IoTについて学習する際、広く活用されているものが「Arduino(アルデュイーノ)」です。IoTに関連したエンジニアを目指すのであれば、ぜひ触れておきたいツールとなっています。
しかしエンジニア初学者の中には、「Arduinoってどうやって使うの?」と疑問に感じている方もいるでしょう。
そこで今回は、IoTの入門として「Arduinoを使ってできるもの」を紹介します。実際に制作した方の事例をもとに紹介するので、ぜひ参考にしてください。
IoT入門:Arduinoの基本
IoTの入門として、まずArduinoについて知っておきましょう。基本的な知識を知ることで、より理解を深められます。
今回は以下の3つにわけて解説します。参考にしてください。
- IoTとは
- ArduinoとはIoTのためのデバイス
- Arduinoの基本仕様
IoTとは
IoTは「モノのインターネット」とも呼ばれ、日常のさまざまな物がインターネットに接続されて、情報を交換する技術です。生活を便利にする技術として、大きな注目を集めています。
例えば、冷蔵庫が自動で食材の在庫を管理したり、エアコンが外の気温に合わせて自動調整したりといった技術です。使いこなせば、生活がより快適になるでしょう。
IoTは単にデバイスをインターネットにつなぐだけではありません。データを収集し、それを活用して新たな価値を生み出すことこそが、魅力です。
ArduinoとはIoTのためのデバイス
Arduinoは、IoTデバイスを作るためのツールです。ハードウェアとソフトウェアで構成される、オープンソース・プロトタイピングプラットフォームとなっています。誰でも簡単にプログラミングや電子工作を始められるように設計されている点が、特徴です。
オープンソースであるため誰でも自由に使い、改良できます。ソフトウェア開発環境は、誰でもダウンロードでき、無償で利用可能です。しかもArduinoのハードウェア部分は数千円で入手できます。
IoT初心者や趣味の人々に広く利用され、エンジニア初学者にとっても最高のツールです。IoTを理解するなら、触れておきましょう。
Arduinoの基本仕様
Arduinoは、その使いやすさから多くのDIY愛好家や教育現場で愛用されています。基本的なArduinoボードには、センサーやモーターなどを接続するためのピンがあり、様々な電子部品を制御できます。
プログラミングはArduino専用の簡単な言語で行われ、初心者でも理解しやすい点が特徴です。インターネットに接続するためのモジュールを追加すれば、ArduinoボードをIoTデバイスに変えられます。
こうした柔軟性がArduinoの強みです。例えば、環境データを収集し、インターネット経由で送信する気象ステーションなど、実用的なアプリケーションを簡単に作成できます。
使用者も多いため、電子工作コミュニティや個人ブログなどですぐに調べられる点も魅力です。
IoT入門:Arduinoで作れる簡単プロジェクト6選
Arduinoは利用者が多く、ネット上で様々な事例が公開されています。ここからは、エンジニア初学者の方に向けて、参考にしやすいプロジェクトを紹介します。ぜひ参考にしてください。
簡易セキュリティアラーム
画像引用:HR2_blog
Arduinoを使って簡易的なセキュリティアラームを作れます。Wi-Fi機能が搭載されたモデルであれば、新たにWi-Fiシールドを買う必要もありません。
必要なものは、赤外線センサーのみ。扉が開いたらブザーが鳴る簡単な仕組みです。非常に簡単にできるので、挑戦してみましょう。
参考記事:HR2_blog「IFTTTとArduinoで作る侵入アラーム [2]Arduino の準備」
温度監視システム
画像引用:ASTINA「IoTで温度管理が可能|センサーを使って温度計を作る方法」
Arduinoを使った温度管理システムも作れます。周囲の環境からデータを取得する入力デバイスから得た情報を使って、Arduinoが処理を行います。出力先はブザーやモニター、LED照明と使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
参考記事:ASTINA「IoTで温度管理が可能|センサーを使って温度計を作る方法」
植物育成デバイス
画像引用:Device PLUS「第47回 植物育成デバイスをArduino Createでつくってみる ?Arduino+センサの開発が劇的に楽になる!ローム・センサ評価キットを試してみた」
自宅で観葉植物を育てるために、専用のデバイスをArduino Create(Arduinoのクラウド環境)で作った事例です。植物が育つのに必要な以下の環境を作れるように仕組みを構成しています。
- 日当たり条件
- 水やりルール
- 温度
- 風通り
これらをArduinoと各種センサーを組み合わせることで、最適化させています。長期の旅行に出かける方はもちろん、植物をなぜか枯らしてしまう方は、ぜひ挑戦してみましょう。
参考記事:Device PLUS「第47回 植物育成デバイスをArduino Createでつくってみる ?Arduino+センサの開発が劇的に楽になる!ローム・センサ評価キットを試してみた」
ドローンの自作
画像引用:AKIRACING.COM「【完全自作】ARDUINOを使用した自作ドローンの製作記(飛んだ!)」
Arduinoを使えば、ドローンの自作も可能です。Arduinoと各種センサーを組み合わせれば、誰でも作れます。実際に作った方は、以下を全て自作しています。
- フレーム
- プログラム
- 制御回路(フライトコントローラー)
- 送受信機(コントローラー)
バッテリーとモーター以外を全て自作した形です。1人で取りかかるには数ヶ月の時間が必要ですが、ドローンの仕組みを学ぶには良い経験となるでしょう。
参考記事:AKIRACING.COM「【完全自作】ARDUINOを使用した自作ドローンの製作記(飛んだ!)」
火力調節器
画像引用:ソロでたのしむ「どこでも美味しく炊ける炊飯(炊爨)器をつくる。サーボモーターとArduinoで自動化」
火力調節器は、キャンプが好きな方にオススメのArduino活用法です。火加減を自動的に調整してくれます。
キャンプで飯ごうを使ってご飯を炊くときに頭を悩ませるのは、火加減の調整です。完璧な火加減で美味しいご飯を炊きたいのに失敗した、という経験はキャンプ好きなら誰しもあるでしょう。
事前にベストな炊飯の時間を測定し、それをタイマーとして組み込むことで、自分好みのご飯を炊けます。キャンプ好きなら、1度挑戦してみたいプロジェクトです。
参考記事:ソロでたのしむ「どこでも美味しく炊ける炊飯(炊爨)器をつくる。サーボモーターとArduinoで自動化」
ハムスターランニング距離測定装置
画像引用:Arduino「Log your hamster’s runs with Arduino」
ハムスターを飼っている方にオススメなのが、ハムスターランニング距離測定装置です。その名の通り、ペットのハムスターが普段どれだけ走っているのかを計測できます。
仕組みは簡単で、ホイールに磁石を固定し、センサーを通過するたびに回転数を記録するだけ。ハムスターにとっても運動は大切なので、健康のバロメーターとして活用できます。
参考記事:Arduino「Log your hamster’s runs with Arduino」
IoT入門:Arduinoを使った応用アイデア3選
Arduinoは複雑なIoTを組むことも可能です。ここからは、応用的なアイデアを3つ紹介します。簡単なプロジェクトからのステップアップとして参考にしてみてください。
スマートホームデバイス
IoTと聞いてスマートホームを思い浮かべる方は多いでしょう。Arduinoを使えば、スマートホームデバイスを作ることも可能です。
中でも取り組みやすいのが、センサーライトとなっています。人の出入りに合わせて点灯/消灯する機能を応用すれば、ライトだけでなくエアコンの制御まで可能です。
センサーライトの場合、電流の知識が必要ですが、実際に作ることで経験として身につきます。スキルとしても有用なので、ぜひ挑戦してみましょう。
参考記事:HTML5Experts.jp「初心者でもわかる・できる!Arduinoを使った初めての電子工作実践」
個人用気象ステーション
ArduinoとWetherシールドを使えば、個人用の気象ステーションも作れます。温度・湿度・気圧を測定して、計測データをアップしてグラフ化すれば、自分だけの気象データの歓声です。
Wi-Fiデバイスが搭載されているArduinoを選ぶ必要があるなど、使う機器の選定は必要になるので注意しましょう。
参考記事:しまりすくんチャンネル「【夏休みの自由研究 2016】ArduinoとSparkFun WeatherShieldとThingSpeakで気象観測を作る!(じつは3台目)」
リモートコントロールロボット
画像引用:Device PLUS「第7回 SONY MESHとArduinoを連携させて遠隔操作ができるメイド・ロボを作ろう!」
ArduinoとSONY MESHを連携させ、遠隔操作ができるロボットを作ることも可能です。MESH GPIOを使い、他の機器とBluetooth接続をし、操作を実現しています。
簡単なプログラムで室内を見回ったり、スマートホームにしたりといったことが可能です。記事では初音ミクのぬいぐるみを使っていますが、お気に入りのキャラクターを使って作ってみるのも楽しいでしょう。
参考記事:Device PLUS「第7回 SONY MESHとArduinoを連携させて遠隔操作ができるメイド・ロボを作ろう!」
マイクロコントローラはIoTデバイスとして使用できる
マイクロコントローラであるArduinoは、IoTデバイスとして非常に有効です。低コストで入手可能であり、プログラミングが容易にできるため、初心者でも手軽にIoTプロジェクトを始められます。
例えば、温度や湿度を測定するセンサーをArduinoに接続してインターネット経由で送信すれば、遠隔地からでも監視できるシステムを構築できます。
Arduinoを使うことで、日常生活を豊かにする多様なIoTデバイスを手軽に作成することが可能になります。事例で紹介した「セキュリティアラーム」や「温度監視システム」などは、そうした視点から取り組まれたものです。
IoTで実現したい環境を目指して、Arduinoを活用しましょう。
Arduinoならスマートデバイスも開発できる
Arduinoを使ったスマートデバイス開発は、技術的な知識が少ない初学者でも可能です。
Arduinoのメリットは、その使いやすさと拡張性にあります。例えば、温度センサーやモーションセンサーをArduinoに接続し、特定の条件下で通知を送るようにプログラムすれば、自宅の温度管理やセキュリティシステムを手軽に構築できます。
Arduino用のプログラムを扱う専用ソフトウェアの「Arduino IDE」を使って、自分だけのスマートデバイスを開発していきましょう。
IoT入門としてArduinoは最適のデバイス
Arduinoは世界中で親しまれているマイクロコントローラです。工夫次第で簡易的なIoTデバイスを作れるため、入門として最適と言えます。
WebにはArduinoを利用したプロダクトが多く公開されています。初学者の方は、まず実際に挑戦した事例をもとにArduinoを使い、知見を広げていきましょう。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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