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2025.11.22

REST APIとは?図解でわかるRESTの原則と仕組み

はじめに

Webサービスやアプリの学習を進めていると、「REST API」や「RESTful API」という言葉を目にする機会が増えてきます。名前は知っているけれど、実際には「どんな技術なのか」「なぜ多くのサービスで使われているのか」があいまいなままになってはいないでしょうか。

REST APIとは、WebのルールRESTの原則に従って設計されたWeb APIのことです。URLでリソース(情報)を指定し、HTTPメソッドで操作方法を指定するシンプルな仕組みを持ち、多くのWebサービスやスマホアプリで利用されています。

この記事では、REST APIを理解するために必要な知識を順に解説していきます。まず基本となるAPIから始め、次にRESTという考え方を確認し、最後にREST APIを詳しく学んでいきましょう。

APIとは

API(Application Programming Interface)とは、アプリケーション同士が機能やデータをやり取りするためのインターフェース接点)」のことです。

例えば、あるWebアプリが他のシステムからユーザー情報や地図データを取得したいとき、APIを通じて必要な情報を受け取ることができます。

よく使われているAPIの例として、次のようなものがあります。

  • Google Maps API:地図情報を取得してWebページに表示
  • 天気予報API:現在の天気や週間予報を取得

このように、APIを使うことで、他のサービスの機能を自分のアプリに組み込んだり、システム同士を連携させたりすることができます。

RESTとは

REST(レスト)とは、「Representational State Transfer」の略で、Webのしくみに沿ってAPIを設計するための4つの考え方設計ルールのことです。

少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、RESTはシンプルでわかりやすい仕組みを作るために考えられたルールです。ひとつずつ確認していきましょう。

1. アドレス可能性(Addressability)

インターネット上の情報は、それぞれURLで場所が決まっているという考え方です。

たとえば、「ユーザーIDが1の人の情報」は /users/1 といったURLで表すようにします。このようにすれば、どの情報を見たいのか、どのデータを操作したいのかが明確になります。

2. ステートレス性(Stateless)

RESTでは、ひとつひとつのリクエスト命令が独立していることが大切です。

たとえば、何かの情報を取得する時に、前回どんなリクエストを送ったかをサーバー側が覚えておくことはありません。

毎回のリクエストに、必要な情報をすべて含める必要がありますが、サーバーの構成はシンプルになり、アクセスが増えても対応しやすくなります。

3. 接続性(Connectability)

レスポンスの中に、他の情報へのリンクを含められるという考え方です。

たとえば、ある「記事の情報」を取得したときに、「この記事を書いたユーザーの情報」や「関連記事」へのリンクを一緒に返すことができます。これによって、必要な情報をたどりやすくなります。

4. 統一インターフェース(Uniform interface)

統一インターフェースとはHTTPメソッドなどあらかじめ定義・共有された方法でやり取りされることを指します。

具体的には、「GET」「POST」「PUT」「DELETE」といったHTTPメソッドを使って、以下のようにリクエストを送ります。

メソッド処理内容
GET取得/users/1 のユーザー情報を取得
POST作成/users に新しいユーザーを追加
PUT更新/users/1 の内容を変更
DELETE削除/users/1 を削除する

このようにルールを決めておくことで、どんなリソース(情報)にも同じ方法でアクセスできるようになり、使いやすいAPIになります。

REST APIとは

REST APIとは、これまでに紹介したRESTのルールに沿って設計されたWeb APIのことです。

URLで「何の情報」を操作するかを指定し、HTTPメソッドで「どのように操作するか」を決めるのが基本の形です。

たとえば、記事データを扱うREST APIでは、次のようなリクエストが考えられます。

HTTPメソッドエンドポイントURL処理内容
GET/articles記事一覧を取得する
GET/articles/10IDが10の記事を取得する
POST/articles新しい記事を投稿する
PUT/articles/10IDが10の記事を更新する
DELETE/articles/10IDが10の記事を削除する

このようにREST APIは、「どの情報に」「どんな操作をするかがとても分かりやすい設計になっています。そのため、開発者にとっては覚えやすく、使いやすい仕組みとなっているため、多くのWebサービスで採用されています。

REST APIとRESTful APIの違い

REST APIとRESTful APIは、どちらもRESTの考え方に沿って作られたWeb APIを指す言葉です。基本的には同じ意味として使われています

厳密には「RESTful API」という表現は、RESTの原則に忠実な設計を強調する場合に用いられることがありますが、開発現場では区別されることはほとんどありません。

REST APIのメリット

REST APIを使うことでシンプルで効率的な開発が行えます。ここではRESTの特徴であるアドレス可能性と統一インターフェースを例に、「RESTなAPI」と「そうではないAPI」の違いを例に、メリットを見てみましょう。

RESTではないAPIの例

ユーザー情報を作成・取得・更新・削除するシステムを考えたとき、RESTの考え方を取り入れないと、処理ごとに専用のURLを作ってしまうことがあります。

例えば次のようなURLが考えられます。

  • /GetUser
  • /CreateUser
  • /UpdateUser
  • /DeleteUser

この方法ではURLが「処理」を表しており、肝心のリソース(ユーザー情報そのもの)を示していません。そのため、URLの設計が複雑になり、操作の一貫性も失われます。

RESTなAPIの例

RESTなAPIでは、URLはあくまでリソースを表すために使います。たとえばユーザーID1の情報は /users/1 というURLで表し、操作内容はHTTPメソッドによって区別します。

  • GET /users/1 : ユーザーID1の情報を取得
  • POST /users/1 : ユーザーID1の情報を新規作成
  • PUT /users/1 : ユーザーID1の情報を更新
  • DELETE /users/1 : ユーザーID1の情報を削除

このように、リソースはURLで一意に表現され、処理内容はHTTPメソッドに任せるため、設計がシンプルで統一的になります。開発者は「どのURLがどの情報を指すのか」を迷わず理解できるようになり、システムの利用や拡張もしやすくなるというメリットがあります。

REST APIのメリットまとめ

REST APIには、ほかにも次のような利点があります。

  • 学習コストの低さ

    HTTPやJSONといったWeb開発でよく使われる技術を基盤としているため、新しく習得する負担が少なく、初心者でも取り組みやすいです。

  • 拡張性の高さ

    サーバーが状態を保持しないステートレスな設計により、リクエスト数が増えても処理を分散しやすく、大規模な開発や運用に対応しやすいです。

  • 多様なクライアントへの対応

    ブラウザ、スマホアプリ、IoT機器など、さまざまな環境から同じルールでアクセスできるため、幅広いシステムに利用可能です。

  • 効率的な通信

    HTTPキャッシュを活用できるため、同じデータを繰り返し取得する無駄を減らし、応答を高速化することができます。

REST APIのデメリットと注意点

REST APIはシンプルで効率的な仕組みですが、いくつか注意しておくべき点もあります。

  • 実装のばらつき

    RESTは設計思想であり、厳密な規格ではありません。そのため、開発者やサービスごとに設計方法が異なり、APIの使い方に統一性が欠ける場合があります。

    たとえば、同じ「ユーザー情報を取得するAPI」でも、あるサービスでは /users/1、別のサービスでは /getUser?id=1 のように書き方が違うことがあります。

  • 複雑な操作への対応

    基本的な「取得・作成・更新・削除」は表現しやすいのですが、「まとめて3人のユーザーに通知を送る」など少し複雑な処理は、単純なGETやPOSTだけでは表しにくいことがあります。その場合は、API提供者が独自の工夫を加える必要があります。

  • セキュリティ設計の必要性

    REST APIは誰でも呼び出せるシンプルな仕組みのため、そのまま公開すると不正利用のリスクがあります。たとえば、認証(ログインしている人だけが使える仕組み)や権限管理(管理者だけが削除できるなど)を、APIを使う側でしっかり設計する必要があります。

これらはREST API自体のデメリットであり、利用や設計の際に注意しておきたい点です。基本を理解しておけば、実務で大きな問題になることは少なく、十分に活用できます。

まとめ

この記事では、REST APIの基本から設計のルール、メリットや注意点までを学びました。最後に、学んだポイントを整理して振り返ってみましょう。

REST APIとは、Webの設計思想であるRESTに従って作られたWeb APIです。URLでリソースを表し、HTTPメソッドで操作を指定するため、構造がシンプルで直感的に理解できます。

RESTには以下の4つの原則があり、これらに沿った設計が行われます

  • アドレス可能性

    リソースをURLで一意に表します。

  • ステートレス性

    それぞれのリクエストが独立して処理されます。

  • 接続性

    レスポンスに他のリソースへのリンクを含められます。

  • 統一インターフェース

    HTTPメソッドを共通ルールとして利用します。

現代のシステム開発では、外部サービスとの連携が前提となることが多く、その中でもREST APIは最も広く利用される方式です。基本を理解しておくことで、API設計やサービス連携がスムーズになり、実践的な開発に役立ちます。

次のステップとしては、実際に自分でREST APIを作ってみるのがおすすめです。以下の記事では、初心者でも簡単に環境構築から学べる方法を解説しています。実際に手を動かすことで、今回学んだ知識をさらに深めることができます。

Fast APIでREST APIを作ってみよう 初心者でも簡単にできる環境構築から解説

https://envader.plus/article/333

参考資料

以下のリンクは、この記事で解説した手順や概念に関連する参考資料です。より詳しく学びたい方は、ぜひご覧ください。

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エンベーダー編集部

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