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2023.12.20

インフラエンジニア入門 運用編 Syslog, rsyslogについて

Syslogは、ITの世界特にインフラエンジニアにとって不可欠なコンポーネントの一つです。Syslogはコンピュータやネットワーク機器が生成するログデータを管理するために使われます。ログデータとは、システムの動作・エラー・その他の重要な情報を記録したファイルのことです。これらの情報は、システムのトラブルシューティングやセキュリティ監視に不可欠であり、効果的なシステム管理の基盤となります。

この記事では、Syslogの進化形である「rsyslog」に焦点を当てています。rsyslogは、従来のSyslogの機能を強化し、より高速で柔軟なログ処理能力を提供します。rsyslogの設定方法、使用例、およびその他の重要な特徴について、初心者の方にも理解しやすい形で詳しく解説していきます。

この記事はインフラエンジニア・クラウドエンジニアを目指す方やシステム管理やセキュリティに関心のある方、またはインフラ分野の知識を深めたい方にとって役立つことを目的としています。これらは量産型エンジニアを脱却し希少型エンジニアにステップアップするために必要な基礎知識の一つです。

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Syslogの基本

Syslogは、システム管理とセキュリティにおいて、システムの健康状態を示す「バイタルサイン」のような役割を果たすツールです。これは、ネットワーク機器・サーバー・または他のIT機器からのログデータを収集し、記録する標準的なプロトコルです。ログデータとは、システムの動作・エラー・警告などあらゆる重要なイベントの記録を指します。この情報は、トラブルシューティング・システムのモニタリング・セキュリティ監視などに不可欠です。

Syslogメッセージは、システムの「目」や「耳」として、あらゆる情報を収集し、管理者に伝えます。メッセージは、ファシリティと重要度の2つの要素によって構成されています。

ファシリティは、メッセージのソースを指し、どの種類のプログラムやプロセスがメッセージを生成したかを示します。例えば、カーネルメッセージ・メールシステム・認証システムなど、各ファシリティは異なるタイプのイベントを表します。

ファシリティレベルと説明

ファシリティコードファシリティ説明
0kernカーネルメッセージ
1userユーザーレベルのメッセージ
2mailメールシステム
3daemonシステムデーモン
4auth認証メッセージ
5syslogSyslogd自身
6lprラインプリンターサブシステム
7newsネットワークニュースサブシステム
8uucpUUCPサブシステム
9clock時計デーモン
10authpriv私的なセキュリティ/認証メッセージ
11ftpFTPデーモン
12ntpNTPサブシステム
13logauditログ監査
14logalertログアラート
15cronCronサブシステム
16local0ローカル使用0 (local0)
17local1ローカル使用1 (local1)
18local2ローカル使用2 (local2)
19local3ローカル使用3 (local3)
20local4ローカル使用4 (local4)
21local5ローカル使用5 (local5)
22local6ローカル使用6 (local6)
23local7ローカル使用7 (local7)

重要度は、メッセージの緊急度や重要性を表します。重要度は「デバッグ」から「緊急」までの8レベルがあり、システムの状態やイベントの重要性に応じて分類されます。

重要度レベルと説明

重要度コード重要度説明
0Emergencyシステムが使用不能
1Alert即時の対応が必要
2Critical重大な状況
3Errorエラー状態
4Warning警告状態
5Notice通常だが重要な状態
6Informational情報提供用メッセージ
7Debugデバッグレベルのメッセージ

この構造により、Syslogは効率的にデータを分類し、適切な処理を行うことができます。例えば、緊急度の高いメッセージは即座に管理者に通知され、適切な対応が取られることが期待されます。

Syslogはそのシンプルさと汎用性から、幅広いシステムやアプリケーションで広く利用されています。システムの健全性を維持し、問題が発生した際の対応を迅速に行うために必要不可欠な存在です。

Rsyslogの概要

Rsyslogは、Syslogの機能を拡張し、より強力で柔軟なログ管理ソリューションを提供するオープンソースのログサーバーです。標準のSyslogプロトコルに基づいているものの、Rsyslogは追加の機能と性能向上を実現しています。

Rsyslogと標準Syslogの違い

高度なフィルタリング

Rsyslogは、メッセージの内容・重要度・ファシリティなどに基づいてログをフィルタリングする高度な機能を提供します。より関連性の高い情報に焦点を当て、効率的なログ管理が可能になります。

パフォーマンス

Rsyslogは高性能で、大量のログデータを迅速に処理できます。これにより、高負荷の環境でも安定したログ管理が期待できます。

モジュール式アーキテクチャ

Rsyslogはモジュール式で設計されており、異なる種類のログソースや出力先に対応するために、さまざまなモジュールを簡単に追加できます。

ネットワーク経由でのログ転送

ネットワークを介してログを他のシステムに転送する機能をサポートしています。これは分散システムや大規模な環境で特に有用です。

Rsyslogの主な特徴と利点

多様な出力オプション

データベース・メール・ファイルなど、多様な出力先にログを送ることができます。

セキュリティと信頼性

TLS/SSLを使用してログデータの暗号化と安全な転送をサポートし、セキュリティを強化します。

カスタマイズと拡張性

ユーザーは自分のニーズに合わせてRsyslogの設定をカスタマイズできます。また、新しいフォーマットやプロトコルのサポートを追加することも可能です。

広範な互換性

Rsyslogは様々なプラットフォームやアプリケーションとの互換性があり、多くの環境で利用できます。その高度な機能と柔軟性により、現代の複雑なIT環境において重要な役割を果たしています。初心者から経験豊富なシステム管理者まで、多くのユーザーにとって習得すべき頼れるログ管理ツールとなっています。

Amazon Linux 2023でrsyslogは使える?

Amazon Linux 2023では、デフォルトでRsyslogではなくsystemd-journaldがログ管理システムとして使用されています。systemd-journaldはバイナリ形式でシステム全体のログを管理し、journalctlコマンドを使用してログを閲覧できます。Rsyslogを使用したい場合は、手動でインストールする必要があります。インストールコマンドは次のとおりです。

sudo dnf install rsyslog
# もしくはyumもdnfのエイリアスとして使えます。
sudo yum install rsyslog

Rsyslogの設定と使用例

RsyslogはLinuxシステムで広く使われている強力なログ管理ツールです。その設定は、主に/etc/rsyslog.confファイルと/etc/rsyslog.d/ディレクトリ内の設定ファイルで行われます。以下に基本的な設定方法と実際の使用例について紹介します。

基本的な設定方法

Rsyslog設定ファイルを編集する

最初に、/etc/rsyslog.confファイルをエディタで開きます。このファイルはRsyslogの主要な設定を含んでいます。

ログのルールを設定する

ログメッセージをどのように処理するかを定義します。例えば、特定のファシリティや重要度のログを特定のファイルに保存するルールを作成できます。

ネットワーク経由でのログ受信の設定

Rsyslogは他のシステムからのログメッセージを受信するように設定することもできます。これには、/etc/rsyslog.conf内で適切なモジュールを有効にし、受信ポートを指定する必要があります。

変更を適用する

設定を変更した後、Rsyslogサービスを再起動して変更を適用します。

sudo systemctl restart rsyslog

実際の使用例とベストプラクティス

ローカルファイルへのログ保存

システムのログを異なるファイルに整理して保存することで、トラブルシューティングを容易にします。例えば認証関連のログを/var/log/auth.logに、カーネルのログを/var/log/kern.logに保存するといった設定を行います。

リモートログサーバーへの転送:

分散環境や大規模なシステムでは、中央のログサーバーにログを転送して集中管理することが一般的です。これには、Rsyslogの転送設定を行い、リモートサーバーのアドレスを指定します。

ログのローテーションと管理

ログファイルが肥大化することを防ぐために、ログローテーションを設定します。ログファイルが一定のサイズに達したら新しいファイルに切り替えられ、古いファイルは圧縮して保存します。

セキュリティとパフォーマンスの最適化

ログのセキュリティを確保するために、不要なログ情報の出力を抑制し、重要な情報のみを記録するように設定します。また、パフォーマンスを考慮しログの処理方法や保存場所を適切に選択します。

これらの設定と実践は、Rsyslogを効果的に活用し、システムの安定性とセキュリティを保つための基礎となります。初心者でもこれらのガイドラインに従って、Rsyslogの基本的な設定と管理を行うことができます。また、Rsyslogの機能を最大限に活用することで、より高度なログ管理戦略を実装することも可能です。

高度なフィルタリングと分析

Rsyslogの強力なフィルタリング機能を利用して、特定の条件に合致するログメッセージのみを抽出、分析します。システムの特定の問題を迅速に特定し、対応することができます。

ログの監視とアラート

重要なイベントやエラーがログに記録されたときに通知を受けるために、アラート機能を設定します。システムの異常を即座に検知し、迅速な対応を促すことができます。

セキュリティとパフォーマンス

Rsyslogを使用する際には、セキュリティとパフォーマンスの両面で賢明な選択をすることが重要です。次からはRsyslogを使いこなすためのいくつかのキーポイントと戦略を紹介します。

セキュリティを強化するためのアプローチ

暗号化されたログの転送

ネットワーク経由でログを転送する場合は、TLS/SSLなどの暗号化プロトコルを使用して、データの安全性を保証します。

アクセス制御の適用

ログファイルへのアクセス権を適切に管理し、不正なアクセスや改ざんを防止します。これには、ファイルのパーミッション設定や、アクセス制御リスト(ACL)の使用が含まれます。

ログの整合性チェック

定期的にログファイルの整合性を確認し、不審な変更がないか監視します。これは、システムへの不正な侵入や攻撃を早期に検知するために重要です。

パフォーマンス最適化のための戦略

効率的なログの処理とストレージ

ログの量が多い場合、ディスクI/Oの負荷を軽減するために、効率的なログのローテーションと圧縮が必要です。また、不要なログ情報をフィルタリングすることで、ストレージの使用量を最小限に抑えます。

リソースのモニタリングと調整

Rsyslogのリソース使用状況を監視し、メモリやCPUの消費が過度にならないように調整します。適切なバッファサイズやキューの設定により、パフォーマンスの向上を図ります。

スケーラビリティの考慮

システムの拡大に伴い、Rsyslogの設定をスケーラブルにすることが重要です。これには、分散型のログ処理アーキテクチャの採用や、負荷分散メカニズムの導入が含まれます。 Rsyslogのセキュリティとパフォーマンスを適切に管理することで、信頼性の高いログ管理システムを構築できます。これらの戦略は、システムの維持と成長に対応しながら、セキュリティリスクを最小限に抑え、効率的な運用を実現するために不可欠です。

まとめ

この記事では、Syslogとその進化形であるRsyslogについて解説しました。Syslogはシステムの動作やエラーを記録する基本的なツールであり、Rsyslogはこれに高度なフィルタリング機能・パフォーマンスの向上・そして柔軟な設定オプションを加えたものです。Rsyslogは、インフラエンジニアを目指す上でシステム管理やセキュリティ監視において不可欠です。適切に設定し運用することで、より安全で効率的なIT環境を構築できます。

Envaderではシステムログについてより詳しい情報を提供しています。

https://envader.plus/course/12/scenario/1132

参考リソース

Rsyslog公式ドキュメント

https://www.rsyslog.com/doc/master/index.html

Rsyslogの詳細な設定方法や機能については、Rsyslog公式ドキュメントを参照してください。

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「成功する人とそうでない人の違いは何か?」

私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。

比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。

多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、

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エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

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