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2025.05.14

MCPとは?AI活用を加速させる仕組みをやさしく解説!

はじめに

これからのAI活用に欠かせないMCPModel Context Protocol)について、耳にしたことはあるでしょうか?近年、業務の自動化やAIを活用した効率化の流れが一段と加速しています。特に、ChatGPTなどの対話型AIを業務に取り入れる動きが盛んになる中で、MCPという技術が注目されています

この記事では、プログラミングの経験が浅い方や、DXを推進する市民開発者の方でも理解できるように、MCPの基本から仕組み、導入によって実現できることまでをやさしく解説します。読み進めるうちに、「なぜMCPが必要なのか」「どのようにAIとつながるのか」といった疑問が自然と解消される構成になっています。まずはMCPという仕組みをしっかり理解するところから始めましょう。

MCPとは?

MCP(Model Context Protocol)とは、AIと外部のデータやツールをつなぐための標準的な通信ルール(プロトコル)です。MCPが登場したことで、AIとツールやデータを共通の方法で接続できるようになりました。 しばしば「AIのためのUSB-C」と表現され、USB-Cが様々なデバイスをコンピュータに接続する共通規格であるように、MCPはAIモデルと外部リソースを接続するための共通インターフェースを提供することを目指しています。

MCPを介することで、ChatGPTやClaudeなどのLLMの学習済みの知識だけでは足りない、外部の情報をリアルタイムで取得し、それに基づいた応答が可能になります。また、ツールを通じてユーザーのPC上のファイル操作やアプリ連携など、実際の行動もAIが代行できるようになります。

MCPが連携する相手

MCPが連携する相手は、大きく分けて「データソース」と「ツール」に分かれます。

  • データソース

    AIが知識や状況を取得するための情報源です。

    • 社内データベース(顧客情報、社内資料など)
    • ファイルシステム(PDF、Excel、ドキュメントなど)
    • インターネット上の情報(APIで提供される天気情報など)
  • ツール

    AIがユーザーに代わって操作や実行を行うための仕組みです。

    • 他のアプリケーション(SlackやTeamsにメッセージを送るなど)
    • システム操作(ファイルを移動、メール送信など)
    • 外部サービスとの接続(カレンダー登録、翻訳ツールの呼び出しなど)

MCPは、これらの多様な情報源やツールとAIを文脈を維持しながらつなぐために設計されています。単なるデータのやりとりではなく、ユーザーの意図や会話の流れ(Context)を理解しながら、AIが必要なアクションを安全かつ柔軟に実行できるようになります。

MCPのメリット

MCPの大きなメリットのひとつは、AIと外部ツール・データの接続方法を共通化できることです。これは「MCPとは?」のセクションでも触れた通り、AIツールや外部サービスを切り替えたとしても、接続設定をそのまま再利用できるという大きな利点につながります。

従来は、AIツールごとにツールやデータとの接続方法が異なっていたため、別のAIモデルに切り替えると、それに合わせて接続の仕組みも一から作り直す必要がありました。しかし、MCPを使えば接続の仕方が統一されているため、AIツールを変更しても、外部ツールやデータソースとの接続設定をそのまま再利用できるようになります。これにより、AIの活用範囲が広がるだけでなく、開発・運用の手間も大幅に削減されます。

MCPは単なる接続手段ではなく、AI活用の柔軟性・将来性を高める新しい標準として注目されています。今後のAIアプリケーションの進化において、重要な役割を果たす技術となる可能性があるのです。

プロトコルとは

機器やシステム間でデータをやり取りする際の通信のルールのことです。ブラウザでWebページを閲覧する際に使用するHTTPもプロトコルの一つです。プロトコルについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

プロトコルとは?初心者でもわかる通信ルールの基本をやさしく解説!

https://envader.plus/article/539

MCPが誕生した理由

MCPは、AIを現実の業務や日常に役立てるための「橋渡し役」として生まれました。

たとえばChatGPTのようなLLMは、非常に高い言語処理能力を持っていますが、その知識は「学習時点の情報」に限定されており、「今の天気」や「社内の在庫状況」などには対応できません。AIを実用的に活用するには、こうしたリアルタイム情報や個別のユーザーデータと連携する必要があります。しかし現実には、データやツールは多種多様で、AIと1対1でつなぐには膨大な開発コストがかかります。

  • データソース

    ファイル、データベース、APIなど多くの形式があります。

  • ツール類

    メール、チャット、カレンダー、業務アプリなど多数存在します。

  • 使用するAI

    ChatGPT、Claude、独自LLMなど多くのAIモデルが存在します。

そこで登場したのがMCPです。MCPはこうした「多種多様なデータやツール」を標準化されたプロトコルでつなぎ、LLMとスムーズにつなぐ橋渡し役を果たします。

LLMに起きた変化

外部データやツールとつながったLLMは、「学習したの知識を答えるだけの存在」から、「今の状況に合わせて動ける存在」へと進化しました。

たとえば、検索ツールと連携すれば、「今日の天気」や「最新のニュース」といった学習外の情報を調べて回答できます。また、MCPを通じてツールとつながることで、ファイルを操作したり、予定を登録したりといった「実際の行動」もできるようになります。

この変化は、LLMの可能性を「文章生成」から「行動・処理」へと大きく広げました。今後のAI活用の主流は、まさにこの「調べて動くAI」となっていくでしょう。

MCPを使用してAIツールができること

MCPによってAIは、外部の情報にアクセスするだけでなく、ツールやアプリを実際に操作する「実行型エージェント」として活躍できるようになりました。ここでは、MCPが実現する具体的な機能の一部を紹介します。

  • Gmailでメールを自動作成・送信

    「会議のリマインドメールを送って」と指示するだけで、件名・本文を自動で準備し、Gmailからメールを送信します。テンプレートベースの連絡業務を効率化できます。

  • PDFの中から必要な情報を抽出

    「この契約書の金額だけ知りたい」といった問いに、AIがPDFを読み取り、該当情報を抜き出して回答。手作業での確認作業を大幅に削減できます。

  • コードファイルを自動で修正・保存

    「この関数の名前をもっとわかりやすく変えて」とAIに伝えると、指定したファイルを開いて修正し、自動保存まで行ってくれます。軽微な修正やコメント追加も自然言語で完結します。

MCPは、AIに「動作の指示」や「データの活用範囲」を広げる強力な手段であり、実際の業務操作やリアルタイム情報の取得を可能にします。では、その仕組みはどのように成り立っているのでしょうか?次のセクションから、MCPがどのように機能しているか、具体的な構成とその役割を見ていきましょう。

MCPの仕組み

AIが外の世界とつながるための基本構造は、クライアント・サーバーモデルと呼ばれる仕組みにもとづいています。これは、役割ごとに処理を分担する方式で、AI(クライアント)が必要な処理を、それぞれのMCPサーバー(機能の提供者)に依頼する形です。

わかりやすく言えば、AIが必要なときに外部の道具箱(サーバー)を使って処理を進めていくイメージです。この構造により、AI自身が直接データやツールを操作することなく、柔軟かつ安全に外部とやり取りできるようになります。

このような仕組みを支えるのが、次に紹介する「MCPを構成する5つの要素」です。

MCPを構成する5つの要素

MCPを正しく理解するためには、「どんな仕組みでAIと外部がつながっているのか」を知ることが重要です。これから紹介する5つの要素を押さえることで、MCPの活用場面や将来的な拡張のイメージがつかみやすくなります。やや技術的な内容も含みますが、これらを知っておくことで「AIに何ができて、何が難しいのか」が判断しやすくなり、実装したい機能への応用も考えやすくなります。ここでは、それぞれの役割を具体例を交えて解説していきます。

1.MCP ホスト(MCP Hosts)

ホストとは、MCPの機能を使いたい「AIアプリケーション」そのものです。たとえば、以下のようなアプリがホストとしてMCPクライアントを動作させます。

  • Claude Desktop や ChatGPT API対応の業務アシスタントなど
  • AI支援付きのIDE(Cursor、Visual Studio Code、JetBrainsなど)
  • ノーコード型のAIアプリビルダー(DifyやFlowiseなど)

ユーザーの自然言語による依頼を受け取り、必要なデータ取得やファイル操作、API連携などを、MCPクライアントを通じてMCPサーバーに指示として送信します。

2.MCP クライアント(MCP Clients)

MCPクライアントは、AIアプリ(ホスト)と機能を提供するMCPサーバーの間を取り持つ通信の司令塔のような存在です。

  1. MCPホストからの指示をMCP準拠のリクエストに変換

    ユーザーがMCPホストに出した指示を受け、必要に応じてMCPクライアントがMCP準拠のリクエスト(通常はJSON形式)に変換します。

  2. リクエストの送信

    変換されたリクエストを、対応するMCPサーバーに送信します。

  3. MCPサーバーからの結果をMCPホストへ返信

    サーバーから返ってきた結果をホスト(AI)に返却します。

このように、MCPクライアントは「ユーザーが自然に話した内容」を、サーバーが実行可能なコマンド形式に変換する通訳役のような働きをします。クライアントは通常、ホストの内部に組み込まれており、ユーザーが意識することなく動作しています。まるで裏方のように、MCPの円滑な通信を支えています。

3.MCP サーバー(MCP Servers)

MCPサーバーは、クライアントから受け取ったリクエストに対して、必要な処理を実行し、その結果を返す小さなプログラムです。それぞれのサーバーは特定の役割(例:ファイルの読み取り、APIの呼び出しなど)に特化しており、処理の流れは以下のようになります。

  1. リクエストの受信

    MCPクライアントが送ってきたリクエスト(JSON形式)を受け取ります。

  2. リクエストの解析と実行準備

    リクエストの内容を読み取り、「どの処理を行えばよいか」「どのファイルやAPIを対象とするか」などを判断します。

  3. 処理の実行

    実際に指定された処理を行います。たとえばツールを通じて「現在の天気」の情報を天気予報APIからデータを取得します。

  4. 結果の生成と返却

    見つけた値や取得した情報を、クライアントが再利用しやすい形式(たとえばJSON)で整形し、レスポンスとして返信します。

このように、MCPサーバーは「指示が明確に届いたら、それに沿って必要な処理を正確に実行し、結果を返す」ことに特化しています。だからこそ、柔軟な組み合わせや拡張が可能で、さまざまな業務処理にも対応することができます。

4.ローカルデータソース(Local Data Sources)

ローカルデータソースとは、MCPサーバーがアクセスできるユーザーのパソコンや社内ネットワークの情報源です。MCPサーバーは、これらの情報にアクセスして情報を取得することができます。具体的には次のようなものがあります。

  • PC内の/DocumentsフォルダにあるPDFやテキストファイル
  • 社内ネットワーク内に設置された小規模データベース
  • 業務用のローカルシステムが出力したCSVやログファイル

MCPサーバーはこうした情報を対象に、全文検索や条件抽出などの処理を行い、その結果をAIに返すことができます。

5.リモートサービス(Remote Services)

リモートサービスとは、インターネット経由で利用する外部のオンラインサービスやAPIのことです。MCPサーバーは、こうしたサービスとも連携して、AIの処理をさらに広げることができます。たとえば以下のようなサービスが該当します。

  • 天気予報や為替情報などの情報提供API
  • Google Workspace(カレンダー・ドライブ)、Slack、Notionなどのサービス
  • 外部ツールと接続された業務アプリ(RPAやMAツールなど)

MCPサーバーはこうしたリモート先と連携し、リアルタイムの情報取得や外部操作を実現します。

MCPは、それぞれの構成要素が役割を分担し連携することで、AIが「自分の知識」にとどまらず、外部の世界へ自由にアクセスし、実行できる環境を実現しています。

これからのMCP

MCPの仕組みが普及することで、AIと外部ツールやデータがより簡単につながる時代が始まりつつあります。多くのサービスでMCPを使用してLLMとツールやデータと連携できる機能が増加傾向にあります。

DifyによるMCPの活用

ノーコード型AIアプリ構築プラットフォーム「Dify」では、MCPを利用してさまざまな外部ツールと簡単に接続できます。難しいコードを書くことなく、ドラッグ&ドロップや設定画面だけで、AIに機能を追加することが可能です。以下はDify上で構築した、Gmailと連携するチャットボットの例です。

ユーザーがチャット上で「メールを送って」と指示すると、LLMが自動でメール本文を生成し、指定した宛先へ即座に送信します。まるでAI秘書のように、ユーザーの日常業務をサポートします。

Difyについては以下の記事で詳しく解説しています。Difyとは何か?から始まり、導入方法から簡単なAIボットの作成方法を紹介しています。せひあわせてご覧ください。

DifyでAIアプリを簡単作成!初心者向け完全導入ガイド

https://envader.plus/article/538

MCPが切り開く新しいサービスのかたち

このように、MCPとノーコードツールの組み合わせは、「AI × 実務ツール」を誰でも扱える時代を加速させています。今後は、以下のような変化が加速していくと考えられます。

  • 企業ごとの業務に最適化されたAIエージェントの普及
  • 市民開発者でも扱えるAIワークフローの標準化
  • APIやツールとの接続が前提のAI設計へのシフト

MCPは単なる技術仕様ではなく、「AIが本当の意味で人の作業を助ける存在」へ進化するためのカギなのです。

おわりに

本記事では、MCPがどのような仕組みでAIと外部のデータ・ツールをつなぎ、AIの可能性を広げているのかをご紹介しました。

MCPの最大の魅力は、AIが「自分で情報を調べる」「外部のツールを操作する」といった、これまで難しかった高度な処理を、より簡単かつ柔軟に実現できる点にあります。その裏側では、ホスト・クライアント・サーバーといったシンプルな構成が、役割を分担しながら連携して動いており、仕組みを理解することで活用の幅は大きく広がります。

さらに、DifyのようなノーコードツールとMCPを組み合わせれば、誰でもAIツールを作れる時代が到来しています。メールの送信やファイル処理、社内データの検索など、「AIが業務の一部を自動でこなしてくれる」という未来は、すでに現実となりつつあるのです。

本記事が多くの方のAI活用や業務改善への第一歩となれば幸いです。

参考資料

以下のリンクは、この記事で解説した手順や概念に関連する参考資料です。より詳しく学びたい方は、ぜひご覧ください。

Model Context Protocol - 公式

https://modelcontextprotocol.io/introduction#general-architecture

Anthropic - Introducing the Model Context Protocol

https://www.anthropic.com/news/model-context-protocol

Model Context Protocol - GitHub

https://github.com/modelcontextprotocol

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エンベーダー編集部

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