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2024.09.29

CI/CDツール徹底比較 クラウドネイティブとオープンソース、どちらを選ぶべきか?

はじめに

アプリケーション開発やリリースにおいて、CI/CD(継続的インテグレーションと継続的デリバリー) は、自動化を通じて開発効率を大幅に向上させるツールです。CI/CDを活用することで、コード変更による他の機能への影響をテストし、エラーが発生した際には即座に対応できる体制が整います。

前回記事の紹介

前回の記事(こちら)では、GitHub Actions を使ったAWSへのアプリケーションデプロイをハンズオン形式で解説しました。今回のテーマは、その続編として、GitHub Actions以外のCI/CDツールに注目し、比較していきます。

GitHub ActionsでAWSへのCI/CDを実現!初心者向けハンズオン

対象読者

この記事は、エンジニア初学者を対象としています。すでにCI/CDの基本を理解した方が、次にどのツールを選ぶべきか迷っている場合に役立つ内容です。この記事を通じて、それぞれのツールの特徴と適用シーンを知り、プロジェクトに最適なツールを選ぶサポートを行います。

この記事の目的

クラウドネイティブツールとオープンソースツールには、それぞれ異なる強みがあります。どのツールを選ぶかはプロジェクトの特性に大きく依存します。本記事では、それらのツールを比較し、シチュエーションに応じてどちらを選ぶべきかを明確にしていきます。

クラウドネイティブツールの強み

クラウドネイティブなCI/CDツールとは、各クラウドプロバイダー(AWS、Google Cloud、Azure)が提供するサービスと密接に統合されたツールのことを指します。これらのツールは、クラウド環境に最適化されており、インフラのセットアップ、スケーリング、セキュリティ、監視など、クラウドの基本機能と連携することで、開発者はアプリケーション開発に集中できる環境を提供します。

クラウドネイティブツールの強みは、その統合性とスケーラビリティです。クラウドベースのサービスを活用することで、オンプレミスに比べてインフラの管理が容易になり、開発プロセス全体が効率化されます。また、クラウド環境の特性を活かして動的なスケーリングやオートリカバリなどが可能になり、ビジネスの成長に応じてシステムを拡張できます。

クラウドネイティブツールの具体例と強み

1. 統合性と自動化の強み

例えば、AWS CodePipelineは、AWS内のサービス(S3、ECS、Lambdaなど)と完全に統合されています。これにより、コードの変更からテスト、デプロイまでのプロセスがスムーズに自動化され、エラーが発生した場合には自動的に通知される仕組みが整っています。これにより、開発者は手作業の負担から解放され、エラー対応やメンテナンス作業も効率化されます。特に、リリースが頻繁な環境では、自動化されたデプロイメントプロセスがビジネスのスピードアップに貢献します。

2. スケーラビリティとパフォーマンス

クラウドネイティブなCI/CDツールは、クラウド環境のスケーラビリティをフルに活用できます。例えば、Google Cloud Buildは、Google Cloudの他のサービス(GKE、Cloud Functionsなど)と連携し、コンテナベースのアプリケーションのビルドとデプロイを効率的に行えます。コンテナやマイクロサービスを利用しているプロジェクトでは、クラウド環境でスムーズなスケーリングが可能です。リソースの追加や削減が簡単に行えるため、トラフィックが急増しても自動でスケールアウトして対応でき、コスト管理も容易です。

3. 高可用性とセキュリティ

クラウドネイティブなツールは、プロバイダーが提供する高度なセキュリティ機能や可用性を享受できます。例えば、Azure Pipelinesは、Azureのセキュリティ機能(Azure Active Directory統合やロールベースのアクセス制御)と連携し、高いセキュリティ基準を持ちながら開発を進めることができます。さらに、複数のリージョンにまたがるインフラを自動で管理できるため、可用性を高め、災害復旧の体制も強化できます。

AWS CodePipelineの特徴と適用シーン

AWS CodePipelineは、AWSのさまざまなサービス(Lambda、S3、ECSなど)と密接に統合されており、エンタープライズレベルのプロジェクトに最適です。特に、AWS環境での一貫したデプロイプロセスを自動化し、システム全体を統一的に管理することで、セキュリティやパフォーマンスの最適化が可能です。

適用シーンとしては、AWSインフラに依存するプロジェクトや、クラウド環境のスケーラビリティをフル活用したい場合に効果的です。例えば、グローバルにサービスを提供するアプリケーションでは、AWSの分散型アーキテクチャを活かしたスケーリングと自動化による安定したデプロイが可能になります。

Google Cloud Buildの特徴と適用シーン

Google Cloud Buildは、Google Cloudの他のサービス(Google Kubernetes Engine、Cloud Functionsなど)と深く連携しています。特に、コンテナベースのアプリケーションやマイクロサービスを使用するプロジェクトに強みを持ちます。Google Cloud Buildの料金体系は、使用したビルド時間に基づくため、コスト管理も容易で、効率的なリソース使用が可能です。

適用シーンとしては、コンテナ化されたアプリケーションをデプロイする際や、GKEを使用したマイクロサービスアーキテクチャでのプロジェクトに最適です。自動的にスケールアウトし、トラフィックの増加にも対応できるため、急速な成長を目指すプロジェクトに効果的です。

Azure Pipelinesの特徴と適用シーン

Azure Pipelinesは、Azureの他のサービス(Azure App Service、Azure Kubernetes Serviceなど)とシームレスに統合されています。特に、エンタープライズ向けのプロジェクトで、複数のプラットフォームやデプロイ環境にまたがる複雑なデプロイメントが必要な場合に強力なツールです。

また、Azureのセキュリティ機能や高度なモニタリングと組み合わせることで、開発者は安全で信頼性の高いパイプラインを維持しながら開発を進められます。特に、Azure上での統一的なデプロイメントを行いたい企業にとっては、Azure Pipelinesが最適な選択肢となります。

オープンソースツールの強み

オープンソースのCI/CDツールは、クラウドプロバイダーに依存しないため、オンプレミス環境やハイブリッド環境での運用が可能です。また、プロジェクトごとに柔軟にカスタマイズできる点が大きな強みです。これにより、特定のセキュリティ要件やプロジェクト要件に対応した自由度の高い構成が実現します。加えて、ライセンス費用が不要であるため、コスト面でも有利です。

オープンソースツールは、コミュニティによってサポートされており、最新の技術に触れることができる点もメリットです。ツールやプラグインの拡張が頻繁に行われるため、開発環境に応じて柔軟に適用できます。

Jenkinsの特徴と適用シーン

Jenkinsは、最も広く使用されているオープンソースのCI/CDツールです。豊富なプラグインを利用して、あらゆる開発環境に対応し、複雑なCI/CDパイプラインを構築できます。特に、オンプレミス環境での運用や、クラウドに依存しないインフラに適しています。

特徴

  • 豊富なプラグインによる高いカスタマイズ性
  • オンプレミス環境での使用に最適
  • クラウドに依存しない柔軟な構成が可能

適用シーン

大企業のプロジェクトや、オンプレミスでセキュリティを重視する環境に最適です。特に、複数のテスト環境やリリースプロセスを細かく制御したい場合に、Jenkinsのカスタマイズ性が活かされます。

GitLab CI/CDの特徴と適用シーン

GitLab CI/CDは、GitLabのリポジトリ管理機能と統合されたCI/CDツールで、コード管理、レビュー、テスト、デプロイまで一貫して実行できます。GitLabを使っているプロジェクトにとっては、別のツールを追加する必要がなく、スムーズなワークフローを構築できます。

特徴

  • GitLabリポジトリ管理とシームレスに統合
  • コードレビューからデプロイまで一貫したプロセスが可能
  • 無料で利用できるオープンソースツール

適用シーン

GitLabを中心にプロジェクトを管理している小規模から中規模のチームに最適です。複雑な設定を必要とせず、コード管理とCI/CDを一体化したい場合に効果的です。

CircleCIの特徴と適用シーン

CircleCIは、クラウドベースのCI/CDツールで、設定が簡単でありながら高速なビルドとデプロイを実現します。クラウドベースであるため、オンプレミス環境の構築が不要で、導入がスムーズに行える点が特徴です。

特徴

  • クラウドベースで迅速なセットアップが可能
  • ビルドやテストが高速
  • 小規模プロジェクトでもスムーズにCI/CDを導入できる

適用シーン

スタートアップや小規模プロジェクトに適しています。導入の簡便さとビルドスピードの速さにより、短期間で成果を出す必要があるプロジェクトで活躍します。

クラウドネイティブ vs オープンソースどちらを選ぶ?

CI/CDツールの選択は、プロジェクトの環境や規模、要件によって異なります。クラウドネイティブツールとオープンソースツールには、それぞれの利点があり、どちらを選ぶべきかはプロジェクトの状況次第です。

クラウド中心のプロジェクト向けツール選び

クラウドプロバイダーのサービスを最大限に活用しているプロジェクトでは、クラウドネイティブツールが理想的です。例えば、AWS、Google Cloud、Azureが提供するCI/CDツールは、それぞれのクラウド環境に最適化されており、サービス同士の連携がスムーズです。これにより、セキュリティやスケーラビリティ、パフォーマンスの管理が一貫して行われます。たとえば、AWSを基盤にしたプロジェクトでは、AWS CodePipelineを使用することで他のAWSサービスとの統合が容易に行えます。

オンプレミスやハイブリッド環境に最適なツール

オンプレミスやハイブリッド環境では、クラウド依存を避けた柔軟な構成が求められる場合が多くあります。このような環境では、JenkinsやGitLab CI/CDといったオープンソースツールが非常に有効です。これらのツールは、クラウドサービスに依存せず、オンプレミスでも利用可能で、特定のインフラに制約されることなくカスタマイズできます。特に、自由度の高いCI/CDパイプラインを構築したい場合には、オープンソースツールが適しています。

スタートアップや小規模プロジェクトに適したツール

スタートアップや小規模プロジェクトでは、初期設定が簡単で、すぐに結果を出せるツールが求められます。CircleCIやGitLab CI/CDは、導入が比較的容易で、短期間で成果を上げたいプロジェクトに最適です。これらのツールはクラウドベースでもオンプレミスでも使用でき、初期コストが抑えられるため、リソースの少ないチームやプロジェクトに向いています。

エンタープライズ向け大規模プロジェクトにおすすめのツール

大規模なエンタープライズ向けプロジェクトでは、複数のデプロイ環境や複雑なワークフローが必要です。Azure PipelinesやJenkinsは、大規模プロジェクトやエンタープライズ環境での運用に十分な拡張性を持っており、複数のプラットフォームやインフラに対応できます。特に、継続的なリリースが求められる大規模チームにとって、これらのツールは強力なサポートを提供します。

シチュエーション別の最適なツール選び

以下に、各シチュエーションごとに最適なツールを整理しました。

シチュエーション推奨ツール理由
クラウド中心のプロジェクトAWS CodePipeline、Google Cloud Build、Azure Pipelinesクラウドサービスとの統合が強力で、セキュリティとパフォーマンスの管理が容易。
オンプレミスやハイブリッド環境のプロジェクトJenkins、GitLab CI/CDクラウド依存がなく、自由度の高いカスタマイズが可能。オンプレミスや複雑な環境に対応。
スタートアップや小規模プロジェクトCircleCI、GitLab CI/CD設定がシンプルで、迅速な導入が可能。短期間で結果を求められるプロジェクトに向いている。
エンタープライズ向けプロジェクトAzure Pipelines、Jenkins複雑なCI/CDパイプラインを構築する必要がある大規模プロジェクトに適し、複数のデプロイ環境にも対応可能。

まとめ

クラウドネイティブツールとオープンソースツールの選択は、プロジェクトの特性に応じて適切に行うことが重要です。 クラウド環境との深い統合が必要なプロジェクトには、AWSやGoogle Cloud、Azureが提供するクラウドネイティブツールが適しています。一方で、オンプレミス環境やカスタマイズ性を求める場合には、JenkinsやGitLab CI/CDなどのオープンソースツールが有効です。

プロジェクトの規模やデプロイ環境、将来の成長を見据えて、最適なCI/CDツールを選ぶことで、開発効率と信頼性を最大化 することができます。適切なツール選びは、今後のプロジェクト成功の鍵となります。

様々なツールを試しながら、自分のプロジェクトに最適で得意なツールを見つけることが大切です。ツール選びは一つの挑戦ですが、経験を積むことで、より効果的な開発プロセスを構築できます。あなたの選択がプロジェクトやチームの成長を後押しし、次のステップへと導く力となるでしょう。自信を持って、最適なツールを見つける道のりを進んでください!

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私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。

比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。

多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、

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エンベーダー編集部

エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。

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