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2023.08.28

インフラエンジニア初学者のためのログ管理入門

1. この記事の目的

この記事の目的はログとその管理の基本的な概念を初学者に解りやすく伝えることです。システムやアプリケーションの健全な運用をサポートするためのログの役割やその管理方法についても詳しく紹介します。インフラエンジニア初学者がログ管理の重要性を深く理解し実際の業務に生かすための第一歩とすることを目指しています。

2. ログとは

システムやアプリケーションが日々動作する中でその内部で何が起きているのかを知るための最も基本的な手段が「ログ」です。ログにはシステムの健全性や問題点を示す非常に価値ある情報が含まれています。

ログの定義

ログはコンピューターシステムやアプリケーションが特定の動作を行うたびに生成される情報の記録です。これはユーザーのアクション・システムの状態変化・エラーメッセージなど、様々な出来事の詳細を時系列でキャプチャしたものです。ログはテキスト形式で保存され特定のフォーマットや構造を持つことが多いです。

ログの重要性

ログがシステム運用においてなぜ重要を次のとおり説明します。

問題の早期発見

エラーや異常が発生した際にその原因を突き止める手がかりとなるのがログです。ログに記録された情報を解析することで問題の原因や発生箇所を迅速に特定することが可能となります。

システムの最適化

ログはシステムの動作やパフォーマンスに関する情報も提供します。この情報を利用してシステムの運用状態を評価し最適化の方針を立てることができます。

セキュリティ監視

不正アクセスやセキュリティ侵害の試みが行われた際にその証拠や手がかりがログに記録されていることが多いです。ログの監視によってセキュリティ上の脅威を早期に検知し対策を講じることが可能となります。

3. ログの種類

コンピューターシステムやアプリケーションは多様なログを生成します。主要なログの種類とサンプル及びその解説を次のとおりに示します。

アクセスログ

ユーザーのサービスへのアクセス情報を記録します。

アクセスログの例

127.0.0.1 - - [28/Aug/2023:10:45:32 +0900] "GET /index.html HTTP/1.1" 200 512 "http://example.com" "Mozilla/5.0"

IPアドレス127.0.0.1から/index.htmlにアクセスがあり、HTTPステータス200(成功)を返し、レスポンスのサイズが512バイトであることを示しています。

エラーログ

システムやアプリケーションのエラー情報を記録します。

エラーログの例

[2023-08-28 10:46:12] ERROR: File not found: /path/to/file

2023-08-28 10:46:12/path/to/fileというファイルが見つからないというエラーが発生したことを示しています。

アプリケーションログ

アプリケーションの動作や状態の情報を記録します。

アプリケーションログの例

[INFO][2023-08-28 10:47:00] User login successful. User_id: 12345

2023-08-28 10:47:00にユーザーID12345がログインに成功したことを示しています。

システムログ

OSやハードウェアの動作情報を記録します。

システムログの例

Aug 28 10:47:45 servername kernel: [12345.678910] CPU0: Core temperature above threshold, cpu clock throttled

Aug 28 10:47:45にサーバservernameのCPU0のコア温度が閾値を超えたためCPUのクロックが制限されたことを示しています。

これらのログはシステムの状態を理解し問題の特定や対策を行う上で非常に重要となります。

4. ログのライフサイクル

ログの管理には生成から削除までの一連のライフサイクルが存在します。このライフサイクルを通じてシステムの健全性を維持し、障害対応やセキュリティ分析を効果的に行うことができます。

生成

システムやアプリケーションの動作中に様々なイベントや状態がログとして生成されます。どのような情報をどのレベルでログとして記録するかの設定が重要となります。

収集

特に大規模なシステムでは複数のサーバーやデバイスからログが発生します。これらのログを一元的に収集することで分析や管理が容易になります。ログ収集ツールやアグリゲーターを使用しログを中央のログサーバーに送信するのが一般的です。

保管

ログは法的要件や業界の基準に従って一定期間保管する必要があります。データの完全性や可用性や機密性を確保しながらAWSのS3などコスト効率的なストレージソリューションを選定することが求められます。

分析

ログの真価はその内容を分析することで発揮されます。ログ分析ツールを使用しパターンの識別・異常の検出・問題の原因特定などを行います。定期的なレポート作成やアラート設定もこのステップで行われることが多いです。

アーカイブと削除

ログデータは時間とともに蓄積されその量は膨大となります。コンプライアンスやコスト的観点などから一定期間が経過したログはアーカイブストレージに移動されるか必要なければ安全に削除するべきです。

5. ログのアグリゲーションとは

ログのアグリゲーションは複数の異なるソースからのログを収集・整形・一元的に管理するプロセスを指します。大規模な環境や複数のサービス・アプリケーションが動作しているシステムではログ情報が散在するため、その情報を効果的に活用するためのアグリゲーションが不可欠です。

アグリゲーターの定義

アグリゲーターとは複数のログソースからログ情報を収集し整形や加工を行い一元的に管理・保存するシステムやサービスのことを指します。アグリゲーターによりログの分析や管理が一箇所で行えるようになります。

アグリゲーターの利点

集中管理

一元的にログを管理することでログの確認や分析が簡単になります。

高速な検索

大量のログデータでも特定の情報を迅速に検索することが可能です。

統一された分析

異なるソースからのログも統一されたフォーマットで分析することができ効率的な情報収集や解析が行えます。

アラート機能

特定の条件に合致するログが生成された際に即時に通知を受けることができます。

代表的なアグリゲーターツール

ELKスタック (Elasticsearch, Logstash, Kibana)

  • Elasticsearch:分散型の検索・分析エンジン。大量のデータをリアルタイムで迅速に検索・分析
  • Logstash:ログの収集・加工を行うツール。様々なソースからのログをElasticsearchに送信
  • Kibana:Elasticsearchのデータを可視化するツール。ダッシュボードの作成やログの詳細な分析が可能

Fluentd

高い拡張性を持つオープンソースのログコレクター。様々な入出力プラグインが存在し多岐にわたるログソースからの収集・加工・転送が行えます。

Splunk

ログを収集・保存しリアルタイムの検索・分析・可視化を行うソフトウェア。大量のログデータでも迅速な検索・分析が可能で、多くの企業で利 用されています。

アグリゲーターの利用でログ管理の効率性と有効性が大きく向上します。適切なツールを選定しシステムの要件や環境に合わせて設定・運用しましょう。

6. まとめ

ログはシステムやアプリケーションの動作を記録した情報で、問題の診断や性能分析に不可欠です。ログにはアクセス・エラー・アプリケーション・システムなど多様な種類が存在し、それぞれの特性や用途に応じて利用されます。

ログのライフサイクルは生成から収集・保管・分析・アーカイブ・削除という流れを持ちます。大規模なシステムや複数のアプリケーションが存在する環境ではログのアグリゲーションが必要となり、このためのツールやサービス(アグリゲーター)が提供されています。

アグリゲーターは、ログの一元管理・高速検索・統一分析などの利点を持ち、効率的なログ管理を実現します。適切なログの取り扱いと管理はシステム運用の品質向上に寄与します。

【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

IT未経験者必見 USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。

「フリーランスエンジニア」

近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。

「成功する人とそうでない人の違いは何か?」

私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。

比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。

多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、

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エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

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