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2023.11.30

Azure入門 特徴とAWSとの比較

クラウドコンピューティングで最大規模なのはいうまでもなくAWSですが、Azureも猛追しており無視することができません。これらはあまり違いがないように思えますが、実際に使ってみるとそれぞれに特徴があるため、一方の知識がそのまま他方に使えるかというと難しいところがあります。AWSとAzureを比較することで、どこを重点的に学べばいいかということの参考になると幸いです。

1. クラウドコンピューティングの基本

クラウドコンピューティングとは、インターネットを通じて、必要なときに必要なだけ、計算、ストレージ、データベース、アプリケーションなどのITリソースを利用できるようになる技術です。

1.1 クラウドコンピューティングの概要

クラウドコンピューティングは、自社でデータセンターやサーバーファームを所有・管理する代わりに、クラウドプロバイダーが提供するリソースを利用する手法です。クラウドコンピューティングの特徴は、以下の3つです。

オンデマンド性

必要なときに必要なだけリソースを利用できるので、コストを最適化できます。

スケーラビリティ

需要に合わせてリソースを増減できるので、ビジネスの変化にも柔軟に対応できます。

共有リソース

クラウドプロバイダーが複数のユーザーでリソースを共有しているので、コストを抑えることができます。

1.2 クラウドコンピューティングとオンプレミスの比較

クラウドコンピューティングとオンプレミス(自社運用のITインフラストラクチャー)の比較は、以下の表の通りです。

項目クラウドコンピューティングオンプレミス
コスト初期投資が低く、必要なときに支払うため、コスト効率が高い場合がある初期投資が高く、ランニングコストも高額になる場合がある
スケーラビリティ需要に合わせてリソースを増減できるので、ビジネスの変化にも柔軟に対応できる物理的なリソース制約があるため、柔軟性が低い
セキュリティとコンプライアンスクラウドプロバイダーがセキュリティとコンプライアンスに関する専門知識を持つため、データセキュリティを確保できるすべてのセキュリティ対策を自社で管理する必要がある

2. Azureとは

Azureは、Microsoftが提供するクラウドコンピューティングプラットフォームです。仮想マシン、データベース、アプリケーションホスティング、人工知能(AI)、IoT(Internet of Things)など、さまざまなサービスを提供しています。

2.1 Azureの特徴

Azureの特徴は、以下の3つです。

多彩なサービス

Azureは、さまざまなクラウドサービスを提供しています。ユーザーのニーズに合わせて、必要なサービスを組み合わせて利用することができます。

グローバルなプレゼンス

Azureのデータセンターは世界中に配置されています。ユーザーは、地理的に近いリージョンを選択してリソースをデプロイすることができます。

セキュリティとコンプライアンス

Azureは、高度なセキュリティ機能とコンプライアンスを提供し、データの保護と規制順守をサポートしています。

2.2 クラウドサービスのカテゴリー

Azureのクラウドサービスは、以下の3つのカテゴリーに分けられます。

インフラストラクチャーサービス(IaaS)

仮想マシン、ストレージ、ネットワークなどの基盤を提供し、ユーザーはOSやアプリケーションを管理します。

プラットフォームサービス(PaaS)

アプリケーションの開発と実行を支援するプラットフォームを提供し、インフラストラクチャーに対する管理負荷を軽減します。

ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)

オンラインアプリケーションやサービスを提供し、ユーザーはアプリケーションの利用に専念します。Azureは、これらのカテゴリーを組み合わせて利用することができます。

3. Azureの主な特徴

特徴説明
スケーラビリティと柔軟性ユーザーが必要に応じてリソースをスケールアップまたはスケールダウンできる柔軟性を提供
セキュリティとコンプライアンスセキュリティに優れ、多層のセキュリティ対策を提供。また、規制順守に関する厳格な基準を満たし、データの保護とプライバシーを確保
インフラストラクチャー・サービスとプラットフォーム・サービスインフラストラクチャー・サービス(IaaS)とプラットフォーム・サービス(PaaS)の両方を提供。IaaSでは、仮想マシンやストレージなどの基盤を提供し、PaaSではアプリケーションの開発と実行を支援。ユーザーは適切なサービスを選択可能
サーバーレスコンピューティングサーバーレスコンピューティングをサポートし、開発者がアプリケーションコードを実行するためにサーバーを管理する必要が無い

4. AWSとの比較

この章では、Microsoft AzureとAmazon Web Services(AWS)を比較し、それぞれのクラウドプラットフォームの特徴や違いについて詳しく説明します。どちらを選択すべきかを判断する際の参考になるでしょう。

4.1 AzureとAWSの比較

AzureとAWSは、クラウドコンピューティングの2大プラットフォームとして、多くの企業や開発者に利用されています。アプローチが違うものの同じ目的で作られているため両者には多くの共通点がある一方で、いくつかの違いもあります。

項目AzureAWS
プロバイダーMicrosoftAmazon
サービスと機能幅広いサービスを提供幅広いサービスを提供
リージョンとデータセンター世界中にデータセンターを展開世界中にデータセンターを展開
料金体系オンデマンド、予約、スポットオンデマンド、予約、スポット

4.2 同等のサービスの比較

AzureとAWSは、次のように似たようなサービスを提供しています。

サービスAzureAWS
仮想マシンAzure Virtual Machines(VM)Elastic Compute Cloud(EC2)
データベースAzure SQL DatabaseRelational Database Service(RDS)
コンピューティングAzure App ServiceElastic Beanstalk
ストレージAzure Blob StorageSimple Storage Service(S3)
ネットワークAzure Virtual NetworkVirtual Private Cloud(VPC)

これらのサービスは、それぞれに独自の特徴やメリットがあります。例えば、Azure Virtual Machinesは、Windows ServerやLinuxなどのオペレーティングシステムを実行できる仮想マシンを提供します。AWS Elastic Compute Cloud(EC2)は、Windows ServerやLinuxなどのオペレーティングシステムを実行できる仮想マシンを提供します。

4.3 選択肢の検討

AzureとAWSの選択は、プロジェクトの要件やビジネス目標に依存します。以下のポイントを検討しましょう。

データセンターの地理的な位置

差異はほぼありません。 Azureは世界中に多くのリージョンを持っており、地理的な要件に合わせてデータセンターを選択できます。例えば、ヨーロッパにデータセンターを必要とする場合、Azureは多くのヨーロッパのリージョンを提供しています。

AWSも多くのリージョンを提供していますが、特定の地理的な要件に合わせて選択する必要があります。AWSのリージョンも世界中に分布しており、選択肢は豊富です。

スケーラビリティとコスト

Azureの方が若干コストが高くなると言われています。 Azureはスケーラビリティに優れ、需要に合わせてリソースをスケールアップまたはスケールダウンできます。また、Pay-As-You-Goの料金体系を採用しており、必要なリソースに対してのみ支払いが発生します。

AWSもスケーラビリティに優れており、多くのサービスでオートスケーリングをサポートしています。AWSも従量課金制を提供しており、リソースの使用に応じて課金されます。

セキュリティとコンプライアンス

どちらも堅牢です。 Azureは高度なセキュリティ機能とコンプライアンスを提供し、多くの規制順守要件を満たします。企業や産業に特有のセキュリティニーズに対応するためのツールも提供しています。

AWSもセキュリティ対策とコンプライアンスに力を入れており、多くの認証や規制順守をサポートしています。AWS Identity and Access Management(IAM)などのツールも提供されています。

AzureとAWSはどちらも強力なクラウドプラットフォームですが、それぞれの特徴やメリットを理解した上で、プロジェクトのニーズに応じて選択することが重要です。

5. Azureの利用事例

Microsoft Azureの実際の利用事例に焦点を当て、企業や開発者がAzureをどのように活用しているかについて詳しく説明します。Azureの多様な機能を活かした成功事例を紹介します。

5.1 企業の成功事例

Azureを利用する企業は多岐にわたります。以下は一部の成功事例です。

  • ゼネラルエレクトリック(GE) は、Azureを使用して、IoTデータを収集し解析し、製造プロセスを最適化しています。
  • BMWは、Azureをクラウドプラットフォームとして採用し、自動車開発からカスタマーサービスまで幅広いアプリケーションを構築しています。
  • Adobeは、Azureをデジタルエクスペリエンスプラットフォームの一部として利用し、クラウドベースのソフトウェアを提供しています。

5.2 開発者による利用事例

開発者もAzureを利用してさまざまなアプリケーションやサービスを構築しています。次のような利用方法があります。

Webアプリケーション

Azure App Serviceを使用して、スケーラブルなWebアプリケーションを開発。

データ分析

Azure DatabricksやAzure Machine Learningを使用して、データ分析や機械学習プロジェクトを実施。

サーバーレスアーキテクチャ

Azure Functionsを活用して、サーバーレスなアプリケーションを構築。

6. Azureの学習と認定

ここではMicrosoft Azureを学び、認定資格を取得する方法について詳しく説明します。AWSの認定資格に比べるとメジャーでは無いですが、Azureのスキルを習得し、認定を取得することは、クラウドコンピューティングの分野でのキャリアを築くために重要です。

6.1 Azureを学ぶ方法

Azureを学ぶ方法は多岐にわたります。以下はいくつかのオプションです。公式の資料が比較的わかりやすいので、まずは公式資料を押さえましょう。

Microsoft Learn

Microsoft Learnは無料のオンラインプラットフォームで、Azureに関する幅広いトピックの学習コンテンツが提供されています。ハンズオンラボやセルフペースのコース、ビデオなど、さまざまな学習方法が用意されています。

https://learn.microsoft.com/ja-jp/

オンラインコース

オンライン教育プラットフォーム(Coursera、edX、Udemyなど)では、Azureに関する有料コースが提供されており、専門的な知識を深めることができます。

Azureの無料トライアル

Microsoftは、Azureの無料トライアルを提供しています。このトライアルを利用することで、Azureのサービスを実際に試して、自分に合っているかどうかを確認することができます。

6.2 Azureの認定資格

Azureの認定資格は、スキルを証明し、キャリアの発展に役立ちます。以下はいくつかのAzure認定資格の例です。特にAZ-104は実務でAzureを使う人は取得しておいて損はないと認定資格です。

Microsoft Certified: Azure Fundamentals (AZ-900)

Azureの基本的な概念とサービスを理解するためのエントリーレベルの認定資格。

Microsoft Certified: Azure Administrator Associate (AZ-104)

Azureの管理者としてのスキルを証明する認定資格。

Microsoft Certified: Azure Solutions Architect Expert (AZ-303, AZ-304)

Azureのアーキテクトとしてのスキルを証明する認定資格。

Microsoft Certified: Azure Developer Associate (AZ-204)

Azureでのアプリケーション開発スキルを証明する認定資格。

これらの認定資格は、Azureの異なる役割やスキルレベルに合わせて設計されており、個々のキャリア目標に適したものを選択できます。 次の記事で詳しく説明しています。

https://envader.plus/article/106

6.3 認定の重要性

Azureの認定は、雇用可能性を高め、プロジェクトへの参加やキャリアの成長に寄与します。多くの企業はAzure認定を尊重し、Azureスキルを持つプロフェッショナルを求めています。認定はスキルを証明し、信頼性を高める重要な手段と言えます。筆者の経験からくる感想ですが、Azureのプロジェクトは大手企業に多い印象があります。当然認定資格の有無を問われることがあります。

まとめ

Microsoft Azureは、企業や開発者がクラウドコンピューティングのメリットを活用できるようにする、強力なプラットフォームです。Azureは、多彩なサービス、優れたスケーラビリティ、高度なセキュリティ、グローバルなプレゼンスなどの特徴を備えています。

Azureの利用事例は多岐にわたります。ウェブアプリケーションホスティング、データ分析、バックアップ、IoTプロジェクト、コンテナ化など、さまざまな用途に活用されています。

Azureを学び、認定を取得することは、クラウドコンピューティング分野でのキャリアを築くために重要です。Microsoft Learnやオンラインコースを活用し、適切な認定資格を取得しましょう。

Azureは、AWSに比べるとあまり話題になりませんが市場規模などは引けをとりません。学ぶ価値は十二分にあると思います。

エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

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