近年、エンジニアの働き方において心理的安全性が注目されています。生産性が高い組織やチームの特徴として取り上げられていましたが、IT業界にも波及してきた形です。
ですが、一口に心理的安全性といっても、ぼんやりとしかわからない方がほとんどでしょう。
今回は、そんな心理的安全性について解説します。エンジニア初学者の方には特に重要な考え方です。ぜひ参考にしてください。
心理的安全性とは自然な自分を出せる状態のこと
心理的安全性とは、「自然な自分を出せる状態」のことです。組織行動学の研究者であるエイミー・C・エドモンドソンが提唱した概念となります。
会社で働いていて、意見や相談をする際に気後れしたことはないでしょうか? そうした状態は組織としては好ましくありません。全員が気軽にホウレンソウのできる状態こそが、企業にとっての理想です。
心理的安全性とは、そうした状態を指します。
注目されている背景
心理的安全性が注目された背景には、Google社の発表があります。2012年から約4年間にわたって実施されたプロジェクトアリストテレスの結果です。
プロジェクトアリストテレスとは、効果的なチーム構成の条件を見つけるための大規模な労働改革プロジェクトのこと。それにより、心理的安全性がチームの生産性を向上する重要な要素であると判明したのです。
Googleのような世界的企業が発表した結果によって、世界各国の企業が心理的安全性について注目しました。
結果、多くの企業が心理的安全性を重視し始めています。
エンジニアの心理的安全性を高めるメリット
エンジニアが心理的安全性を高めると、多くのメリットがあります。代表的なものは以下のメリットです。
- チームのパフォーマンスが向上する
- コミュニケーションが活発になる
- 離職率の低下に繋がる
- アイデアや情報を共有しやすくなる
- 質問しやすくなる
- ミスへの対応がしやすくなる
チームのパフォーマンスが向上する
心理的安全性を高めることで、チーム全体のパフォーマンスが向上します。それには以下の理由があります。
- 互いの能力や性質を認め合える
- 尊重し合える
- 価値観を共有できる
ひとりの人間として個人を認める環境ができるため、一人ひとりが自分の能力や可能性を信じて業務に力を尽くせるのです。
結果、モチベーションアップはもちろん、責任感の向上にも期待できます。チームのパフォーマンスを向上させたいのなら、心理的安全性を高めることは重要です。
コミュニケーションが活発になる
心理的安全性を高めることで、コミュニケーションが活発になります。自分の意見を積極的に言える環境が整っているためです。結果、メンバー間の連携も良くなり、業務効率化にも繋がります。
コミュニケーションが活発な組織では、情報の共有がスムーズに行われています。ミスが起こった場合でも迅速に対応が可能です。
業務遂行の面でも、心理的安全性を高めることは非常にメリットが大きいと言えます。
離職率の低下に繋がる
心理的安全性を高めることで、離職率の低下に繋がります。メンバー同士で支え合うようになり、心地よさを感じるようになるためです。
居心地の良い場所なら離職など考えずに頑張ろうと考える方が多いのは、誰しもわかるでしょう。心理的安全性はそうした空間を生み出せる取り組みです。
アイデアや情報を共有しやすくなる
心理的安全性を高めることで、チーム内でアイデアや情報を共有しやすくなります。気軽にコミュニケーションを取れる状態になるためです。気兼ねなく発言できる環境を整えられます。
特に初学者の方だと、物怖じしてなかなか意見を言えないなんてことは良くあります。そうした中でも、心理的安全性があれば自信を持ってアイデアを提案できる点は魅力です。
チームとしての一体感も生み出してくれるため、個々が活発に議論できるでしょう。結果、アイデアや情報を共有しやすくなります。
質問しやすくなる
心理的安全性を高めると、質問しやすくなります。これは、心理的安全性の低下に繋がる以下のポイントを払拭できるためです。
- 無知だと思われる不安
- 無能だと思われる不安
- 邪魔をしていると思われる不安
- ネガティブだと思われる不安
心理的安全性を意識して誰でも発言・提案できる状態を作っていると、初学者でも安心して質問できます。
ミスへの対応がしやすくなる
心理的安全性を高めることで、ミスへの対応がしやすくなります。特に初学者の方にとっては、安心できる部分です。
そもそもミスへの対応は、以下の点で遅れる可能性があります。
- こんなことも知らないのかと怒られそう
- 仕事ができないと思われそう
- 邪魔をしていると思われそう
仕事をしていてミスがあった際、報告するのが不安で時間がかかってしまった、なんて経験がある方もいるでしょう。
心理的安全性を高めているとコミュニケーションが活発になり、ミスの報告・対応も迅速にできる状態が作られます。結果、チーム全体でミスへと対応できるのです。
エンジニアの心理的安全性を高める方法
心理的安全性を高めることで大きなメリットがあるのはわかりました。では、エンジニアの心理的安全性を高めるには、どのような方法があるのでしょうか。
一般的に以下の方法が有効的です。
- 心理的安全性を感じられる環境を整える
- メンバー全員が発言できる環境を整える
- 課題や問題に対してポジティブな反応をする
- 価値観の多様性を受け入れる
心理的安全性を感じられる環境を整える
心理的安全性を高めるには、まず心理的安全性を感じられる環境を整えることが大切です。土台から作っていくイメージをしてください。主な方法は以下です。
- 雑談や対話する場所を作る
- 勉強会やディスカッションをする
気軽に発言できる場所を作ることで、発言に対してのネガティブなイメージを払拭します。いきなり仕事の場で発言を求めても、初学者の方にとっては難しいものです。
まずは心理的安全性を感じられる環境を整えるところから始めましょう。
メンバー全員が発言できるようにする
メンバー全員が発言できるようにするのも大切です。一見すると全員が参加している意見交換が行われているように見えても、特定の人物ばかりが発言していることは多々あります。
特に以下には注意しましょう。
- 役職や年齢を問わず意見を発信できるか
- 発言していないメンバーに発言を促しているか
- 出てきた意見を否定していないか
どれも無意識にやってしまいがちなものばかりです。
心理的安全性は意識しなければ高められません。まずはメンバー全員が発言できる空間を作るように意識してください。
課題や問題に対してポジティブな反応をする
課題や問題に対してポジティブな反応をすることも、心理的安全性を高めるには重要です。これはネガティブな雰囲気が漂う職場を思い浮かべると、理解しやすいでしょう。
ネガティブな雰囲気の職場では、誰かの意見に対して否定的な考えを抱きがちです。結果、メンバーのモチベーションは低下し、更に否定的になります。負のスパイラルに陥るのです。
そうした状態から抜け出すには、ポジティブさが重要です。何事もポジティブに捉えることで、自然と気持ちが前向きになります。習慣化すれば、誰の意見も否定しない環境を作れます。
結果、心理的安全性を高められるのです。
価値観の多様性を受け入れる
価値観の多様性を受け入れることも、心理的安全性を高めるには必要です。全てのメンバーが「自分の存在が受け入れられている」と感じられるようにしましょう。そのためには、個人の尊重が大切です。
気をつけたいのが、価値観の多様性を受け入れるのは簡単ではないという点。多様性と口にするのは簡単ですが、自分と異なる考えの存在を受け入れるのは難しいものです。
自分と異なる価値観を否定せず、受け止められるだけの包容力が求められます。心理的安全性を高めるには必要になるので、価値観の多様性を受け入れられるようにメンバー全員が努力しなければいけません。
エンジニアの心理的安全性には相手への尊重と承認が大切
エンジニアの心理的安全性には、相手への尊重と承認が大切です。自分ひとりだけを尊重していては、心理的安全性を担保できません。
人は自分が最も大切です。基本的に自分以外の存在には興味がありません。そんな中で相手を尊重し承認するのは難しいことです。
ですが、心理的安全性を高められれば、人間が本来持つ社会性を発揮し大きな成果を上げられます。
エンジニアはチーム一丸となって業務遂行をする仕事です。自分だけを尊重するのではなく、相手への敬意と承認を忘れずにいることで心理的安全性を高められます。意識して行動しましょう。
エンジニアにとって心理的安全性を高めることは重要
エンジニアにとって心理的安全性を高めることは重要です。特に初学者の方にとっては、働きやすさに直結するため意識したいポイントになります。
心理的安全性を高めると、コミュニケーションが活発化し、チームのパフォーマンス向上やミスへの対応など多くのメリットがあります。
一方で、心理的安全性を高めるには多くの障壁があるため、一人ひとりが意識して行動しなければいけません。
心理的安全性は自ら動かなければ作れない環境です。エンジニア初学者の方でも安心して参加できるように、積極的に動いていきましょう。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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