AZ-900(AZ-900 - Microsoft Azure Fundamentals)とはMicrosoft社が実施する認定資格試験です。
Azure資格の中で土台となるクラウドサービスに関する基礎知識やMicrosoft Azureに関する知識を問われる試験となっており、Azure初心者向けのエントリーレベルの試験です。今回はAZ-900の試験範囲や勉強方法について解説を行なっていきます。
AZ-900とはどんな資格?
AZ-900は認定資格であり、本試験に合格することでクラウドサービスに関する基礎知識とMicrosoft Azureに関する基礎知識があることが認定されます。Azureに関する知識だけでなく、クラウドサービス自体についての知識も求められるためエンジニアの方だけでなく、クラウドサービスに関わる全ての人におすすめな資格といえます。
AZ-900試験の基本情報は以下です。(2023年1月時点の情報です。)
項目 | 説明 |
---|---|
試験 | AZ-900:Microsoft Azure の基礎(Microsoft Azure Fundamentals) |
受験料 | 12.500円(税抜)※「Microsoft Azure Virtual Training Day:基礎」を受講することで無料で受験できます。 |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing)方式 |
試験時間 | 45分(※着席時間65分) |
合格基準 | 700点/1000点 |
受験場所 | テストセンター(試験会場)または自宅や職場などのオンライン受験 |
※着席時間とは試験についての説明や合否発表までを含めたトータルの時間を表します
AZ-900認定試験の難易度
Microsoft Azureの認定資格では専門性の高さによって以下の3つのレベルに分かれています。
レベル | 難易度 | 対象者 |
---|---|---|
Fundamentals | 初級 | クラウドサービスやAzureを学ぶ初学者 |
Associate | 中級 | AzureやAWSなどクラウドサービスを使用した実務経験のある方 |
Expert | 上級 | クラウドサービスを熟知しており、設計から実装まで行える方 |
AZ-900はFundamentalsに分類され、比較的難易度は低いといえます。ですが、クラウドサービスやAzureに触れたことのない初学者の方であれば試験対策として3週間〜4週間程度の勉強が必要となります。
AZ-900の出題範囲
以前では6つの分野に分かれていましたが、2022年8月より3つの分野に変更されました。
変更された出題範囲や出題内容に関してはAZ-900学習ガイドよりご確認いただけます。
分野 | 割合 |
---|---|
クラウドの概念 | 25~30% |
Azure のアーキテクチャとサービス | 35~40% |
Azure の管理とガバナンス | 30~35% |
更にこの3つの分野から細分化され、全部で12のカテゴリーと55の項目から出題がされます。
各分野の詳細は次のとおりです。
クラウドの概念(25〜30%)
クラウドの概念では次の3つで構成されています。
- クラウドコンピューティングの説明
- クラウドサービスを利用することのメリット
- クラウドサービスの種類」
それぞれ細分化された内容は次のとおりです。
1. クラウドコンピューティングの説明
クラウドコンピューティングの説明では主に「クラウドとは何か?」や「パブリック、プライベート、ハイブリッドでは何が違うのか?」といったクラウドコンピューティングの定義に関する問題が出題されます。
- クラウドコンピューティングの定義
- 責任共有モデル
- パブリック、プライベート、ハイブリッドを含むクラウドモデルの定義
- 各クラウドモデルに適したユースケースの特定
- 従量課金ベースモデル
2. クラウドサービスを利用することのメリット
クラウドサービスを利用することのメリットではアベイラビリティーゾーンなどによりシステムの高可用性を確保できることなどクラウドサービスを使うとどのようなメリットを得られるかに関する問題が出題されます。
- クラウドの高可用性とスケーラビリティのメリット
- クラウドの信頼性と予測性のメリット
- クラウドのセキュリティとガバナンスのメリット
- クラウドにおける管理性のメリット
3. クラウドサービスの種類
クラウドサービスの種類では「IaaS」「PaaS」「SaaS」のそれぞれの違いや使用目的によってどのサービスを使用したらよいかといったユースケースに関する問題が出題されます。
- Infrastructure as a Service(IaaS)
- Platform as a Service(PaaS)
- Software as a Service(SaaS)
- IaaS PaaS SaaSの適切なユースケース
Azureのアーキテクチャとサービス(35~40%)
Azureのアーキテクチャとサービスでは次の4つで構成されています。
- Azureのコアアーキテクチャコンポーネント
- Azureコンピューティングとネットワークサービス
- Azureストレージサービス
- AzureのID、アクセス、およびセキュリティ」
細分化された内容は次のとおりです。
Azureのコアアーキテクチャコンポーネント
Azureのコアアーキテクチャコンポーネントでは「可用性ゾーン(アベイラビリティーゾーン)とは何か?」や「管理グループとは何か?」といったアーキテクチャとコンポーネントに関する問題が出題されます。
- リージョン、リージョンペア、ソブリンリージョン
- 可用性ゾーン
- データセンター
- リソースとリソースグループ
- サブスクリプション
- 管理グループ
- リソースグループ、サブスクリプション、管理グループの階層構造
Azureコンピューティングとネットワークサービス
Azureコンピューティングとネットワークサービスでは「オンプレミスのコンピューターから既存のAzure仮想マシンへアクセスする際、必要となる2つのリソースは何か?」などコンピューターとネットワークサービスの適切な選択方法などに関する問題が出題されます。
- コンテナインスタンス、仮想マシン、Azure Functionsなどのコンピューティングタイプの比較
- 仮想マシン、仮想マシンスケールセット、仮想マシン可用性セット、Azure Virtual Desktop、Azure Vitua Desktop スケールセットなどのVMオプション
- 仮想マシンに必要なリソース
- アプリケーションホスティングオプション(Azure App ServiceのWeb Apps機能、コンテナ、仮想マシン)
- 仮想ネットワーク(仮想ネットワークの目的、Azure仮想サブネット、ピアリング、Azure DNS、Azure VPN Gateway、Azure ExpressRoute)
- パブリックエンドポイントとプライベートエンドポイント
Azureストレージサービス
Azureストレージサービスでは「ほぼアクセスされないデータの格納に最適なアクセス層はどれか?」といったストレージサービス全般に関する問題が出題されます。
- Azureストレージサービスの比較
- ストレージ階層
- 冗長化オプション
- ストレージアカウントのオプションとストレージタイプ
- ファイル移動のオプション(AzCopy、Azure Storage Explorer、Azure File Sync)
- 移行オプション(Azure Migrate、Azure Data Box)
AzureのID、アクセス、およびセキュリティ
AzureのID、アクセス、およびセキュリティでは「ユーザーの資格情報を検証するプロセスは何と呼ばれるか?」や「Azure多要素認証について正しくない答えはなにか?」といったセキュリティなどの問題が出題されます。
- Azure Active Directory、Azure Active Directory Domain Servicesを含むAzureのディレクトリサービス
- Azureの認証方式
- Azureの外部IDとゲストアクセス
- Azure ADの条件付きアクセス
- Azureのロールベースアクセスコントロール
- ゼロトラストの概念
- 防御モデルの目的
- Microsoft Defender for Cloudの目的
Azureの管理とガバナンス(30〜35%)
Azureの管理とガバナンスは次の4つで構成されています。
- Azureのコスト管理
- ガバナンスとコンプライアンスに関するAzureの機能とツール
- Azureリソースの管理とデプロイメントを行うための機能とツール
- Azureの監視ツール
細分化された内容は次のとおりです。
1. Azureのコスト管理
Azureのコスト管理では「仮想マシンを長期で運用する場合、コスト削減に適したプランは次のうちどれか?」などAzureを使用する上でのコスト管理に関わる問題が出題されます。
- Azureのコストに影響を与える要因
- 料金計算および総保有コスト計算(TCO)ツールの比較
- Azure Cost Management and Billingツール
- タグの目的
2. ガバナンスとコンプライアンスに関するAzureの機能とツール
ガバナンスとコンプライアンスに関するAzureの機能とツールでは「新しいAzureサブスクリプションに対して既定のリソースグループとリソースを作成する場合、素早く対応できるようにするにはどのAzureサービスを用いればよいか」などAzureの機能やツールに関する問題が出題されます。
- Azure Blueprintsの目的
- Azure Policyの目的
- リソースロックの目的
- サービストラストポータルの目的
3. Azureリソースの管理とデプロイメントを行うための機能とツール
Azureリソースの管理とデプロイメントを行うための機能とツールでは「Azureポータル(Webベースの管理コンソール)」「Azure PowerShell(PowerShellコマンドレットを使用)」「Azure CLI(Pythonベースのコマンドラインプログラム)」などに関する問題が出題されます。
- Azureポータル
- Azure Cloud Shell(Azure PowerShellとAzure CLI)
- Azure Arcの目的
- Azure Resource ManagerとAzure Resource Managerテンプレート(ARMテンプレート)
4. Azureの監視ツール
Azureの監視ツールでは「____ は、Azure 環境でサービスの問題が発生したときにアラートを生成します。たとえば、すべての Azure 顧客に影響を与える、リージョンの Azure の停止などです」といった文の補完問題など、監視ツールに関する問題が出題されます。
- Azure Advisorの目的
- Azure Service Health
- Azure Monitor
AZ-900認定試験対策
勉強方法としてはMicrosoft公式のコンテンツを使用して勉強する方法やUdemyのオンライン模擬試験問題集、または一般販売されている書籍を使って勉強する方法があります。
クラウドサービスやAzureに触れたことのない初学者の方におすすめの勉強方法として、まずは書籍を使用してクラウドサービスの基礎を学んだ上で、Microsoft社のコンテンツを使用してAzureに関する知識の幅を広げる方法をおすすめ致します。書籍に関してはMicrosoft社の認定資格ということもあり、沢山の書籍が販売されているため書店やオンラインサイトなどでお気に入りの1冊を探してみてください。
今回はMicrosoft公式のコンテンツに関して説明を行います。
Microsoft Learn
Microsoft LearnはMicrosoftのWeb上で無料で公開されているe-Learning形式の学習ツールです。
このMicrosoft Learn内のAZ-900 ラーニングパスを使用すると試験範囲に含まれる内容を独学で学ぶことができます。ラーニングパスを使用するメリットは無料で利用できる点やスマホからのアクセスも可能なため、通勤中の電車移動やお昼休憩中などのスキマ時間を活用して勉強を進められる点です。デメリットは英語からの翻訳のため少し分かりにくい表現が含まれる点やボリュームがあり、全てを終えるまでに時間がかかってしまう点が挙げられます。
アクセス方法はAZ-900 ラーニングパスにアクセス後、スクロールをしていただくと画面中央に試験範囲の3分野が表示されるためそちらからアクセスを行ってください。
【推奨】Microsoft公式オンラインセミナー
まずAZ-900を受験する上で必ずご参加頂きたいのがMicrosoft公式のオンラインセミナー「Microsoft Azure Virtual Training Day: Azureの基礎」です。
このオンラインセミナーは無料で受講することができ、約3時間半のセミナーを2日間受講することでAZ-900の受験料12.500円(税抜)が無料になる特典がついてきます。セミナーでは「サーバレスとは何か?」といった内容から「IaaS PaaS SaaSの違い」などクラウドサービスの基礎から学ぶことができます。セミナー受講中も分からない事や質問したい内容があればリアルタイムチャットで質問を行うことも可能です。ただし、完全にクラウドサービスに触れたことのない初学者の方の場合は聞き慣れない言葉も多いため、まずは一度書籍やMicrosoft Learnに触れてからの受講をおすすめ致します。
オンラインセミナーへの参加方法は「Microsoft Azure Virtual Training Day: Azureの基礎」にアクセス後、ご希望の日時にある登録ボタンより参加申し込みを行えます。
AZ-900 : Microsoft Azure Fundamentals 試験対策セミナー
このオンラインセミナーはVirtual Training Dayと異なり、試験対策に特化したオンラインセミナーです。
Virtual Training Dayと違い、開催日時もないため好きなタイミングで受講することができ、約3時間の動画で試験の概要や各試験問題の特徴など解説を行ってくれます。実際に問題が出題され、答え合わせと解説を行ってくれるのですが、注意点があります。この試験対策セミナーでAZ-900の試験内容について学ぶことができるのですが、セミナー内で解説される内容については2022年8月以前の6分野での内容になります。学べる内容としては現在の試験でも応用可能な内容ですが、少し整理しつつ勉強を行わないといけないため注意が必要です。
受講方法はAZ-900 : Microsoft Azure Fundamentals 試験対策セミナーにアクセスをしていただき、受講者情報の登録を行うとメールにて参加URLが送信されます。
AZ-900試験申し込み方法
実際にAZ-900を受験する際の申し込み方法について解説を行います。
※受験の申し込みにはMicrosoftアカウントが必要です。 お持ちでない方はMicrosoftよりアカウント登録をお願い致します。
1. スケジュール設定
試験 AZ-900: Microsoft Azure の基礎にアクセスを行い、Pearson VUE でスケジュールをクリックします。(学生または講師の方はCertiport でスケジュールをクリックしてください。)
2.個人情報の登録
実際に受験を行う方の個人情報の登録を行います。この時、本人確認を行う身分証明証(運転免許証やパスポートなど)と情報の相違がないことを確かめてください。
3.割引
この時に「Microsoft Azure Virtual Training Day: Azureの基礎」を受講していると100%オフが適応されます。
4.試験オプションの選択
試験の受験方法を選択します。
実際にテストセンターへ赴き、受験をする方法と自宅や職場などからオンラインで受験する方法があります。お好きな方を選択すると試験に必要な持ち物や、自宅の場合は周辺環境に関する注意事項が表示されるため指示に従ってください。
以上で受験申し込みが完了致します。
AZ-900認定試験とはつまり
AZ-900とはMicrosoft社が実施する認定資格試験です。
Azureに関する資格の中で初級レベルのFundamentalsに位置し、合格するとクラウドサービスの基礎知識やAzureに関する知識を有するとMicrosoft社により認定されます。Azureに関する知識だけでなく、クラウドサービスに関する知識も広く浅く求められるためエンジニアの方だけでなく、クラウドサービスに関わるすべての人におすすめの資格といえます。初学者の方だと約3週間〜4週間ほどの勉強時間が必要となりますが、Microsoft社の認定資格のため試験対策に関する書籍も豊富で、何よりMicrosoft社の公式コンテンツも充実しているため独学で学ぶことができます。
また、無料で受講することができる「Microsoft Azure Virtual Training Day: Azureの基礎」では試験内容に関する基礎知識を2日間に渡って学ぶことができ、セミナー受講後はAZ-900の受験料12.500円(税抜)が無料となる特典がついてきます。これら公式コンテンツやオンラインセミナーを上手く活用することで、クラウドサービスやAzureに関する知識を学んだ上で認定資格取得までを完全無料で行うことができるため、ご興味のある方は是非挑戦してみましょう。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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