効率的に管理できます。
- フル管理 ユーザーは提供されたリソース上でOSやアプリケーションなどを自由に管理・設定できます。
IaaSの例
サービス名 | 提供 | 説明 |
---|---|---|
Amazon EC2 (Elastic Compute Cloud) | Amazon Web Services (AWS) | スケーラビリティや負荷分散機能をを持つ |
Google Compute Engine | Google Cloud Platform | 高性能な仮想マシンやカスタマイズ可能な環境を提供 |
Azure Virtual Machines | Microsoft Azure | WindowsとLinuxの仮想マシンを短時間でデプロイし、Microsoftの豊富なエコシステムと統合された環境での運用が可能 |
IaaSの利用シナリオやメリット・デメリット
IaaSの利用シナリオ
- 高負荷のWebアプリケーション トラフィックの変動に対応できるスケーラビリティが必要な場合。
- テスト環境の構築 一時的にリソースが必要な場合や、さまざまな環境でのテストを行いたい場合。
- バックアップや災害復旧 データのバックアップや緊急時のリソース確保が求められる場合。
IaaSのメリット
- 柔軟性 必要に応じてリソースを増減させることができる。
- コスト削減 物理的なインフラの導入・保守コストが不要。
- 速度 新しいリソースを迅速にデプロイできる。
IaaSのデメリット
- 管理の難しさ クラウドインフラの管理やセキュリティ設定には専門知識が求められることがある。
- 費用の予測 使用に応じた課金モデルのため、予想以上の費用がかかるリスクがある。
PaaS (Platform as a Service)とは
PaaSの定義
PaaSはクラウドサービスのカテゴリの一つで、アプリケーションを開発、運用、実行するためのプラットフォームやツールをインターネット経由で提供するサービスです。開発者はアプリケーションの開発に集中でき、インフラストラクチャの管理や設定の手間を省けます。
PaaSの主な特徴
- 開発ツールの提供 データベース、開発フレームワーク、開発・テスト・デプロイツールなどを組み込んで提供。
- スケーラビリティ トラフィックの増減に応じて、自動的にリソースがスケーリングされる。
- 統合開発環境 一貫した環境でのアプリケーションの開発、テスト、デプロイが可能。
- 中間ソフトウェアの管理 OSやサーバー、ネットワークの管理の必要がなく、アプリケーションレイヤにのみ焦点を当てることができる。
PaaSの例
サービス名 | 提供 | 説明 |
---|---|---|
Heroku | Salesforce | シンプルなデプロイメントとスケーラビリティを持つクラウドベースのPaaS。様々なプログラミング言語をサポート |
Google App Engine | Google Cloud Platform | 複数の言語やフレームワークに対応し、自動スケーリング機能を持つ |
Microsoft Azure App Service | Microsoft Azure | Webアプリ、モバイルアプリ、APIの開発とホスティングをサポートしており、.NET, Node.js, Java, PHP, Pythonなど多数の言語やフレームワークをサポートしている。統合されたCI/CD機能や自動スケーリングを提供 |
PaaSの利用シナリオやメリット・デメリット
PaaSの利用シナリオ
- Rapid Application Development 短期間でのアプリケーション開発やプロトタイプ作成。
- マイクロサービスの開発 小さなサービスを独立して開発・デプロイしたい場合。
- Webアプリケーションやモバイルバックエンド インフラの管理を少なくしたい場合。
PaaSのメリット
- 高速な開発 インフラのセットアップや管理の手間を省略できるため、開発スピードが上がる。
- コスト効率 必要なリソースのみを使用し課金されるため、コストを効率的に管理できる。
- 柔軟性 さまざまな言語やフレームワークに対応している。
PaaSのデメリット
- 柔軟性の制限 一方で制限もあり、提供されているプラットフォームやツールに制約がある場合がある。
- ロングタームのコスト 長期間使用する場合、費用が高くなる可能性がある。
- 移行の難しさ 他のプラットフォームへの移行が難しくなる場合がある。
SaaS (Software as a Service)とは
SaaSの定義
SaaSはクラウドサービスのカテゴリの一つで、インターネット経由でソフトウェアアプリケーションを提供するサービスです。ユーザーはブラウザ経由でアクセスし、オンプレミスのソフトウェアインストールやメンテナンスの必要がありません。
SaaSの主な特徴
- ブラウザ経由のアクセス ソフトウェアをローカルにインストールすることなく、インターネットとブラウザがあればどこからでもアクセス可能。
- サブスクリプションベース 通常、月額や年額での課金が行われ、ライセンス購入の必要がない。
- 自動アップデート ソフトウェアの更新やパッチが自動的に適用される。
- マルチテナント環境 一つのアプリケーションインスタンスが複数の顧客にサービスを提供。
SaaSの例
サービス名 | 説明 |
---|---|
Google Workspace | クラウドベースのオフィススイート。ドキュメント作成、スプレッドシート、プレゼンテーション、メールなどのツールを提供 |
Salesforce | クラウドベースのCRMソフトウェア。顧客関係管理を中心に、マーケティング、セールス、サービスなどの機能を統合して提供 |
Slack | クラウドベースのチームコミュニケーションツール。チャット、ファイル共有、ビデオ会議などの機能を提供し、チームのコラボレーションを強化 |
SaaSの利用シナリオやメリット・デメリット
SaaSの利用シナリオ
- ビジネスアプリケーション CRM、ERP、HR管理などのビジネスプロセスをサポート。
- コラボレーションツール ドキュメント共有、ビデオ会議、チャットなどのコミュニケーションツール。
- 特定の業界向けソリューション 教育、医療、不動産など特定の業界向けのアプリケーション。
SaaSのメリット
- 手軽さ インストールやメンテナンスの手間がなく、すぐに利用開始できる。
- コスト効率 アップフロントのコストが少なく、継続的な費用も予測しやすい。
- アクセスの柔軟性 どのデバイスからでもアクセス可能。
SaaSのデメリット
- データのプライバシー サードパーティがデータを管理しているため、プライバシーやセキュリティの懸念が生じることがある。
- カスタマイズの制限 既存のソリューションに合わせる形になるため、特定のビジネスニーズに応じたカスタマイズが難しいことがある。
- 長期のコスト 長期間利用すると、総コストが高くなる可能性がある。
IaaS, PaaS, SaaSの比較
サービスモデルの違いの概要
サービスモデル | ユーザーが管理するもの | 例 |
---|---|---|
IaaS | OS、ミドルウェア、ランタイム、アプリケーション、データ | Amazon EC2, Google Compute Engine, Azure Virtual Machines |
PaaS | アプリケーションとデータ | Heroku, Google App Engine, Azure App Service |
SaaS | 主に自分のデータのみ | Google Workspace, Salesforce, Slack |
どのサービスモデルを選択すべきか
IaaSの選択を検討する場面
- 既存のオンプレミスインフラをクラウドに移行したい場合
- フルコントロールしたいとき、特定のOSや設定を使用する必要がある場合
- 独自のネットワークトポロジーやIPアドレスを持ちたい場合
PaaSの選択を検討する場面
- アプリケーションの開発に焦点を当て、インフラの管理を最小限にしたい場合
- 複数のデバイスやプラットフォームでアプリケーションを展開する予定の場合
- 一貫した環境でのアプリケーションのデプロイやスケーリングを容易にしたい場合
SaaSの選択を検討する場面
- クイックスタートが必要で、カスタマイズやインフラ管理を最小限にしたい場合
- ソフトウェアのアップデートやメンテナンスを自動化したい場合
- コストを初期投資やメンテナンスからサブスクリプション料にシフトしたい場合
最終的に組織のニーズ・技術的な要件・予算・スキルセットなどの要因を考慮し、最適なサービスモデルを選択することが重要です。
まとめ
IaaS, PaaS, SaaS3つの違いとその選び方を学びました。
選択するクラウドサービスのモデルは、組織のニーズ・技術的な能力・管理したい範囲に基づいて決定すべきです。IaaSは最も柔軟性がありますが、管理の範囲も広いです。一方でSaaSは手間が最も少ないですが、カスタマイズの自由度は最も低いです。PaaSはこの2つの間のバランスを取るサービスと言えるでしょう。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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