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2023.08.26

Web開発のトレンド SPA・SSR・SSGをわかりやすく解説

1. はじめに

近年、技術の進化とともにWeb開発の風景は大きく変わってきました。かつての静的なページから動的なページへ、そして今日の高度なWebアプリケーションへと、ウェブは飛躍的に進化し続けています。その中で、特に注目されているのがSPA・SSR・SSGという3つのアプローチです。

Web開発の進化と最近のトレンド

Web開発の初期段階ではほとんどのWebページは静的なHTMLで書かれ、動的な要素は多くありませんでした。しかし技術の進歩とユーザーの要求の高まりに伴い、より動的でリッチな体験を提供するWebアプリケーションが求められるようになりました。このニーズに応えるためJavaScript・CSS・HTMLを組み合わせたフロントエンドの技術が発展し、さまざまなフレームワークやライブラリが登場しました。

最近のトレンドとして、Progressive Web Apps (PWA:ウェブ技術を使用してネイティブアプリのような体験を提供するウェブアプリケーション) の普及や、APIとフロントエンドの分離などフロントエンドとバックエンドの役割が明確に区分される構造が主流となっています。これに伴いWebページの表示方法や生成方法に関する新しいアプローチが生まれました。それが以下に説明するSPA・SSR・SSGです。

なぜSPA・SSR・SSGが注目されているのか

これらが注目される理由はそれぞれがWeb開発の特定の課題やニーズに対応しているためです。現代のWeb開発ではパフォーマンス・ユーザーエクスペリエンス・SEOなど多岐にわたる要因を考慮する必要があり、SPA・SSR・SSGはそれらの要因を最適化するための鍵となる技術となっています。

この記事ではこれらの概念をさらに詳しく解説し、それぞれのメリットとデメリット適切なユースケースについて探ることでWeb開発への取り組みをサポートします。

2. SPA (Single Page Application) の解説

SPAとは?

SPA (Single Page Application)またはCSR(Client Side Rendering)は、一つのWebページで完結するアプリケーションのことを指します。ユーザーが異なるページやコンテンツにアクセスするたびに全てのページを再読み込みするのではなく、必要な部分だけを更新することで、ユーザーエクスペリエンスの向上を実現します。

一般的なWebページとの違い

  • ページの遷移: 一般的なWebページはリンクやボタンをクリックすると新しいページをサーバからロードしますが、SPAでは現在のページ内で必要な部分だけを動的に更新
  • レンダリング: 一般的なWebページはサーバーサイドでHTMLを生成してクライアントに送ります。一方、SPAは主にクライアントサイドでHTMLを動的に生成・更新
  • 応答性: SPAはページ全体のリロードがないため、遷移やインタラクションが高速で、アプリケーションのような体験をWeb上で実現

主な特徴

SPAは基本的に1つのHTMLページから成り立っており、その上で動的にコンテンツが変わります。また、ほとんどのロジックがクライアントサイドで処理されるため、バックエンドはデータの提供や認証などの役割に特化しています。主にAJAXを使用してサーバーと非同期通信を行い、ページの再読み込みなしにデータを取得・表示します。

SPAの利点

ユーザーエクスペリエンスの向上

ページ全体の再読み込みが不要なため、スムーズなユーザーインタラクションや遷移が可能です。

リソースの節約

一度ページを読み込むと、その後のデータの取得や更新は最小限のリソースで行えるため、ネットワークトラフィックやサーバーロードを軽減できます。

SPAの欠点

初期読み込みの遅さ

必要なスクリプトやスタイル、フレームワークのコードを最初に全て読み込む必要があるため、初回のページロードが遅くなることがあります。

SEOに関する課題

伝統的なクローラーが動的にレンダリングされるコンテンツを認識しにくいため、検索エンジン最適化 (SEO) の取り組みが複雑になることがあります。

代表的なフレームワーク

フレームワーク名開発説明
ReactFacebookJavaScriptライブラリ。コンポーネントベースのアーキテクチャを採用しており、大規模なアプリケーションの開発に適す
AngularGoogleフルフレームワーク。Two-wayデータバインディングや依存性注入などの機能が特徴
Vue.jsEvan Youプログレッシブフレームワーク。シンプルで学習コストが低いこと、リアクティブデータバインディングなどが特徴

3. SSR (Server Side Rendering) の解説

SSRとは?

SSR (Server Side Rendering)とはSEOや初期表示速度の問題を解決するために、サーバーサイドでページの内容をレンダリングするアプローチです。これによりユーザーは最初のページロードで完全なページコンテンツを受け取ることができ、検索エンジンのクローラもコンテンツを正しく解析できます。

従来のサーバーサイドレンダリングも、サーバーでHTMLを生成する点では同じですが、SSRはモダンなJavaScriptフレームワークと組み合わせて用いられることが多く、クライアントサイドのJavaScriptでの後続の操作や遷移もスムーズに行えるという特徴があります。

主な特徴

ユーザーのリクエストに基づいて動的にコンテンツを生成し、初めてのページロード時に完成されたHTMLを提供します。モダンなJavaScriptフレームワークと組み合わせて使用され、クライアントサイドでのスムーズな操作が可能です。

SSRの利点

ユーザーエクスペリエンスの向上

ページ全体の再読み込みが不要なため、スムーズなユーザーインタラクションや遷移が可能です。

リソースの節約

一度ページを読み込むと、その後のデータの取得や更新は最小限のリソースで行えるため、ネットワークトラフィックやサーバーロードを軽減できます。

SSRの欠点

初期読み込みの遅さ

必要なスクリプトやスタイル・フレームワークのコードを最初に全て読み込む必要があるため、初回のページロードが遅くなることがあります。

SEOに関する課題

伝統的なクローラーが動的にレンダリングされるコンテンツを認識しにくいため、検索エンジン最適化 (SEO) の取り組みが複雑になることがあります。

SPAとSSRの組み合わせ

フレームワーク名ベース説明
Nuxt.jsVue.jsSSRのサポートを簡単に実現できるよう設計されており、コードの再利用性を高め、効率的なSSRの実装をサポートする
Next.jsReactサーバーサイドとクライアントサイドのレンダリングをシームレスに組み合わせることができ、高度な最適化や静的サイト生成もサポートする

4. SSG (Static Site Generator) の解説

SSGとは?

SSG (Static Site Generator)は、予め静的なHTMLファイルを生成しておき、リクエストがあったときにそれを返す方法です。動的なサーバー処理が不要になるため、表示が高速で、セキュリティ上のリスクも低いとされます。

従来の動的Webサイトは、ユーザーのリクエストごとにサーバー上で内容を生成・提供しますが、SSGで生成されたWebサイトはあらかじめ作成された静的なファイルを提供するため、サーバーサイドの処理が不要となります。

主な特徴

サイトの内容やデザインが変わるたびに、全ページをあらかじめ生成します。内容(データ)とデザイン(テンプレート)が分離されているため、再利用やメンテナンスが容易です。生成されたWebサイトは、単なるHTML、CSS、JSのファイル群となるため、特別なサーバー設定なしに配信可能です。

SSGの利点

高速なページロード

既に生成された静的ファイルを配信するため、ページの読み込みが非常に高速です。

サーバーへの負担軽減

ダイナミックな処理が不要なため、サーバーのリソース消費が大幅に減少します。

セキュリティの向上

データベースやサーバーサイドのスクリプトが不要なので、そのようなベクターでの攻撃リスクが低減します。

SSGの欠点

動的なコンテンツの扱い

リアルタイムのデータやユーザーごとの動的なコンテンツの生成が難しい場合があります。

更新が必要な場合の手間

サイトの一部を更新するたびに、サイト全体を再ビルドする必要があるため、大規模なサイトでは時間がかかることがあります。

代表的なSSGツール

フレームワーク名ジェネレータ説明
JekyllRuby製の静的サイトジェネレータ特にGitHub Pagesとの連携が容易
HugoGo言語で書かれた高速なジェネレータ大量のコンテンツも瞬時にビルドできることが特徴
GatsbyReactベースの静的サイトジェネレータモダンなWeb開発の技術スタックを取り入れており、データソースとしてCMSやデータベースを柔軟に組み合わせることが可能

5. 各手法の選定基準とユースケース

どの手法を選ぶべきか

ウェブ開発のプロジェクトを進める際最適なレンダリング手法を選択することは非常に重要です。以下の要素を考慮することで最適な手法を選定する手助けとなります。

対象となるユーザーやサイトの目的

サイトの目的(例:情報提供、ユーザーインタラクション、Eコマースなど)やターゲットとなるユーザーの動向(例:頻繁な訪問、短時間の訪問など)を明確にしましょう。

開発の複雑さや期間

プロジェクトの期間や予算・開発チームのスキルセットなど、開発のリソースや制約も考慮して選択する必要があります。

典型的なユースケースと選択例

ユースケース選択例説明
ブログやコーポレートサイトSSGコンテンツが静的で更新頻度が低い、またはセキュリティを重視したい場合にはSSGが適す。ページのロード速度が高速でありサーバーへの負担も軽減されるため、訪問者にとってのユーザーエクスペリエンスが向上
WebアプリケーションSPAリアルタイムのデータ操作や高度なインタラクションを持つWebアプリケーションでは、SPAが最適。SPAはページ遷移のない高いユーザーエクスペリエンスを提供し、アプリケーションのような動作を実現
SEOが重要なサイトSSRコンテンツが検索エンジンによって正しくインデックスされることを重視するサイト(例:ニュースサイト、Eコマースサイトなど)では、SSRが推奨される。SSRは検索エンジンがコンテンツを効率的にクロール・インデックスするための最適な環境を提供

これらの手法を組み合わせて使用することも一般的です。例えばSPAの初期ロードを高速化するためにSSRを組み合わせたり、SSGで生成されたサイトにSPAの部分的な機能を組み込むことも考えられます。プロジェクトの要件や目的に応じて最適な手法やその組み合わせを選択することが重要となります。

6. まとめ

現代のウェブ開発では、ユーザーの期待に応えるためのさまざまなレンダリング手法が存在しています。この記事ではその中でも特に注目のSPA・SSR・SSGに焦点を当て、それぞれの特徴・利点・欠点を解説しました。

  • SPAは、アプリケーションのような滑らかなユーザーエクスペリエンスを提供するための手法で、ページの再読み込みをせずに内容を動的に更新します。
  • SSRはサーバーサイドでページのレンダリングを行い、特にSEOの観点で有利な特性を持っています。
  • SSGは静的なコンテンツの生成に特化しており、高速なページの読み込みやセキュリティの強化が主なメリットとなります。

これらの手法を選択する際のキーとなるのは、サイトの目的・ターゲットユーザー・技術的な要件そして開発のリソースや期間です。ブログやコーポレートサイト・ウェブアプリケーション・SEOを重視するサイトなど、様々なシナリオや要件に応じて最適な手法やその組み合わせを選ぶことが求められます。

エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

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