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2023.08.27

エンジニア初学者向け RDBの概念と歴史の理解

1. はじめに

RDBは多くの企業やサービスでデータの管理を効率的に行うための基盤として使用されています。顧客情報・商品在庫・取引履歴など様々な情報がテーブル形式で整理・関連付けられ迅速にアクセスや更新が行えるのです。

RDBの概念や歴史を理解することは情報技術の基本として非常に重要です。本記事はRDBの基礎やその歴史的背景を簡単に紹介し、この分野の魅力や重要性を伝えることを目的とします。

2. データベースの歴史

データの保存や管理の方法はコンピュータ技術の進化と共に大きく変わってきました。データベースという言葉が広く認知されるようになる前データは非常にプリミティブな方法で管理されていました。

前RDB時代のデータベース

フラットファイル

初期のデータ保存方法としてフラットファイルが使用されていました。フラットファイルはその名の通り平坦なテキストファイルで、データは行として保存されフィールドは特定の区切り文字(たとえばカンマやタブ)で区分されていました。この方式の利点はシンプルさにありますが大量のデータを効率的に検索したり更新したりすることが難しいという欠点がありました。

階層型データベース

次に登場したのは階層型データベースです。このタイプのデータベースは、データを「親子」の関係性で管理する方法を採用していました。データはツリー構造の形で保存され、例えば「部門」と「従業員」のように、1つの親データが複数の子データを持つ形になります。この方式は関係性のあるデータを効率的に管理することができる点で優れていましたが、柔軟性に欠け特定の構造外のデータ関連を表現するのが困難でした。

これらの方法は当時の技術やニーズに応じて適切でしたが、ビジネスや研究の進展と共にもっと効率的で柔軟なデータ管理の方法が求められるようになりました。そのニーズに答える形で登場したのがリレーショナルデータベースのモデルでした。

3. RDBの誕生

1970年代初頭にデータベース技術の進化の中で一つの論文が業界に大きな変革をもたらしました。それはIBMの研究者であるE.F. Coddによって発表された「リレーショナルデータベースの理論」を紹介した論文でした。

E.F. Coddの理論と1970年の論文

E.F. Coddはデータの構造とアクセス方法に関する新しいアプローチを提案しました。彼の理論はデータを2次元のテーブル形式で表現する「リレーショナルモデル」を中心に据えていました。このモデルでは各テーブルは行と列から成り立っており、関連するテーブル同士は特定の「キー」によってリンクされています。

彼の1970年の論文「A Relational Model of Data for Large Shared Data Banks」は、このリレーショナルモデルの基本概念を詳細に説明していました。論文は当時のデータベース技術に対する批判と、新しいアプローチとしてのリレーショナルモデルの提案を含んでいました。

A Relational Model of Data for Large Shared Data Banks

リレーショナルモデルの革新性

簡潔性

データの関係性を直感的に理解しやすい2次元のテーブルで表現することにより、データモデリングが簡単になりました。

柔軟性

異なるテーブル間の関連付けがキーによって行われるため、新しいデータや関係性を追加する際の柔軟性が高まりました。

データの整合性

データの重複を避け、整合性を保つためのルールや制約を導入できるようになりました。

これらの革新的な特徴によりリレーショナルモデルは、従来のデータベース技術を迅速に置き換え現代のデータベースの基盤となりました。

4. リレーショナルデータベースの基本概念

リレーショナルデータベースの理解にはいくつかの基本概念を把握することが必要です。このセクションではテーブルやキーといった核心的な要素について詳しく解説します。

テーブルとは

リレーショナルデータベースの中心となるのが「テーブル」です。テーブルは2次元の構造を持ち、行(レコード)と列(フィールド)から成り立っています。各行は一意の情報を表し各列はその情報の特定の属性や特性を示します。

例えば次のような書店のデータベースを考えてみましょう。

書籍テーブル

書籍IDタイトル著者価格在庫数
・・・・・・・・・・・・・・・

※行: 各書籍の具体的な情報

顧客テーブル

顧客ID名前メールアドレス購入履歴
・・・・・・・・・・・・

※行: 各書籍の具体的な情報

キーとは

データベース内でのデータの特定や関連付けを行うための重要な要素が「キー」です。特に、リレーショナルデータベースでは2つの主要なキータイプ、すなわち「プライマリキー」および「外部キー」があります。

プライマリキー (Primary Key)

それぞれのテーブル内でデータを一意に識別するためのキー。 例: 書籍テーブルでは「書籍ID」、顧客テーブルでは「顧客ID」がそれに該当します。

外部キー (Foreign Key):

あるテーブルのキーが別のテーブルのプライマリキーとしても機能する場合、そのキーは「外部キー」として定義されます。 例: 「購入履歴テーブル」があり、それに「顧客ID」と「書籍ID」が格納されている場合、これらは外部キーとして機能します。

5. RDBMSについて

RDBMS(リレーショナルデータベースマネジメントシステム)は、リレーショナルデータベース(RDB)を効果的に管理・操作するためのソフトウェアシステムです。RDBの特性や基本概念に基づいて設計されているため、テーブル間の関係性を持つデータの格納・検索・更新などの操作が可能となっています。

RDBMSの主な特徴や役割について

データの構造化

RDBMSはデータをテーブル形式で保存します。各テーブルは行と列で構成され、関連するテーブルとはキーを使って関連付けられています。

データ操作

RDBMSは、データの追加・更新・削除・検索などの操作をサポートしています。これらの操作は、SQL(Structured Query Language)という言語を使って行われます。

データの整合性維持

RDBMSは、データの整合性を維持するための機能を持っています。例えばプライマリキーと外部キー制約を使ってデータの一貫性を確保します。

並行アクセス

複数のユーザーが同時にデータベースにアクセスする際、RDBMSはトランザクション管理を通じてデータの整合性を保つことができます。

セキュリティ

RDBMSにはアクセス権限や認証機能があり、不正なアクセスや操作からデータベースを保護することができます。

バックアップとリカバリ

データ損失を防ぐためのバックアップ機能や、障害発生時にデータを復旧するためのリカバリ機能が備わっています。

代表的なRDBMSには、Oracle, MySQL, PostgreSQL, Microsoft SQL Server, SQLiteなどがあります。これらのシステムは基本的なリレーショナルデータベースの概念に基づいていますが、独自の機能や特性を持っている場合もあります。

6. まとめ

リレーショナルデータベース(RDB)は情報を関係性を持つテーブルの形で整理・保存することで、データの扱いを効率的かつ正確に行うことができます。

データベースの歴史を振り返るとフラットファイルや階層型データベースが主流でした。しかし1970年にE.F. Coddが提案したリレーショナルモデルはそれまでのデータベースの課題を克服し、今日の多くのシステムで使用される基盤を築き上げました。

RDBの核心的な要素として「テーブル」と「キー」があります。テーブルはデータの構造を定義しキーを使ってデータの関連性や整合性を保持します。

これらのRDBを効率的に管理するためのソフトウェアがRDBMS(リレーショナルデータベースマネジメントシステム)です。RDBMSはデータの構造化から操作・セキュリティ・バックアップまでの機能を提供し、安定したデータベース環境を実現します。

リレーショナルデータベースとその管理システムRDBMSは現代の情報社会において、データの整理・保存そして活用の基盤となっています。

エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

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