1. ホーム
  2. 記事一覧
  3. 【AWS】リージョンとAZについての詳しい解説

2024.03.03

【AWS】リージョンとAZについての詳しい解説

この記事では、クラウドサービスについてやデータセンターについての知識がある前提として、AWSにおける「リージョン」と「AZ」についての解説をしていきます。

リージョンとは

英語では「地域」「範囲」などの意味で、クラウドサービスで利用するデータセンターの所在地のことを指します。データセンターが集まって置かれているエリアというイメージです。日本では、東京、大阪に存在します。

リージョンの特徴

  • リージョンごとに利用できるサービスが異なる

    世界中にあるリージョンごとに、利用できるAWSのサービスが異なります。同じ国内のリージョンでも利用できるサービスが異なるため、利用したいサービスが決まっている場合は、該当のサービスが利用できるリージョンを選びましょう。

  • 障害発生時のリスク分散になる

    世界各国に複数のリージョンが設けられている理由の一つに、障害発生時にリスクを分散するという点があります。各リージョンは完全に分離され、他のリージョンに影響が及ばないよう設計されているため、障害が発生した場合、障害発生場所のリージョン以外には影響はありません。そのため、AWSサービスを安定して受けられます。

  • リージョン間のデータ転送が可能

    各リージョンは完全に分離されるように設計されており、リージョンが独立しているのですが、AWSではリージョン間のAMIコピーやデータ転送が可能です。ただし、データ転送する際は別途料金が発生します。

  • 利用できるリージョンが異なる

    アカウントにより、利用できるリージョンが決まります。AWSでは複数のリージョンを提供するため、要件に合った場所でAmazon EC2インスタンスを起動できます。例えば、ヨーロッパの顧客に近づけるため、または法的要件を満たすために、ヨーロッパでインスタンスを起動することができます。

マルチリージョンについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

https://envader.plus/article/297

AZとは

アベイラビリティーゾーン(Availability Zone)といい、1 つの AWS リージョン内でそれぞれ切り離され、冗長的な電力源、ネットワーク、そして接続機能を備えている 1 つ以上のデータセンターのことです。たとえば東京リージョンには4つのAZがありますが、これらは「互いにすべて100km(60マイル)以内」「それぞれほかのAZから物理的に意味のある距離(数キロメートル)離れた場所」に配置されています。そのため、故障や不具合が起きた場合や、ネットワーク障害が発生した場合においても、別のAZに影響を与えることはありません。AZ外の影響を受けることなく、安定的に稼働を続けることが可能になります。また、AZは大きく分けて「シングルAZ」と「マルチAZ」の2種類が存在します。2022/12/21現在では、全世界の 30 の地域内にある 96 のAZが存在し、オーストラリア、カナダ、イスラエル、ニュージーランド、およびタイに 15 のAZと 5 か所の AWS リージョンを追加する計画が発表されています。

シングルAZとは

1つのAZだけ使用してシステムを構築する仕組みを指します。

マルチAZとは

システム構築において2つ以上のAZを用いる仕組みです。一般的にパブリッククラウドのサービスでは、マルチAZを推奨しているケースがよく見られます。

シングルAZとマルチAZの違い

  • 冗長化の可否

    シングルAZ構成では、稼働しているAZが停止した場合、その影響でシステム全体が停止してしまう可能性があります。障害が発生したときのリスクは高いといえるでしょう。

    対してマルチAZ構成は、複数のAZをまたいだシステムの冗長化を実現できます。例えば、本番用と予備用という2つのAZを作った場合、本番用AZが停止しても予備用AZに系統を切り替えられるため、システムを滞りなく稼働させることができます。

  • 構成の複雑さ

    シングルAZは1つのAZだけで稼働させる分、サーバーやネットワークの構成が比較的シンプルです。一方、マルチAZは複数のAZを稼働させるので、場合によっては構成が複雑になってしまうかもしれません。

    また、マルチAZでシステムを構築した場合、通信速度やコストに悪影響が出てしまう可能性もあります。

リージョンとAZの違い

AZもリージョンと同様に独立していますが、AZは互いに高速な通信線によって接続されており、この点がリージョンとは異なっています。また、同じリージョン内であればAZをまたいでデータを複製したり、別のAZのリソースを参照したりすることができるので、リージョンと比べてシームレスにデータやリソースを連携させることができる点もリージョンと異なっています。

障害への耐性については、複数のAZにリソースを配置することでもシステムの可用性を高めることができますが、リージョン全体へ影響する部分に障害が発生した場合にはそのリージョンに属する全てのAZに影響が及ぶ恐れがあります。耐障害性の観点では、同一リージョンの複数のAZでシステムを構成するよりも、複数リージョンでシステムを構成する方が、より高いと言えます。複数のAZと複数のリージョンのどちらか、もしくは、両方でシステムを構成するべきかについては、構築しようとするシステムのビジネス運営における重要性に応じて決定します。

リージョンとAZの一覧

AWSが提供するElastic Computing Cloud(EC2)のドキュメントでは、AWSアカウントで提供されるリージョンのリストが公開されています(2022/12/21現在)。また、リージョンごとのアベイラビリティーゾーンの数とマッピングは、AWS アカウント間で異なる場合があります。アカウントで使用可能なアベイラビリティーゾーンのリストを取得するには、Amazon EC2コンソールまたはコマンドラインインターフェイスで確認できます。

  • 北米

    北米の AWS クラウドでは、7つの地理的リージョンに25 のアベイラビリティーゾーンがあります。

    リージョン名AZ数
    バージニア北部6
    オハイオ3
    北カリフォルニア3
    オレゴン4
    米国東部3
    米国西部3
    米国中部3
  • 南米

    南米の AWS クラウドでは、1つの地理的リージョンで3つのAZがあります。

    リージョン名AZ数
    サンパウロ3
  • 欧州、中東、アフリカ

    欧州、中東、アフリカの AWS クラウドでは、11つの地理的リージョンに 33 のAZがあります。

    リージョン名AZ数
    バーレーン3
    フランクフルト3
    ロンドン3
    パリ3
    ストックホルム3
    ミラノ3
    チューリッヒ3
    スペイン3
    バーレーン3
    アラブ首長国連邦3
    ケープタウン3
  • アジアパシフィック(中国含む)

    アジアパシフィック (中国含む) の AWS クラウドには、11つの地理的リージョンに 35 のアベイラビリティーゾーンがあります。

    リージョン名AZ数
    香港特別自治区3
    ムンバイ3
    ソウル4
    シンガポール3
    シドニー3
    東京4
    大阪3
    北京3
    寧夏3
    ジャカルタ3
    ハイデラバード3

まとめ

AWSにおけるリージョンとAZについて解説してきました。2022/12/21現在では総リージョン数30、総AZ数92とかなりの数がありますが、まだ15のAZと5か所のAWS リージョンの増加が予定されています。AWSを使用するにあたって必要な基礎知識であると思いますので、少しでも理解を深めていただければと思います。

エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

RareTECH 無料体験授業開催中! オンラインにて実施中! Top10%のエンジニアになる秘訣を伝授します! RareTECH講師への質疑応答可

関連記事