2022.12.08
どっちがどっち?マルチクラウド、ハイブリッドクラウドの違いとそれぞれの用途
- インフラエンジニア
この記事では、クラウドサービスが理解されている前提としてマルチクラウドとハイブリッドクラウドの基礎知識、混同されがちな両者の違いについて解説します。
マルチクラウドとは
複数のパブリッククラウドを使い道に応じて併用して利用することです。それぞれの目的に合わせて、最適なクラウドを使い分けることで、それぞれのクラウドの長所を活かして最適な形で運用することが可能です。目的に合った機能を備えており、使いやすさや分析の精度が上がるといったメリットがあります。
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パブリッククラウドとは
専用のハードウェアなどを所有することなく、企業でも個人でも利用したい人が必要な時に必要なだけ自由にサーバーやネットワークリソースを使えるシステムです。
マルチクラウドのメリット
- 複数のサービス提供者からサービス提供を受けるので、独自のカスタマイズが実現しやすくなります。
- ひとつのサービス提供者に依存することがなくなるので、システムの柔軟性を維持できます。
- 複数のクラウドを活用しているため、リスク分散にもなります。またBCP対策にも有効です。
マルチクラウドのデメリット
- 複数のクラウドをそれぞれ活用しているので運用が煩雑になる可能性があります。
- 複数のクラウドサービス提供者と契約し、それぞれにアカウントを作成することになるので、結果的にコスト高になる可能性があります。
- 複数のクラウドを利用することでセキュリティレベルが低下する可能性があります。
ハイブリッドクラウドとは
パブリッククラウドとプライベートクラウドや物理サーバーなど、いくつかのサービスを組み合わせて使うクラウドのことです。タイプの異なるサーバーを組み合わせて利用することから、それぞれの持つメリットを活かしつつ、デメリットをカバーしあえるという特徴を持っています。
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プライベートクラウドとは
企業・組織が自社専用のクラウド環境を構築し、社内の各部署やグループ会社に提供する形態をいいます。
ハイブリッドクラウドのメリット
- オンプレミスのサーバーの活用で社外秘データを安全に保管することができ、データのバックアップ強化を図ることができます。
- オンプレミス環境を活かしながら、BCP対策を考えてリスク分散を図ることができます。
- オンプレミス環境でしか使えないシステムを構築している場合、それも活用しながら新たなクラウド環境を併用することができます。つまり、「いいとこどり」の環境を構築することが可能です。
- オンプレミスやプライベートクラウドはカスタマイズが自在である一方で、コスト高になります。カスタマイズが必要でないシステムをパブリッククラウドへ移行することでコスト抑制が期待できます。
ハイブリッドクラウドのデメリット
- システム構成が複雑になり、システムを運用するにも、状況を理解し、技術力もある担当者が必要になります。
- コスト計算が複雑になります。オンプレミスで運用している部分と、パブリッククラウドを活用している部分など、それぞれのコストが計上されることになるので、適切なコスト配分ができているのかどうかの試算が難しくなります。
- 運用するのに専門性が必要になります。複数の環境を混合して新たなクラウド環境を構築しているので、障害が発生したときに知識と技術を持った担当者でないと対応できません。
マルチクラウドとハイブリッドクラウドの違い
クラウドインフラストラクチャの種類
「マルチクラウド」と「ハイブリッドクラウド」の両者とも、複数のクラウドを統合したクラウドデプロイメントを意味しています。異なっているのは、それぞれが使用しているクラウドインフラストラクチャの種類と構築方法です。「マルチクラウド」と「ハイブリッドクラウド」の両者とも、複数のクラウドを統合したクラウドデプロイメントを意味しています。異なっているのは、それぞれが使用しているクラウドインフラストラクチャの種類です。ハイブリッドクラウドインフラストラクチャは、異なる複数タイプのクラウドを組み合わせているのに対し、マルチクラウドは同一タイプのクラウドを組み合わせて使用しています。ハイブリッドクラウドはリンゴとオレンジを組み合わせるようなもので、マルチクラウドは品種の違うリンゴを組み合わせるようなものと考えるとよいでしょう。
- クラウドインフラストラクチャとは
クラウド コンピューティングを提供するハードウェア要素とソフトウェア要素の集合です。これには、コンピュート、ネットワーク、ストレージのほか、仮想化されたリソースにアクセスするためのインターフェイスも含まれます。
システムの利用方法
ハイブリッドクラウドは、複数のタイプのクラウド環境を混合させ、それらを統合して単一のシステムを構築します。これに対してマルチクラウドは、異なるパブリッククラウドサービスを目的に合わせて併用し、それぞれのクラウドは相互接続することなく、独立して利用します。
利用シーン
- マルチクラウド
- 大規模障害や過負荷によるシステムダウンを想定し、複数社のパブリッククラウド環境を用いてバックアップ・リカバリ体制を構築する。
- 情報収集、分析、結果開示と閲覧のように、ひとつの業務をフェーズごとに分割し、それぞれのフェーズで最適なクラウドサービスを使う。
- ハイブリッドクラウド
- 顧客情報の保管・開示を行うシステムにおいて、オンプレミス(もしくはプライベートクラウド)側で機密情報を保管し、パブリッククラウド側で情報公開を行う。
- モバイルと連携した業務システムにおいて、パブリッククラウド側でモバイルアプリケーション連携を行い、プライベートクラウド側で基幹業務処理を行う。
利用シーンでもわかるようにマルチクラウドは「リスク分散」や「同時利用」が目的といえます。これに対してハイブリッドクラウドは、「業務や情報の性質による分担」に主眼を置いた仕組みと言えるでしょう。
まとめ
マルチクラウド、ハイブリッドクラウドの基礎知識や両者の違いについて解説しました。似たような意味で使われることが多いですが、実際には大きな違いが存在していました。利用シーンで分かるようにそれぞれの特徴の違いが出ていると思います。両者の運用形態の概要までを理解しすることで、クラウドの理解を少しでも深めていただきたいと思います。
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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