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2024.06.22

Azureストレージアカウント徹底解説 AWSとの違いは?

Azureストレージアカウント徹底解説 AWSとの違いは?

はじめに

クラウド学習に励む皆さん、捗っていますか?今回はAzureストレージアカウントについて理解を深めていきましょう。

Azureストレージアカウントは、クラウド上でデータを保存・管理するための基本的なサービスです。この記事では、Azureストレージアカウントの種類や設定方法、他のクラウドサービスとの比較などを詳しく解説します。ストレージアカウントの代表的な使用例も紹介し、その重要性を理解していただける内容となっています。

ストレージアカウントの理解が難しい

ストレージアカウントという概念は一見すると難しそうに思えるかもしれません。しかし、その基本を理解することで、クラウド環境でのデータ管理がどれほど便利で効率的になるかが見えてきます。データの保存場所やアクセス方法、セキュリティ対策など、多くの要素が絡んでいますが、この記事を通じて一つ一つ分かりやすく説明していきます。

ストレージアカウントとは?

ストレージアカウントは、Azureクラウド上でデータを安全に保存・管理するための基盤です。ユーザーはデータを効率的かつ安全に保存できるようになります。ストレージアカウントは、データの管理、アクセス制御、セキュリティ設定などを一元管理するためのものです。

ファイルキャビネットとしてのストレージアカウント

例えば、会社での書類整理を考えてみましょう。大切な書類や写真を保管するために、整理整頓されたファイルキャビネットを用意します。このキャビネットは、書類や写真を分類し、必要なときにすぐに取り出せるように管理するためのものです。Azureストレージアカウントも同様に、クラウド上でデータを分類・管理するための「キャビネット」の役割を果たします。

ストレージアカウントの構造と機能

ストレージアカウントには以下のような機能があります。

  • データの保存と管理

    大量のデータを効率的に保存し、容易にアクセスできるように管理します。

  • アクセス制御

    ユーザーやアプリケーションによるデータアクセスを制御し、セキュリティを確保します。

  • 統合管理

    データのセキュリティ設定、監視、バックアップを一元的に管理します。

ストレージアカウントの簡単な理解

難しく考えずに、ストレージアカウントは「クラウド上のファイルキャビネット」と考えるとわかりやすいでしょう。このキャビネットには、様々な種類のデータを安全に保管し、必要なときにすぐに取り出せるようにする機能が備わっています。Azureストレージアカウントを利用することで、データ管理がより効率的になり、セキュリティも向上します。

Azureストレージアカウントの種類

Azureストレージアカウントには、さまざまな種類のストレージオプションが用意されています。それぞれのストレージタイプには特定の用途やメリットがあり、データの種類や使用シナリオに応じて最適なものを選択することが重要です。以下では、主要なストレージタイプについて説明します。

Blobストレージ

Blob (Binary Large Object) は、大量の非構造化データを保存するためのストレージサービスです。

Blobストレージは、画像や動画、ログファイル、バックアップデータなどを保存するのに適しています。Blobストレージの利用シナリオとしては、静的コンテンツのホスティング、データのバックアップとアーカイブ、ビッグデータ分析のためのデータレイクなどがあります。

ファイルストレージ

Azure Filesは、クラウド上でファイル共有を提供するサービスです。

オンプレミスのファイルサーバーと同様の使い勝手でファイルを共有することができます。ファイルストレージの利便性としては、複数のユーザーやアプリケーションが同時にアクセスできること、オンプレミスのファイルサーバーの代替として利用できることなどがあります。

具体的な適用例としては、企業内でのファイル共有や、アプリケーションの設定ファイルの保存などが挙げられます。

キューストレージ

メッセージキューは、非同期メッセージングを実現するためのサービスです。

Azure Queue Storageは、アプリケーション間でメッセージをキューイングし、信頼性の高い方法で配信します。メッセージキューの使用例としては、分散システム間の通信、バックグラウンドジョブの管理、スケーラブルなタスク処理などがあります。

パフォーマンスの最適化には、適切なメッセージサイズやキューの管理方法を考慮することが重要です。

テーブルストレージ

NoSQLデータベースであるAzure Table Storageは、スキーマレスな構造でデータを保存します。

柔軟なデータモデリングが可能となり、大量のデータを迅速に処理できます。テーブルストレージの利点としては、コスト効率が高く、拡張性があることが挙げられます。

具体的な使用ケースとしては、ユーザー情報の保存、IoTデバイスのデータ収集、ログデータの保存などがあります。

Azureストレージアカウントの作成方法

Azureストレージアカウントを作成するには、いくつかの方法があります。ここでは、代表的な方法であるAzureポータル、Azure CLI、そしてInfrastructure as Code (IaC) ツールを使用した方法について説明します。

Azureポータルを使った作成手順

Azureポータルは、Webブラウザを通じてAzureリソースを管理するためのGUIベースのツールです。ポータルを使ってストレージアカウントを作成する手順は、簡単で直感的に操作できます。

  1. Azureポータルにログインします。
  2. 「ストレージアカウント」 を選択します。
  3. 「+ 追加」 ボタンをクリックします。
  4. 必要な設定項目(アカウント名、リソースグループ、リージョン、SKUなど)を入力します。リージョンは 「Japan East」 または 「Japan West」 を選択します。
  5. 「確認および作成」 ボタンをクリックして、設定内容を確認します。
  6. 「作成」 ボタンをクリックして、ストレージアカウントを作成します。

ポータルを使った効率的な操作方法には、テンプレートを活用したリソースの一括作成や、ダッシュボードのカスタマイズなどがあります。

Azure CLIを使った作成手順

Azure CLIは、コマンドラインを通じてAzureリソースを管理するためのツールです。CLIを使用することで、自動化スクリプトを作成し、繰り返し行う操作を効率化できます。

以下のコマンドを使用して、ストレージアカウントを作成します。

az storage account create --name <アカウント名> --resource-group <リソースグループ名> --location Japan East --sku Standard_LRS

CLIを使った自動化のメリットとしては、一貫性のある設定が容易に行えること、CI/CDパイプラインに組み込むことで継続的なデプロイが可能になることなどが挙げられます。

Infrastructure as Code (IaC) を使った作成手順

Infrastructure as Code (IaC) は、コードベースでインフラストラクチャを管理・構築する方法です。代表的なツールにはTerraformやAzure Resource Manager (ARM) テンプレートがあります。

Terraformを使った作成手順

Terraformは、クラウドリソースを宣言的に管理するためのオープンソースツールです。以下のようなHCL (HashiCorp Configuration Language) を使用して、ストレージアカウントを作成します。

provider "azurerm" {
  features {}
}

resource "azurerm_resource_group" "example" {
  name     = "example-resources"
  location = "Japan East"
}

resource "azurerm_storage_account" "example" {
  name                     = "examplestorageacct"
  resource_group_name      = azurerm_resource_group.example.name
  location                 = azurerm_resource_group.example.location
  account_tier             = "Standard"
  account_replication_type = "LRS"
}

Terraformを使用することで、インフラストラクチャの状態をコードとして管理でき、バージョン管理や自動デプロイが容易になります。

ARMテンプレートを使った作成手順

Azure Resource Manager (ARM) テンプレートは、JSON形式でAzureリソースを定義するためのテンプレートです。以下のようなテンプレートを使用して、ストレージアカウントを作成します。

{
  "$schema": "https://schema.management.azure.com/schemas/2019-04-01/deploymentTemplate.json#",
  "contentVersion": "1.0.0.0",
  "resources": [
    {
      "type": "Microsoft.Storage/storageAccounts",
      "apiVersion": "2019-06-01",
      "name": "examplestorageacct",
      "location": "Japan East",
      "sku": {
        "name": "Standard_LRS"
      },
      "kind": "StorageV2",
      "properties": {}
    }
  ]
}

ARMテンプレートを使用することで、Azure環境の再現性が高まり、複雑なデプロイメントを簡単に行うことができます。

ストレージアカウントの管理と設定

ストレージアカウントを効果的に管理・設定することは、データの効率的な利用とセキュリティ確保のために非常に重要です。以下に、基本的な設定項目、アクセス制御、暗号化とセキュリティについて説明します。

ストレージアカウントの設定項目

ストレージアカウントの基本設定には、アカウントの種類、レプリケーションオプション、アクセス層の設定などがあります。

最適な設定例としては、頻繁にアクセスされるデータにはホットアクセス層を、アクセス頻度の低いデータにはクールアクセス層を選択するなどが挙げられます。コストを抑えつつパフォーマンスを最適化できます。

アクセス制御

共有アクセス署名 (SAS) やAzure AD認証を使用して、ストレージアカウントへのアクセスを制御できます。

SASは、特定の権限を持ったトークンを生成し、一時的にアクセスを許可する方法です。Azure AD認証は、組織のディレクトリサービスと統合し、ユーザーやグループに基づいたアクセス制御を提供します。

セキュリティ強化のためのアクセス制御方法には、最小権限の原則を適用し、必要最低限のアクセス権を設定することが重要です。

ストレージの暗号化とセキュリティ

データ暗号化は、ストレージに保存されるデータを保護するための重要な手段です。

Azureストレージは、デフォルトでサーバーサイド暗号化を提供し、保存データを自動的に暗号化します。さらに、クライアントサイド暗号化を使用して、データがストレージに送信される前に暗号化することもできます。

Azureストレージにおけるセキュリティベストプラクティスとしては、暗号化キーの管理セキュリティモニタリングアクセスログの定期的な確認などが挙げられます。

以上のように、ストレージアカウントの適切な管理と設定により、データの安全性と効率的な運用が確保されます。

AzureとAWSのストレージサービスの比較

AzureとAWSのストレージサービスには、それぞれ異なる特徴や利点があります。以下では、AzureストレージとAWS S3の違い、料金体系の比較、データの冗長性と可用性の違いについて詳しく説明します。

AzureストレージとAWS S3の違い

AWS S3は、Amazonのオブジェクトストレージサービスであり、AzureのBlobストレージと似ています。しかし、AzureにはS3に相当する単一のサービスではなく、ストレージアカウントという複数のストレージサービスをまとめたサービスがあります。

両サービスの主要な違いとしては、APIの互換性データ管理ツールの違いサポートされる機能の範囲などがあります。例えば、AzureストレージはAzure Data Lake Storageとの統合が容易であり、大規模なデータ分析に適しています。AWSにはストレージアカウントのようなまとまったサービスはありませんが、S3やEBS、Glacierなどの個別のストレージサービスが提供されています。

料金体系の比較

料金体系の基本には、ストレージ容量、データ転送量、リクエスト数などが含まれます。

AzureとAWSの料金体系を比較すると、各サービスのコスト構造に違いがあることがわかります。例えば、Azureはアクセス頻度に基づいた料金設定を提供しており、データの使用パターンに応じてコストを最適化できます。

コスト最適化のためのヒントとしては、不要なデータの削除、アクセス層の適切な選択、長期保存データのアーカイブ化などがあります。

データの冗長性と可用性の違い

冗長性と可用性は、データの耐久性とアクセス可能性を確保するための重要な要素です。

AzureとAWSはそれぞれ異なる冗長性と可用性の戦略を持っています。Azureでは、ローカル冗長ストレージ (LRS)ゾーン冗長ストレージ (ZRS)ジオ冗長ストレージ (GRS) などのオプションが提供されており、データの保護と可用性を確保します。AWSも同様に、S3の標準ストレージクラスやクロスリージョンリプリケーションなど、さまざまな冗長性オプションを提供しています。

各クラウドプロバイダーの冗長性と可用性戦略の比較を通じて、最適なストレージオプションを選択することができます。

慣れることでの理解

これらの違いや特徴を文章で理解するのは難しいかもしれませんが、実際に使用してみることで、その違いが自ずと理解できるようになります。ストレージサービスの利用を通じて、どのサービスが自分のニーズに最適であるかを実感できるでしょう。

まとめ

Azureストレージアカウントは、多様なデータストレージニーズに対応できる強力なサービスです。この記事を通じて、Azureストレージアカウントの基本概念、具体的な種類、作成方法、管理と設定、そしてAWSとの比較について詳しく理解していただけたでしょう。

Azureストレージアカウントの利点としては、Blobストレージを利用した大量の非構造化データの保存、Azure Filesを利用したクラウド上でのファイル共有、キューストレージを利用した非同期メッセージング、そしてテーブルストレージを利用したスキーマレスなデータ保存が挙げられます。さまざまなデータ管理ニーズに対応することができます。

作成方法については、AzureポータルやAzure CLI、TerraformやARMテンプレートを使った方法を紹介しました。それぞれの方法にはメリットがあり、自分に合った方法を選ぶことが重要です。

また、アクセス制御データの暗号化といったセキュリティ面でも、Azureストレージアカウントは強力な機能を提供しています。データの安全性を確保しつつ効率的に管理することが可能です。

AzureとAWSのストレージサービスの比較では、Azureのストレージアカウントが複数のサービスを統合して提供するのに対し、AWSは個別のサービスを提供している点を確認しました。これらの違いを理解することで、自分のプロジェクトに最適なクラウドサービスを選択できるようになります。

これらの内容を活用して、ぜひ実際のプロジェクトでAzureストレージアカウントを試してみてください。使用に慣れることで、その利便性や機能をより深く理解できるでしょう。

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エンベーダー編集部

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