1. ホーム
  2. 記事一覧
  3. IPv6におけるCIDRの役割 IPv4との違いは?

2024.08.27

IPv6におけるCIDRの役割 IPv4との違いは?

はじめに

CIDR(クラスレスドメイン間ルーティング)は、ネットワークアドレスの管理を効率化するために開発された技術です。もともと、IPv4のアドレス枯渇問題を解決するために導入されましたが、IPv6の登場により、その役割がどのように変化したのかが気になる方も多いでしょう。この記事では、CIDRの基本概念を説明し、IPv4とIPv6での利用方法や役割の違いを詳しく解説することで、ネットワーク管理におけるCIDRの重要性を理解できるようにします。

CIDRについては次の記事で詳しく解説しています。

https://envader.plus/article/52

IPv4におけるCIDRの重要性

IPv4は32ビットのアドレス空間を持ち、約43億のアドレスが利用可能ですが、インターネットの急速な普及により、これらのアドレスが不足する問題が生じました。このアドレス枯渇問題を解決するために、CIDRが導入されました。CIDRはネットワークアドレスの効率的な割り当てと管理を可能にし、アドレス空間の無駄を最小限に抑えることができます。

クラスフルアドレッシングとCIDRの違い

従来のクラスフルアドレッシングでは、IPアドレスがクラスA、B、Cといった固定のネットワーク規模に分割されていました。例えば、クラスCは小規模ネットワークに適していましたが、最大で254台のホストしか接続できません。このため、ネットワークの規模が固定されており、必要以上のアドレスを割り当てる場合がありました。

CIDR(Classless Inter-Domain Routing)は、この制約を解消するために導入されました。CIDRでは、ネットワークとホストの部分を柔軟に分割できるため、ネットワークの規模に応じて最適な数のアドレスを割り当てることができます。このため、アドレス空間を無駄なく効率的に使用できるようになりました。

IPv4アドレス枯渇問題とCIDR

インターネットの普及に伴い、IPv4アドレスが急速に消費され、枯渇が懸念されるようになりました。CIDRの導入は、このアドレス枯渇問題に対処するために重要な役割を果たしました。CIDRを使用することで、必要な分だけのアドレスを柔軟に割り当てることができ、無駄なアドレスの消費を抑えることが可能になりました。

IPv6の基本構造とCIDRの位置付け

IPv6は、インターネットの成長に伴うIPv4アドレスの枯渇問題を解決するために導入されました。IPv6は128ビットのアドレス空間を持ち、理論上、約340澗(340,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000)という膨大な数のアドレスを提供します。これは、IPv4の約43億(4,294,967,296)アドレスに比べて約79オクタリオン倍(約7.9×10¹⁷倍)です。膨大なアドレス空間により、ほぼ無限にデバイスを接続できる柔軟性を持ちますが、効率的な管理のためには依然としてCIDRが重要な役割を果たします。

IPv6アドレスの構造

IPv6アドレスは128ビットで構成され、16進数で表されます。例として、「2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334」のような形式です。この構造により、IPv4と比較してはるかに多くのアドレスを使用可能です。

サブネット分割とCIDRの役割

IPv6では、CIDRを使用してサブネットを分割し、ネットワークを効率的に管理します。広大なアドレス空間を活用して、細かくネットワークを制御することが可能です。CIDRの柔軟性は、特に大規模なネットワーク環境で重要となります。

膨大なアドレス空間を持つIPv6におけるCIDRの必要性

IPv6では、理論上無限に近いアドレス空間が存在しますが、それでもCIDRが必要な理由は、ネットワークのパフォーマンスと管理の効率化を維持するためです。ルーティングテーブルが膨大になると、ネットワーク全体の速度や信頼性に悪影響を与える可能性があります。CIDRを使用することで、ネットワークを適切に分割し、必要な部分だけに集中してルーティング情報を管理できるようになるため、システム全体の効率が向上します。

IPv4とIPv6におけるCIDRの違い

IPv4とIPv6におけるCIDRの役割や使い方には違いがあります。IPv4では、アドレス空間が限られているため、CIDRは効率的なアドレス割り当てに不可欠でした。一方、IPv6では膨大なアドレス空間を持ちながらも、ネットワーク管理の効率を上げるためにCIDRが依然として重要です。ここでは、IPv4とIPv6のCIDR表記やサブネット分割における違いを詳しく解説します。

CIDR表記の違い

IPv4におけるCIDR表記は、IPアドレスとサブネットマスクのビット数を示します。たとえば、「192.168.0.0/24」は、最初の24ビットがネットワーク部分を指し、残りの8ビットがホスト部分を表します。この表記により、ネットワークの規模や範囲を柔軟に調整できます。

一方、IPv6でも同様にCIDR表記が使用されますが、アドレスの長さが128ビットであるため、より多くのアドレス空間をカバーします。例えば、「2001:0db8:85a3::/64」という表記は、最初の64ビットがネットワーク部分を表し、残りの64ビットがホスト部分を指します。これにより、IPv4と比較してさらに大規模なネットワークの設計が可能です。

例示:CIDR表記の比較

  • IPv4のCIDR表記例

    「192.168.1.0/24」 この表記では、192.168.1.0から192.168.1.255までの256アドレスが1つのサブネットに属します。

  • IPv6のCIDR表記例

    「2001:0db8:1234::/48」
    これは、2001:0db8:1234::から2001:0db8:1234:ffff:ffff:ffff:ffffまでの膨大な数のアドレスをカバーします。

サブネット分割の規模や柔軟性

IPv4では、CIDRを使用することで、ネットワークをより細かく分割し、アドレス空間を効率的に利用できました。しかし、アドレス空間自体が限られているため、サブネット分割の柔軟性にも限界がありました。

IPv6では、128ビットのアドレス空間が提供されるため、CIDRを使ってさらに多くのサブネットを作成することが可能です。これにより、企業や組織は非常に大規模なネットワークを複数のサブネットに分割して管理でき、将来の拡張性も確保できます。

例示:サブネット分割の規模比較

  • IPv4のサブネット分割

    例えば「192.168.1.0/24」を「192.168.1.0/25」と「192.168.1.128/25」に分割し、それぞれ128台のホストを管理する。

  • IPv6のサブネット分割

    例えば「2001:0db8:1234::/48」を「2001:0db8:1234:0000::/64」と「2001:0db8:1234:0001::/64」に分割し、各サブネットで膨大な数のホストを管理する。

これらの違いにより、IPv6ではCIDRの柔軟性を最大限に活用して、効率的かつスケーラブルなネットワーク管理が可能となります。

CIDRを使った実践例

CIDRは、IPv4およびIPv6の両方でネットワーク管理を効率化するために広く使用されます。以下では、IPv4とIPv6におけるCIDRの実際の利用例を紹介し、それぞれの環境でどのようにCIDRが活用されているかを具体的に示します。

IPv4でのCIDRの実践例: ISPによるアドレス割り当て

インターネットサービスプロバイダー(ISP)が「172.16.0.0/16」のアドレスブロックを持ち、これをCIDRで「172.16.0.0/24」「172.16.1.0/24」に分割して異なる地域や顧客に割り当てます。これにより、IPアドレスの利用効率が向上し、必要に応じてアドレスの再割り当ても柔軟に行えます。

IPv6でのCIDRの実践例: 大学キャンパスのネットワーク管理

大学キャンパス内のネットワーク管理者が「2001:0db8:abcd::/48」のアドレスブロックを持ち、CIDRを使って「2001:0db8:abcd:0000::/64」「2001:0db8:abcd:0001::/64」に分割し、異なる学部や建物に割り当てます。これにより、キャンパス全体で大規模なアドレス空間を効果的に管理し、拡張性を確保できます。

まとめ

IPv6時代においても、CIDRはネットワーク管理において非常に重要です。膨大なアドレス空間を持つIPv6でも、CIDRを利用することで、ネットワークを適切にサブネット化し、効率的かつ柔軟な管理が可能となります。IPv4とは異なる点もありますが、基本的な概念は共通しており、CIDRを理解することで、スケーラブルで持続可能なネットワーク環境を構築できます。

初心者でもCIDRを活用することで、ネットワークの設計や運用がより合理的かつ効果的になります。たとえ膨大なアドレス空間を持つIPv6であっても、適切なネットワーク分割と管理が欠かせないため、CIDRはその基盤として重要な役割を果たし続けるのです。

参考資料

以下のリンクから、CIDRに関する詳細な情報を確認できます。

【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

IT未経験者必見 USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話

プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。

「フリーランスエンジニア」

近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。

「成功する人とそうでない人の違いは何か?」

私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。

比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。

多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、

note記事3000いいね超えの殿堂記事 今すぐ読む

エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

RareTECH 無料体験授業開催中! オンラインにて実施中! Top10%のエンジニアになる秘訣を伝授します! RareTECH講師への質疑応答可

関連記事