はじめに
インフラエンジニアとしてのキャリアを歩み始めた皆さん。初級段階では、ネットワークやサーバーの運用といったルーチンワークに従事することが多いかもしれません。しかし、さらなるステップアップを目指すなら、より高度な設計スキルやトラブルシューティング、クラウド技術の活用が不可欠です。
本記事では、初級エンジニアが次のステップへ進み、中級インフラエンジニアとして活躍するために必要なスキルや知識を具体的に解説します。これからのキャリアの成長にお役立ていただければ幸いです。
中級インフラエンジニアの定義
中級インフラエンジニアは、初級エンジニアの運用スキルを超え、インフラの設計や最適化、自動化をリードする役割を担います。一般的に実務経験が3〜5年ほどのエンジニアが対象となり、複雑なシステム運用やクラウド技術を活用し、スケーラブルでセキュアなインフラを維持するスキルが求められます。
自律的にタスクを完遂する能力
初級エンジニアは、上司やリーダーからの詳細な指示に基づきタスクを進めますが、中級エンジニアには自律的に問題を発見し、解決策を提案する能力が必要です。特に、トラブル発生時に迅速な対応と、根本原因の特定を行い、解決に導くスキルが求められます。
サーバー障害時の対応
例えば、サーバーが突然ダウンした際、中級エンジニアはCloudWatchやNew Relicなどの監視ツールを使用し、CPU使用率やディスクI/Oの問題を特定し、適切なスケーリングや再起動を実行します。これによりシステムのダウンタイムを最小限に抑え、サービスの安定運用を確保します。
深いインフラ設計の理解
中級インフラエンジニアは、冗長化や高可用性を考慮したインフラ設計において、システム全体を俯瞰できるスキルを持っています。具体的には、AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウドプロバイダーを活用して、スケーラブルで信頼性の高いインフラを構築する能力が必要です。
高可用性クラウドアーキテクチャの設計
例えば、AWS環境でRDSのマルチアベイラビリティゾーン構成を使用し、データベースの可用性を確保します。障害発生時には、自動で他のアベイラビリティゾーンにフェイルオーバーすることでダウンタイムを最小限に抑える設計を行い、システムの高可用性を確保します。
自動化とスクリプト作成のスキル
インフラ運用の自動化は中級エンジニアにとって非常に重要です。手作業による設定ミスを防ぎ、効率的な運用を行うために、Infrastructure as Code(IaC)の概念を理解し、TerraformやAnsibleなどのツールを活用してインフラをコードベースで管理します。
Terraformによる自動化
中級インフラエンジニアは、Terraformを使ってクラウドリソース(EC2、VPC、セキュリティグループなど)の設定を自動化し、環境を迅速に再構築する能力が求められます。たとえば、新たなプロジェクトのインフラを数クリックでデプロイできるスキルは必須です。
インフラセキュリティの知識
中級インフラエンジニアにはセキュリティの深い知識も求められます。ネットワークのセキュリティポリシーやアクセス制御の設定を徹底し、外部からの攻撃を防ぎ、システム内部の脆弱性を最小限にする能力が必要です。
IAMとファイアウォール設定
AWS IAMポリシーを用いて、リソースへのアクセスを制限し、セキュリティを強化します。また、WAF(Web Application Firewall)を使用し、Webアプリケーションに対する不正アクセスを防ぎ、企業全体のセキュリティを強化します。
スキルアップのためのロードマップ
インフラエンジニアとしてキャリアを進めるためには、クラウド技術、ネットワークスキル、自動化技術を強化することが重要です。これらのスキルがプロジェクト全体の信頼性や効率を高めるための基盤となります。
クラウド技術の習得
現代のインフラエンジニアには、AWS、Azure、Google Cloudといったクラウドサービスの知識が不可欠です。特にサーバーレスアーキテクチャや自動スケーリングの導入は、運用コスト削減やインフラ管理の効率化に貢献します。加えて、マルチクラウド戦略の導入により、複数のクラウドサービスを連携させて柔軟なインフラ運用を実現するスキルも重要です。
AWS Lambdaを使ったサーバーレスアーキテクチャ
AWS Lambdaは、リクエストに応じて自動的にスケールするサーバーレス技術で、従来の物理サーバー管理を不要にします。トラフィックに応じた動的なリソース調整が可能で、コスト削減とメンテナンス効率の向上が期待できます。
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活用シナリオ
特定のイベント(API呼び出しなど)をトリガーに自動で処理を行い、負荷が急増してもLambda関数がスケールアウトして対応します。サーバーのインスタンスを手動で管理する必要がなく、オンデマンドでスケールするため、高トラフィックにも迅速に対応可能です。
マルチクラウドスキルの重要性
インフラエンジニアには、AWSやAzure、Google Cloudなどの複数のクラウドプラットフォームを横断的に扱うマルチクラウド戦略も重要です。これにより、コスト最適化、サービスの冗長化、災害時のバックアップ対応がより柔軟になります。特定のプロバイダーに依存しない設計を行うことで、サービス停止のリスクを減らし、ビジネス継続性を高めることができます。
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活用シナリオ
例えば、AWSを主要クラウドとしつつ、Azureをバックアップ環境として使用する構成を作成します。これにより、あるクラウドの障害が発生した際に、即座に別のクラウドにフェイルオーバーし、サービス継続を図ることができます。
ネットワークスキルの強化
インフラエンジニアには、ネットワークのルーティングやファイアウォール設定、VPNやVPCのセキュアな構築が求められます。ネットワークセキュリティを強化し、システム全体の信頼性を高めるスキルが重要です。
VPCピアリングを使ったネットワーク設計
VPCピアリングを使用し、AWSの異なるVPC間でシームレスな通信が可能になります。複数プロジェクトやアカウントにわたるシステムの相互通信をセキュアに設計するためのスキルが求められます。
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活用シナリオ
異なるVPCに配置したアプリケーションサーバーとデータベースサーバー間で、安全かつ効率的な通信を確立し、ネットワークセキュリティを向上させます。
自動化の実践
インフラ管理における自動化は、作業効率を向上させ、ミスを最小限に抑えるために不可欠です。中級インフラエンジニアはTerraformやAnsibleを活用し、プロビジョニングや設定の自動化を実現します。
Terraformを使った自動化プロビジョニング
TerraformでAWS、Azure、GCPのリソースをコードベースで管理し、手動作業を減らします。コードをバージョン管理ツール(GitHubなど)で管理し、チーム全体で変更履歴を追跡します。
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活用シナリオ
新しいプロジェクトやステージング環境を短期間で構築し、Terraformコードを使って一括でデプロイを行い、インフラ管理の一貫性を確保します。
継続的な学習と技術のキャッチアップ
中級エンジニアは、常に技術の変化に対応し、新しいツールやベストプラクティスを学び続ける必要があります。クラウド技術、ネットワークセキュリティ、自動化ツールなど、技術領域は日々進化しています。定期的な自己学習を通じて、スキルを磨き続ける姿勢が重要です。
トレンドの技術習得
例えば、最新のKubernetesやコンテナ技術を学び、効率的なアプリケーションのデプロイを実現できるようにします。また、セキュリティのベストプラクティスを常に更新し、クラウド環境における脅威からインフラを保護するスキルも重要です。
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活用シナリオ
コンテナベースのアプリケーションをKubernetes上にデプロイし、スケーリングやオーケストレーションを自動化することで、運用負担を軽減しつつシステムの柔軟性を高めます。
リーダーシップとチーム貢献
中級インフラエンジニアとして、技術的スキルだけでなく、チームに対するリーダーシップや他のメンバーへの技術指導も求められます。チーム内での知識共有やコードレビューを積極的に行い、プロジェクト全体の成功を支える役割を担います。
コードレビューと技術指導
ジュニアエンジニアのコードレビューを行い、改善点を指摘するとともに、技術的な知識を共有することでチーム全体のスキル向上を促します。また、問題発生時にはリーダーシップを発揮し、適切な解決策をチームと共に導き出します。
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活用シナリオ
あるプロジェクトでジュニアエンジニアが構築したインフラのコードをレビューし、セキュリティやパフォーマンスの観点から改善点を指摘。より効率的な方法を提案することで、チームの技術力を向上させます。
終わりに
中級インフラエンジニアへのステップアップは、技術的スキルだけでなく、システム設計、セキュリティ、リーダーシップなど、幅広い分野での成長が必要です。継続的な学習を通じて、時代の技術進化に対応し、さらなるキャリアの発展を目指しましょう。このロードマップを参考に、技術力を磨きながらプロジェクトに貢献し、エンジニアとしての成長を加速させてください。
参考リンク
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
エンベーダーは、ITスクールRareTECHのインフラ学習教材として誕生しました。 「遊びながらインフラエンジニアへ」をコンセプトに、インフラへの学習ハードルを下げるツールとして運営されています。
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