1. ホーム
  2. 記事一覧
  3. 【図解】TCP/IPとは?仕組みをわかりやすく徹底解説!

2025.11.23

【図解】TCP/IPとは?仕組みをわかりやすく徹底解説!

はじめに

インターネットで私たちが使うWebサイトやメール、SNSは、裏側でデータ通信が正しく行われることで成り立っています。その仕組みを支えているのがTCP/IPモデルです。

TCP/IPモデルは、世界中の機器が共通ルールに従ってやり取りできるように定められた通信のルールです。その仕組みを理解することで、トラブル発生時の問題を切り分けやすくなり、新しい技術への理解もスムーズになります。その結果、エンジニアとしての信頼性や応用力が高まります。

この記事では、TCP/IPモデルの構造と4つの階層、それぞれの役割について初心者向けにわかりやすく解説します。

TCP/IPモデルとは

TCP/IPモデルは、ネットワーク上でコンピュータ同士がデータをやり取りするための通信ルールプロトコルです

正式には「インターネット・プロトコル・スイート」と呼ばれ、現在ではほとんどのネットワーク機器やアプリケーションがこの仕組みに対応しています。

TCP/IPモデルは通信を4つの階層に分け、それぞれが異なる役割を担当します。階層化することで、複雑な仕組みを整理し、効率よくデータを送受信できるようになっています。

プロトコルとは

プロトコルとは、コンピュータ同士が正しく通信するための決まりごと約束事のことです

たとえば、私たちが会話をするときにも「言葉のルール(日本語・英語など)」があるように、コンピュータの世界でも情報を正確にやり取りするには共通のルールが必要です。

TCP/IPは、こうしたプロトコルの集合体であり、複数のプロトコルが役割を分担しながら通信を支えているのが特徴です。

▼プロトコルについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

プロトコルとは?初心者でもわかる通信ルールの基本をやさしく解説!

https://envader.plus/article/539

TCP/IPの階層とプロトコル

インターネットを流れるデータは、いくつかの段階に分けて処理されています。これを整理したものがTCP/IPの4階層モデルです。

通信の役割をアプリケーション層・トランスポート層・インターネット層・ネットワークインターフェース層の4つに分けています。それぞれの層は独立して役割を持ち、複雑な通信をシンプルに整理し、効率よく処理できる仕組みになっています。

名称代表的なプロトコル・規格主な役割・利用例
4層アプリケーション層HTTP / HTTPS, SMTP, POP3, IMAP, DNS, DHCP, FTP などWeb閲覧、メール、ファイル転送
3層トランスポート層TCP, UDPTCP:確実な通信、UDP:高速な通信
2層インターネット層IP, ICMP, ARP など宛先の指定、経路決定
1層ネットワークインターフェース層Ethernet, Wi-Fi, PPP などデータ送受信、機器識別

これから4階層それぞれの概要を順番に確認していきましょう。

アプリケーション層

アプリケーション層は、ユーザーが利用するアプリケーションに合わせてデータの形式や、やり取りの手順を決める役割を担います。

文字や画像、音声といった情報を、人が認識できる形に変換し、Webブラウザやメールソフトなどで扱えるようにするのがこの層の特徴です。

この層で利用される代表的なプロトコルには、以下のようなものがあります。

  • HTTP / HTTPS:Webサイトの閲覧
  • SMTP:メールの送信
  • POP3 / IMAP:メールを受信
  • FTP / SFTP:ファイルの転送

アプリケーション層があることで、私たちは仕組みを意識せずにWebやメールなどのサービスを利用できるようになっています。

トランスポート層

トランスポート層は、アプリケーション層から受け取ったデータを分割して送り、相手から受け取ったデータを正しく組み立てる役割を担います。

送信時には、大きなデータを小さな単位(セグメント)に分けて番号をつけ、順番に相手へ届けます。受信時には、その番号を確認しながら並べ直し、欠けている部分があれば再送を要求して正しい形に戻します。

このとき利用される代表的なプロトコルが「TCP」と「UDP」です。

  • TCPTransmission Control Protocol

    信頼性を重視し、データが確実に届くように制御します。送信後に応答を確認し、不足や順番の乱れがあれば修正します。Webブラウジングやメールの送受信など、正確さが求められる通信で利用されます。

  • UDPUser Datagram Protocol

    届いたかの確認は行わず、とにかく高速にデータを送ります。動画配信やオンラインゲーム、音声通話(VoIP)など、多少の欠損よりもリアルタイム性が重要な通信に利用されます。

このように、トランスポート層では通信の性質に応じて最適な方法を選べる仕組みになっています。

▼TCPとUDPについて、以下の記事で詳しく解説しています。2つのプロトコルの違いから、実際の用途などを知りたい方はご覧ください。

TCPとUDPの違い用途を実際の使用例を交えて解説

https://envader.plus/article/208

インターネット層

インターネット層は、複数のネットワーク間でデータを転送し、目的地まで届ける役割を持っています。送り先の住所にあたるIPアドレスを参照し、データをルーター経由で転送し、最終的に宛先のコンピュータに届けます。

この層の代表的なプロトコルは以下です。

  • IPInternet Protocol

    通信相手を特定するための住所(IPアドレス)を扱う基本プロトコルです。

  • ICMPInternet Control Message Protocol

    ネットワークの状態を確認するための制御用プロトコルです。

  • ARPAddress Resolution Protocol

    IPアドレスからMACアドレスを調べるためのプロトコルです。

インターネット層は「どこに届けるか」を決める層であり、ルーターなどのネットワーク機器もこの層で動作します。

▼ARPとRARPについては以下の記事で詳しく解説しています。

ネットワークの基本 ARPとRARPについて

https://envader.plus/article/205

ネットワークインターフェース層

ネットワークインターフェース層は、物理的なネットワーク接続とデータの送受信を担当する層です。送信時には、アプリケーションからきたデータを電気信号や電波に変換してネットワーク上に伝送し、受信時には信号をデータに戻して上の層に渡します。

この層では、次のようなさまざまな物理媒体が使われます。

  • Ethernet:有線LANの標準規格
  • Wi-FiIEEE 802.11):無線LANの標準規格
  • PPPPoint to Point Protocol):ダイヤルアップや一部の専用線で利用される接続規格

また、同じネットワーク内でどの機器と通信するかを判断するためにMACアドレスを利用します。インターネット全体ではなく、ローカルネットワーク内でのやり取りを担当する点が特徴です。


ここまで紹介したとおり、TCP/IPモデルはアプリケーション層・トランスポート層・インターネット層・ネットワークインターフェース層の4つで構成されています。

それぞれが役割を分担することで、Web閲覧やメール、動画配信など、日常的に使っているサービスがスムーズに動いています。

▼さらに理解を深めたい方は、以下の記事も参考にしてください。通信の仕組みやHTTPの動きがより具体的にイメージできるようになります。

次に、ネットワークの仕組みを説明するときによく登場するOSI参照モデルとの違いを確認してみましょう。

TCP/IPモデルとOSI参照モデルの違い

ネットワーク通信の仕組みを整理して理解するために、TCP/IPモデルOSI参照モデルという2つの考え方があります。どちらも「通信を階層に分けて役割を整理するモデル」ですが、その目的や構造には違いがあります。

OSI参照モデル:理論的に整理された7階層

OSI参照モデルは、ネットワーク通信をより細かく定義するために作られた7層構造を持ち、各層での役割がより明確に分かれています

7層構造により、データがネットワークを通じてどのように移動するかを詳細に理解できます。各層が独立しているため、問題が発生した場合、特定の層に焦点を当ててトラブルシューティングが可能です。

どちらを学ぶべきか?現場での使われ方

TCP/IPモデルは、実際のネットワーク設計や運用に直結するため、現場でよく使用されます。一方、OSI参照モデルは、通信プロトコルの学習やトラブルシューティングのフレームワークとして役立ちます

初心者には、まずはTCP/IPモデルを理解することが推奨されますが、より深くネットワークを理解するためにOSI参照モデルも学んでおくと役立つでしょう。

▼2つのモデルについては、以下の記事で詳しく解説しています。さらに理解を深めたい方はぜひご覧ください。

まとめ

この記事では、ネットワーク通信の基本となるTCP/IPモデルを初心者向けに解説しました。最後に大切な部分を振り返りましょう。

TCP/IPモデルは、ネットワーク上でコンピュータ同士がデータをやり取りするための通信ルールプロトコル)です。通信を次の4つの階層に分け、効率よくデータを送受信できるようになっています。

  • アプリケーション層

    ユーザーが利用するアプリケーションに合わせて、データの形式ややり取りの手順を決めます。

  • トランスポート層

    アプリケーション層から受け取ったデータを分割して送り、相手から受け取ったデータを正しい形に組み立てます。

  • インターネット層

    送り先の住所にあたるIPアドレスを参照して、複数のネットワーク間でデータを転送し、目的地まで届けます。

  • ネットワークインターフェース層

    データを電気信号や電波に変換してネットワーク上に伝送し、受信時には信号をデータに戻して上位層に渡します。

ネットワークの基本を理解しておくと、トラブル対応や新しい技術の習得にも役立ち、エンジニアとしての強みにつながります。少しずつ理解を深め、ネットワークの知識を深めていってください。

参考資料

以下のリンクは、この記事で解説した手順や概念に関連する参考資料です。より詳しく学びたい方は、ぜひご覧ください。

【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

IT未経験者必見 USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。

「フリーランスエンジニア」

近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。

「成功する人とそうでない人の違いは何か?」

私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。

比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。

多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、

note記事3000いいね超えの殿堂記事 LINE登録で記事を見る

エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

RareTECH 無料体験授業開催中! オンラインにて実施中! Top10%のエンジニアになる秘訣を伝授します! RareTECH講師への質疑応答可

関連記事