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2024.08.29

プログラミングの基本概念をたとえで理解する

はじめに

プログラミングを学び始めたばかりの方にとって、基本的な概念を理解するのは難しいことが多いです。プログラミングでは、物事を抽象化して考える力が求められます。抽象化とは、具体的な事象から共通の要素を取り出し、全体を簡略化して捉えることです。しかし、初学者にとっては、この抽象的な考え方が難しく感じられることがあります。

そこで役立つのが、具体化です。具体化とは、抽象的な概念を具体的な事例に置き換えて、より理解しやすくすることを指します。日常生活の中にある具体的な物事を使って、難しいプログラミングの概念をわかりやすく説明することができます。

本記事では、プログラミングの基本概念を具体的な日常生活の事象にたとえて説明していきます。これにより、抽象的な概念を視覚的に捉えやすくし、初学者がより理解しやすくなることを目指します。これから紹介する内容を通じて、抽象的なプログラミングの世界が、少しずつ身近なものに感じられるようになるでしょう。

変数とデータ型

プログラミングの最初のステップとして、変数は非常に重要な概念です。変数は、プログラムが正確に動作するための基本的な役割を果たしますが、初めて学ぶ人にとっては抽象的に感じることがあるかもしれません。変数を簡単に理解するには、身近な物事にたとえるのが効果的です。

変数とは?

変数は、プログラム内でデータを一時的に保存しておくための「箱」のようなものです。例えば、財布にお金を入れて必要なときに取り出すように、変数には数値や文字列を格納し、後で利用できます。この「箱」の中身は自由に変えることができ、必要に応じて新しい情報を入れたり、取り出したりします。

データ型とは?

データ型は、その「箱」の形や種類を指します。例えば、リンゴを入れる箱(整数型)や水を入れる容器(浮動小数点型)があり、それぞれのデータ型に応じた変数を使うことが重要です。間違ったデータ型を使うとプログラムは正しく動作しません。適切な「箱」に適切な「もの」を入れることが、プログラムを安定して動かすための基本です。

変数とデータ型を理解することは、プログラミングの基礎をしっかり固めるために不可欠です。

条件分岐(if文)

プログラムの中で最も基本的かつ強力な構造の一つが条件分岐です。コンピュータは、人間が考えるように「もし〜ならば」という形で物事を判断します。実際の生活でも「もし雨が降ったら傘を持っていく」「晴れなら帽子をかぶる」といった判断を日々行っています。プログラムも同じで、条件に応じて異なる動作をするように設計されています。

条件分岐とは?

条件分岐は、プログラムが特定の条件に基づいて異なる動作をする仕組みです。これは、道路の分岐点に例えることができます。「右に進めばA地点に着く」「左に進めばB地点に着く」という具合です。

また、レストランでメニューを選ぶときの状況も似ています。注文する料理によって、異なる食事体験が得られます。同様に、プログラムでは条件に応じて異なる結果が得られるように動作を変えます。この柔軟性が、プログラムをより人間らしく、賢く機能させるための鍵となります。

ループ(for文、while文)

ループは、プログラミングの中で非常に重要な概念です。コンピュータは非常に速く計算を行うことができますが、その本当の強みは「繰り返し」にあります。単純な作業でも、数百回、数千回と繰り返すことで、人間には不可能なほどのスピードと正確さを発揮します。ループ構造を利用することで、プログラムはこの繰り返し作業を効率的に実行できます。

ループとは?

ループは、同じ作業を繰り返すための仕組みです。例えば、洗濯物を畳む作業を想像してください。一枚の服を畳み終わったら、次の一枚に進みます。この繰り返し作業がループです。毎回同じ手順を繰り返すことで、全ての洗濯物を片付けることができます。

また、ランニングトラックを何周もする状況もループの一例です。同じ道を何度も繰り返し走るように、プログラムもループを使って同じ処理を繰り返します。ループを理解することで、プログラムは効率よく大量のデータを処理し、反復的な作業を自動化する力を得ることができます。

関数

プログラミングにおいて、関数はとても便利なツールです。関数を使うことで、同じコードを繰り返し書く手間を省き、プログラムを整理整頓することができます。モジュール化された関数は、プログラムの他の部分から独立して動作させることができるため、複雑な作業を簡単に管理できるようになります。

ベティ・クロッカーのレシピと関数

ベティ・クロッカーは、1920年代にアメリカの食品会社ゼネラルミルズが企業マーケティングのために創作した架空の人物です。このキャラクターを通じて、同社はこれまで各家庭の秘伝として受け継がれていた料理を、「レシピ」として広く一般に公開しました。ベティ・クロッカーのレシピ本は、数百万部を売り上げ、家庭料理の標準を確立するうえで大きな役割を果たしました。

関数もまた、プログラム内で一度作成した「レシピ」を何度でも再利用するためのツールです。ベティ・クロッカーが家庭料理を広めたように、関数はプログラムの中で繰り返し利用され、効率と一貫性をもたらします。

関数とは?

関数は、特定の作業を効率的に行うためのツールです。料理のレシピを思い浮かべてください。一度その手順を覚えれば、何度でも同じ料理を作ることができます。関数も同じように、一度定義すれば、必要なときに何度でも呼び出して同じ作業を実行できます。

このように、関数を使うことでコードの重複を減らし、プログラム全体の効率と可読性を向上させることができます。ベティ・クロッカーのレシピ本が家庭料理を広めたように、関数はプログラムを作る上で頼りになる「レシピ」として活躍します。

配列とリスト

データを整理して効率よく管理することは、プログラミングにおいて非常に重要です。配列やリストは、こうしたデータ管理の基本的なツールです。これらを使うことで、プログラムが扱う情報を整然と保ち、必要なデータをすぐに取り出すことが可能になります。

デューイ十進分類法

図書館で使われている整理番号システムの一つに「デューイ十進分類法」があります。このシステムは、1876年にアメリカのメルヴィル・デューイによって考案されました。デューイ十進分類法は、図書をテーマごとに10の大分類に分け、その中でさらに細かく分類して整理番号を付ける仕組みです。これにより、図書が整然と配置され、必要な本をすぐに見つけられるようになりました。

配列とリストとは?

配列やリストは、複数のデータを整理して保管するための仕組みです。これを図書館の本棚にたとえるとわかりやすいでしょう。各本が特定の位置に整理番号に基づいて並べられているように、配列やリストを使えばプログラム内のデータも整然と管理できます。

例えば、配列は本棚のように、各要素が決まった場所に整然と並べられています。一方、リストはより柔軟で、新しいデータを追加したり、削除したりすることが簡単です。どちらもデータを整理して管理するために欠かせないツールであり、プログラムの効率化に大きく貢献します。

配列やリストを上手に使うことで、プログラムがよりスムーズに動作し、複雑なデータ処理も簡単に行えるようになります。図書館が整理番号を使って本を効率的に管理するように、配列やリストはプログラム内のデータを整理するのに役立ちます。

オブジェクト指向プログラミング

オブジェクト指向プログラミング(OOP)は、プログラムを効率的に設計するための手法で、1960年代にノルウェーの科学者が開発したプログラミング言語「Simula」で初めて導入されました。この手法は、複雑なソフトウェア開発をシンプルに管理するために広く採用されています。

オブジェクト指向とは?

オブジェクト指向プログラミングは、車や会社の組織構造にたとえられます。車のエンジン、タイヤ、ハンドルがそれぞれ独立しながら連携して動作するように、OOPでは、プログラムを小さなオブジェクト(部品)に分割し、それぞれが特定の役割を持って機能します。

このアプローチにより、プログラムは再利用可能で、管理しやすく、拡張性が高くなります。オブジェクト指向は、ソフトウェア開発における複雑さを整理する強力な手段です。

アルゴリズム

アルゴリズムは、プログラミングの核心を成す重要な概念です。アルゴリズムとは、特定の問題を解決するための明確な手順やルールの集合を指します。日常生活でも、アルゴリズムに似たプロセスは多く存在します。

アルゴリズムの起源

「アルゴリズム」という言葉は、9世紀のペルシャの数学者アル=フワーリズミの名前に由来します。彼は、現代の算術や代数学の基礎を築いた人物で、彼の著作がヨーロッパに伝わり、「アルゴリズム」という言葉が生まれました。

アルゴリズムとは?

アルゴリズムは、問題解決のための手順やルールを指します。日本では「アルゴリズム体操」というエクササイズが一時期流行しました。これは、決められた動きを順番に行うことで、全体の動作を完了させるというものです。この体操は、アルゴリズムの概念を視覚的に理解するのに役立ちます。体操の各ステップが決まった順序で実行されることで、全体として一つの動きが完成します。

たとえば、迷路を抜ける道順を考えてみてください。ゴールにたどり着くために、何度も選択を行い、間違った道を引き返しながら進むことがあります。このように、最適な道順を見つけるための手順がアルゴリズムです。

日常生活の例として、道案内を考えてみましょう。目的地にたどり着くために、まず大通りに出て、次に右に曲がり、その後2つ目の信号で左折するなどの一連の手順が必要です。この手順が正確であれば、迷うことなく目的地に到着できます。この一連の行動指針がアルゴリズムです。

アルゴリズムは、このように、問題を解決するために一連の明確なステップを定義することで、プログラムが効率的に目標を達成できるようにします。複雑なプログラムほど、効果的なアルゴリズムの設計が重要になります。

デバッグ

プログラムを作成する際、エラーやバグは避けて通れません。実際のところ、一般的なソフトウェアには、千行のコードごとに10〜20件のバグが含まれていると言われています。このため、プログラムをリリースする前には必ずデバッグが必要です。しかし、「デバッグ」という言葉は広く知られているものの、その具体的な意味や重要性を理解している人は意外と少ないかもしれません。

蘊蓄:デバッグという言葉の由来

「デバッグ」という言葉は、1940年代に初めて使われたとされています。伝説的なエピソードとして、初期のコンピュータ「Mark II」の動作不良の原因が、リレー回路に入り込んだ「虫(バグ)」によるものだったことが記録に残っています。技術者たちはその虫を取り除いたことで問題が解決し、この出来事が「デバッグ」という言葉の由来となりました。

デバッグとは?

デバッグは、プログラム内のエラーやバグを見つけて修正するプロセスです。この作業は、まるで探偵の仕事のようなものです。探偵は手がかりを集め、事件の真相を突き止めます。同様に、プログラマーはプログラムのエラーメッセージや異常な挙動を手がかりに、バグの原因を探り当て、それを修正します。

デバッグは、プログラムの品質を保つために不可欠な作業です。プログラムが正しく動作しない原因を突き止め、修正することで、ソフトウェア全体の信頼性が向上します。また、デバッグを通じて、プログラマーは自分のコードの問題点に気付き、より良いコードを書くための経験を積むことができます。

プログラミングにおいてデバッグのスキルを磨くことは、問題解決能力を高めることにもつながります。探偵が事件を解決するように、プログラマーはデバッグによってプログラムの不具合を解決し、最終的には動作するプログラムを完成させるのです。

まとめ

プログラミングの世界は、初めて触れる人にとって難解に感じられることが多いですが、身近な例にたとえることで理解が深まります。基本概念をしっかり理解することは、今後の学習や開発において重要な基盤となります。

各概念の復習

本記事では、プログラミングの基本概念を日常生活の事象にたとえて説明しました。変数を「箱」、条件分岐を「分岐点」、ループを「繰り返し作業」として捉えることで、複雑な概念もシンプルに理解できるようになります。これらのたとえを通じて、学習がより身近で楽しいものになるでしょう。

記憶の定着とイメージの結びつけ

心理学者でボディビルダーでもあるアラン・パイビオ(Allan Paivio)は、二重符号化説を提唱し、記憶の定着には言葉とイメージを結びつけることが効果的であると述べています。プログラミングの概念を身近な事象にたとえることで、理解が深まり、記憶にも残りやすくなります。

プログラミング学習の継続を促す

プログラミングの学習は一度に全てを理解する必要はありませんが、基本をしっかり押さえることで、学習がスムーズに進みます。今回紹介したたとえを思い出し、あきらめずに学び続けてください。プログラミングの世界は広大で、探求する価値があります。焦らず、自分のペースで進めていってください。

【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

IT未経験者必見 USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。

「フリーランスエンジニア」

近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。

「成功する人とそうでない人の違いは何か?」

私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。

比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。

多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、

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エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

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