一般的にストレージとは、データや情報をデジタル形式で保存するための空間です。コンピューター、スマートフォン、サーバーなど、様々なデバイスに搭載されており、私たちが作成した文書、写真、動画などを保管し、必要な時にいつでもアクセスできるようにします。
クラウド時代のストレージ選び
クラウドコンピューティング技術の発展と共に、ストレージは重要な要素となりました。クラウドストレージは従来の物理ストレージに代わるものとして登場し、パフォーマンス、コスト、セキュリティ、利便性など様々な点で影響を与えるため、適切なサービスを選ぶことが重要です。
主なクラウドストレージには、オブジェクトストレージ(大規模な非構造化データ向け)、ブロックストレージ(データベースやI/O頻繁ワークロード向け)、ファイルストレージ(ファイル共有・協業向け)の3種類があります。
本記事では、AWSとAzureが提供するストレージサービスの違いを明らかにし、各サービスの特徴、適用シナリオ、利点を解説します。クラウドストレージの初心者や選定を行う方々向けに、プロジェクトやビジネスニーズに最適なストレージ選択の決定に役立つ知識を提供します。
クラウドストレージの種類
クラウドストレージには、オブジェクトストレージ、ブロックストレージ、ファイルストレージの3つの主要タイプがあります。
以下の表は、クラウドサービスプロバイダ(CSP)別にオブジェクトストレージ、ブロックストレージ、ファイルストレージサービスを整理し、各サービスの説明を含めています。これにより、AWSとAzureの各ストレージサービスの特徴を明確に理解することができます。
オブジェクトストレージ
非構造化データをオブジェクトとして保存し、大規模データの保存に適しています。
CSP | サービス | 説明 |
---|---|---|
AWS | Amazon S3 | AWSのオブジェクトストレージサービス。大量の非構造化データ保存に適しています。 |
Azure | Azure Blob Storage | Azureのオブジェクトストレージサービス。大規模非構造化データの保存やWebコンテンツ配信に利用されます。 |
ブロックストレージ
データを固定サイズのブロックで管理し、高速I/Oが必要なデータベースやアプリに適しています。
CSP | サービス | 説明 |
---|---|---|
AWS | Amazon EBS (Elastic Block Store) | AWSの高性能ブロックストレージ。EC2インスタンスに接続し、データベースやアプリのストレージとして利用されます。 |
Azure | Azure Disk Storage | Azureの高性能ブロックストレージ。Azure VMに接続され、VMのディスクとして機能します。 |
ファイルストレージ
ファイルとディレクトリの階層構造を提供し、共有ファイルシステムやファイル共有に適しています。
CSP | サービス | 説明 |
---|---|---|
AWS | Amazon EFS (Elastic File System) | AWSのファイルストレージサービス。複数EC2インスタンスからのアクセスが可能で、共有データストレージに適しています。 |
Azure | Azure Files | Azureのファイルストレージサービス。クラウド上の共有ファイルシステムとして機能します。 |
それぞれのストレージタイプは、用途に合わせて使い分ける必要があり、パフォーマンス、コスト、セキュリティなどの観点から最適なサービスを選択することが重要です。
サービス比較
オブジェクトストレージ比較 Amazon S3 vs Azure Blob Storage
-
保存データの種類
- Amazon S3とAzure Blob Storageはどちらも非構造化データの保存に適しており、任意の種類のデータを無制限に保存できます。
- Azure Blob Storageは、ホット、クール、アーカイブの3つのアクセス層を提供し、データアクセス頻度に基づいたコスト最適化が可能です。
-
機能の違い
- Amazon S3は、バージョニング、ライフサイクルポリシー、マルチパートアップロードなどの独自機能を提供します。
- Azure Blob Storageは、Azure Data Lake Storage Gen2との統合を通じて、ビッグデータ分析に適した機能を強化しています。
ブロックストレージ比較 Amazon EBS vs Azure Disk Storage
-
性能
- Amazon EBSは、プロビジョニングされたIOPSオプションで高いI/Oパフォーマンスを実現できます。
- Azure Disk Storageは、Ultra Diskを含む複数のディスクタイプを提供し、幅広いワークロードに対応可能です。
-
保存場所の違い
- Amazon EBSボリュームは特定のEC2インスタンスに接続されますが、別インスタンスへの接続変更も可能です。
- Azure Disk Storageは、Azure VMに接続されますが、VMから独立したリソースとして管理・永続化されます。
ファイルストレージ比較 Amazon EFS vs Azure Files
-
スケーラビリティ
- Amazon EFSは自動的にスケールアップ/ダウンし、ペタバイト規模のデータをサポートします。
- Azure Filesはシェアあたり最大5TBの容量を提供し、ストレージアカウントで最大100TBまでスケールできます。
-
アクセスと統合
- Amazon EFSは、NFSプロトコルでEC2インスタンスからアクセス可能で、オンプレミスからの直接接続もサポートしています。
- Azure Filesは、SMBプロトコルでWindows、Linux、macOSからアクセス可能で、Azure RBAC(ロールベースアクセス制御)によるセキュリティ強化が可能です。
-
パフォーマンスと価格設定
- Amazon EFSは、パフォーマンスモードとストレージクラス(標準、IAモード)を選択できるため、コストを最適化可能です。
- Azure Filesは、標準とプレミアム(キャッシュ利用可能で低遅延)の2つのパフォーマンス層を提供します。料金は層とプロビジョニング容量に基づきます。
統合とエコシステム
-
AWS
- AWSストレージサービスは他のAWSサービスと緊密に統合されています。Amazon S3は分析サービスと連携してデータレイクを構築でき、Amazon EFSはAmazon ECS/EKS、AWS Lambdaと統合できます。
-
Azure
- Azureストレージサービスも、Azure内の多くのサービスと統合されています。Azure Blob StorageはHDInsight、Databricksなどのビッグデータ/分析サービスと連携してデータレイクを構築でき、Azure FilesはAzure Kubernetes Serviceと統合できます。
以上のように、AWSとAzureのストレージサービスには、テクニカル要件、コスト、将来の拡張性など、さまざまな観点で違いがあります。オブジェクト、ブロック、ファイルストレージの各サービスには独自の特徴と利点があり、ユースケースやアプリケーション要件に最適な選択肢を提供します。これらの違いを総合的に評価し、ビジネス目標と技術的要件に最も適合するサービスを選択することが重要です。
以下に、AWSとAzureの主要なストレージサービスの強みと弱点をまとめた表、およびユースケース別のおすすめサービスを提供します。この情報は、クラウドストレージの選択において、バランスの取れた視点から判断を下すのに役立ちます。
各サービスの強みと弱み
サービス | 強み | 弱み |
---|---|---|
Amazon S3 | 高い耐久性とスケーラビリティ、広範な統合オプション | アクセス頻度の低いデータのコスト |
Amazon EBS | 高性能、低遅延、EC2との密接な統合 | 地域外への非対応(インスタンス固有のストレージ) |
Amazon EFS | 高いスケーラビリティ、簡単な管理、複数のEC2での共有 | コストが高め、特に小規模利用において |
Azure Blob Storage | ホット、クール、アーカイブのアクセス層、高いスケーラビリティ | ストレージアカウントごとに制限がある |
Azure Disk Storage | 高性能、特にUltra Diskでの超高速I/O | 高性能ディスクはコストが高い |
Azure Files | 簡単な共有とアクセス、Azure ADとの統合 | スケーラビリティに限界がある、比較的高コスト |
ユースケース別のおすすめサービス
- 静的コンテンツ配信
- AWS: Amazon S3
- Azure: Azure Blob Storage
- 仮想マシンディスク
- AWS: Amazon EBS
- Azure: Azure Disk Storage
- 共有ファイルストレージ
- AWS: Amazon EFS
- Azure: Azure Files
- コンテナストレージ
- AWS: Amazon EFS (永続ストレージが必要な場合)
- Azure: Azure Files (Kubernetes環境での共有ストレージが必要な場合)
- ビッグデータとデータレイク
- AWS: Amazon S3
- Azure: Azure Blob Storage (特にData Lake Storage Gen2との統合を利用する場合)
- バックアップとアーカイブ
- AWS: Amazon S3 (長期保持が必要な場合、Glacierを利用)
- Azure: Azure Blob Storage (クールおよびアーカイブ層を利用)
この比較からわかるように、AWSとAzureの各ストレージサービスにはそれぞれ特有の強みと適用シナリオが存在します。選択は、特定のユースケースの要件、コスト感度、既存のインフラとの統合性などを考慮して行う必要があります。最終的に、各組織のニーズに最も適したサービスを選択することが重要です。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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