IT業界でのキャリアアップを目指す方の中には、ITサービスマネージャ試験を考えている方もいるでしょう。ITサービスに関するマネジメント能力を証明する資格です。
ITサービスマネージャ試験は、IT系の国家資格の中で最高難易度をほこります。挑戦する際は、知識とスキルの両方を身につけておかなければいけません。
今回は、そんなITサービスマネージャ試験について解説します。試験概要はもちろん、試験の勉強方法やキャリアパスについても紹介しています。
ITサービスマネージャ試験の合格を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
ITサービスマネージャ試験とはITサービスのマネジメント能力を証明する資格
ITサービスマネージャ試験は、日々進化するIT業界において、安全性と信頼性の高いITサービスを提供し、IT投資効果を最大化できる人材であると証明できる資格です。
試験に合格すれば、ITサービスの計画立案、設計、移行、提供および改善のための組織の活動と資源を指導・管理する人材として評価されます。ITサービスの陣頭指揮者として活躍できるでしょう。
試験は午前と午後の2部制で、以下の形で実施されます。
時間帯 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数と解答数 |
---|---|---|---|
午前Ⅰ | 9:30~10:20(50分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:30問 |
解答数:30問 | |||
午前Ⅱ | 10:50~11:30(40分) | 多肢選択式(四肢択一) | 出題数:25問 |
解答数:25問 | |||
午後Ⅰ | 12:30~14:00(90分) | 記述式 | 出題数:3問 |
解答数:2問 | |||
午後Ⅱ | 14:30~16:30(120分) | 記述式 | 出題数:2問 |
解答数:1問 |
ITサービスマネージャの基礎
ITサービスマネージャは、ITサービスの提供を管理し、品質を評価する職業です。経営戦略に基づいてIT戦略を策定します。経営とITの橋渡しをする存在ともいえるでしょう。
そのため、技術的な知識だけでなく、プロジェクト管理やチームリーダーシップなど、広範囲におよぶスキルを求められます。
将来的にCIOやCTO、ITコンサルタントを目指しているのなら、経験しておくことをおすすめします。
試験の内容
ITサービスマネージャ試験は、高度情報処理技術者試験の中でもレベル4に位置する試験です。
ITサービス管理の原則やプロセスの設計と実装、チーム管理、リスク管理などサービスマネジメントの業務に関する知識と能力を問われます。
出題範囲も、以下のようなサービスマネジメントに関するものが多くなっています。
- サービスサポートとサービスデリバリーのプロセスの整備・実行に関すること
- 安定した情報システム基盤の提供と、効率的なシステムの運用管理に関すること
- ITサービスとマネジメントプロセスの継続的な改善に関すること
- 情報セキュリティポリシーの運用と管理に関すること
- 情報セキュリティインシデント管理に関すること
- 顧客の設備要件に合致したハードウェア・ソフトウェアの導入、カスタマイズ、保守および修理に関すること
システムの安定的な稼働の確保や、トラブル発生時の対策、品質管理などの知識を身につけておきましょう。
試験の合格要件
ITサービスマネージャ試験の合格には、午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰの試験で100点満点中60点以上の得点が必要です。更に午後Ⅱでは、評価ランクAのみが合格となります。
各試験の得点が基準点に達していないと、その後に受けた試験の採点はされずに不合格となります。非常に厳しい合格基準です。
合格率は高度情報処理技術者試験の中では低い水準であり、IPAの統計資料によると15%前後を推移しています。直近5回の合格率は以下の通りです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
平成30年度秋期 | 3,715人 | 530人 | 14.3% |
令和元年度秋期 | 3,388人 | 497人 | 14.7% |
令和3年度春期 | 2,018人 | 303人 | 15.0% |
令和4年度春期 | 1,954人 | 289人 | 14.8% |
令和5年度春期 | 1,936人 | 294人 | 15.2% |
ITサービスマネージャ試験に合格するには?オススメの勉強法
ITサービスマネージャ試験は、合格率が15%前後と難しい試験です。合格するには計画的に勉強する必要があります。
独学で資格に挑戦するのなら、以下の流れで取り組んでみましょう。
- 基礎知識の習得
- 実践的スキルの強化
- 過去問題で実力試し
Step1.基礎知識の習得
まず、ITサービスマネージャとしての基礎知識を身につけます。高度情報処理技術者試験なら共通で出題される、以下の知識を身につけましょう。
- IT関する基礎的な理論
- ハードウェア・ソフトウェア
- インターフェース
- プログラミング
- ネットワーク
- セキュリティ
- システム監査
ITサービスに関する総合的な知識が必要です。Webサイトやインターネットスクール、書籍などを使って、知識として定着させましょう。
Step2.実践的スキルの強化
次に、実践的なスキルを磨きます。理論だけでなく、実際の業務で遭遇する問題解決能力を身につけます。
最もおすすめなのは、実際のITプロジェクトに参加することです。現場での経験を活かせば、試験で出題される実践的な問題へも対処しやすくなるでしょう。
エンジニア初学者で実際のITプロジェクトに参加するのが難しい方は、次に紹介する過去問がおすすめです。
Step3.過去問題で実力試し
最後に、過去の試験問題を解きます。実際の試験に近い形で、知識とスキルを試す形です。
過去問を解き、試験の傾向と対策を理解しましょう。また、苦手な分野を特定できるため、集中的に対策を練られる点もメリットです。間違えた問題を分析し、ミスをなくしていってください。
今の実力なら合格できると確信したら、試験に申し込みましょう。
ITサービスマネージャ試験の過去問題と対策方法
ITサービスマネージャ試験の合格には、過去問題を活用した勉強が最適です。基礎的な知識が身についたら、過去問を繰り返し解きましょう。
過去問題は公式サイトにある
ITサービスマネージャ試験の過去問題は、試験を主催するIPAの公式サイトで入手できます。過去問に挑戦するのに会員登録や費用も必要ないため、気軽に挑戦できます。
過去問を通して試験の内容と形式を理解できれば、リラックスして本番に臨めます。もし過去問の解説や補足情報が欲しいとなった場合は、出版社から発売されている過去問集がおすすめです。
過去問題を繰り返し解くことが大切
ITサービスマネージャ試験の試験対策として、過去問題を繰り返し解く方法が最も効果的です。
過去問を解く中で、試験で求められる知識と技能を具体的に把握しましょう。その中で自分の弱点を見つけたら、重点的に潰していくと自信に繋がります。
より実践的に過去問に挑戦する場合は、時間を計って問題を解くことをおすすめします。試験当日の時間管理能力をリアルに味わえるため、試験の練習として効果的です。
ITサービスマネージャ試験の資格の価値とキャリア展望
ITサービスマネージャ試験の資格は、IT業界でのキャリアアップに大きく役立ちます。ITシステムの運用・保守に関するマネジメント能力を証明する資格なため、ITコンサルタントといった仕事でも活用できるでしょう。
ここからは、以下の2つの項目にわけて、それぞれ解説します。
- 資格の価値
- 合格後のキャリアパス
資格の価値
ITサービスマネージャ試験の資格を取得すると、ITサービス管理の分野における高度な知識を能力を持っている証明になります。
ITサービスの状況を整理しやすくなり、障害を未然に防いだり、被害を最小限に食い止めたりできるでしょう。
システム開発において、運用・保守は重要です。安心して使えるサービスを提供するには、ITサービスマネジメントの能力は重宝されます。
企業にとって自社のITサービスの価値を守ってくれるITサービスマネージャの存在は大きいといえるでしょう。
合格後のキャリアパス
ITサービスマネージャ試験に合格すると、さまざまなキャリアパスが開かれます。例えば以下のようなキャリアです。
- ITプロジェクトマネージャー
- ITコンサルタント
- 一般企業のシステム運用部門の責任者
資格を持つことで、ITプロジェクトマネージャーやITコンサルタントなど、より高いキャリアを実現できます。身につけた知識をもとに、一般企業でのシステム運用部門の責任者にもなれるでしょう。
自社でITシステムを運用している企業なら、魅力的な人材です。転職や昇進でキャリアアップを目指しましょう。
ITサービスマネージャ試験はITシステムの運用管理のスキルを証明する資格
ITサービスマネージャ試験は、ITシステムの運用管理をマネジメントする能力を証明する資格です。取得することで、IT投資効果を最大化できる人材であると証明できます。
高度情報処理技術者試験のレベル4であり、合格率は15%前後と低い水準です。挑戦する際は、参考書や過去問を使ってITに関する知識を、幅広く身につけるようにしましょう。
ITサービスマネージャ試験に合格すれば、ITコンサルタントとしてはもちろん、一般企業のシステム運用部門の責任者としても活躍できます。自身のキャリアプランと照らし合わせて、活かしてください。
なお、IT以外で総合的なマネジメント職を目指しているのなら、下記リンクのプロジェクトマネージャ試験がおすすめです。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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