2023.08.19
学習する必要はある?ローコード開発のメリット・デメリット
システム開発をする際、耳にするようになった言葉に「ローコード」があります。ローコードは、新しい開発手法の1つです。多くの企業が注目し、IT戦略の1つとして採用し始めています。
エンジニア初学者の中には、気になっている方もいるでしょう。この記事ではローコードについてメリット・デメリットの他、代表的なツールを紹介します。
ローコードについて知りたいと考えているエンジニア初学者の方は、必見です。
ローコードとは少ないコードで開発できる手法
ローコードとは、その名の通り「少ないコードで開発できる手法」です。世界的なトレンドとして、ITビジネスの分野で急速に広がっています。
その特徴は、なんと言っても速さ。可能な限りソースコードを書かずにアプリを開発できるため、従来のシステム開発と比較すると短期間でリリース可能です。
GUIによって画面部品やロジック部品を組み合わせるため、人によってはプラモデルやレゴブロックのような感覚でシステムを開発できます。
このような手法のため、ITにそれほど詳しくない方でも扱える特徴があります。
そんなローコードを活用する上で、以下の3つは知っておきましょう。
- DXが影響している
- IT業界は人材不足
- ローコードとノーコードの違い
DXが影響している
ローコードが注目されるようになった背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)があります。急速に変化するビジネス要件に対応していかなければならないためです。
企業としてデジタルシフトを求められる昨今、ローコードを使ってDX化の推進が図られています。そのような面から、ローコードの需要が高まっています。
IT業界は人材不足
ローコードが注目されている理由として、IT業界の人材不足があります。システム開発の需要が高まるのに比例して、IT人材が減少傾向にあるためです。経済産業省が発表した「IT人材育成の状況等について」という資料でも明言されています。
ローコードは、GUIでパズルのようにシステムを組み立てていきます。視覚的にもわかりやすいため、ITの知識に乏しい方でも安心して開発に参加が可能です。
結果、人材不足を解消できると期待されています。
ローコードとノーコードの違い
ローコードと似ているものでノーコードがあります。ノーコードもまた注目を集めている開発手法の1つです。両者には以下のように違います。
- ローコード:GUIを使って、少ないソースコードで開発をする
- ノーコード:ソースコードを一切書かずに画面蔵の操作のみで開発をする
ノーコードの方がコストを抑えて開発できますが、自由度の面では低くなります。一方で、ある程度の自由度を残しつつコストを抑えて開発できるのが、ローコストです。
ローコードを導入して成功した事例
ローコードを導入している企業は多くあります。ここからは、実際にローコードを導入して成功した以下の事例を紹介します。ぜひ参考にしてください。
- 日清食品グループ
- 学校法人河合塾
日清食品グループ
画像引用:日清食品グループ
食品メーカー大手の日清食品グループは、「kintone」というローコード開発ツールを導入しています。目的としたのはペーパーレス化です。特に課題だったのが、ハンコ文化でした。
紙の決裁書に捺印をし無ければ行けない結果、申請の進捗状況を把握できず書類が行方不明になったこともしばしばあったのです。
そこでローコードでアプリケーションを導入し、脱・紙を実現しました。結果、電子化による承認スピードの向上はもちろん、申請状況の把握や書類整理などの業務効率化も実現しています。
ローコードを導入してアプリを開発し、成功した良い事例です。
参考記事:kintone「日清食品グループ 様の導入事例」
学校法人河合塾
画像引用:学校法人河合塾
大手学習塾の学校法人河合塾も、ローコードを導入して成功した企業の1つです。河合塾では、以下の課題を抱えていました。
- 用紙・FAX・電話経由の入力業務に手間やエラーが生じていた
- 商品構成の変更に対応して適切に選びやすくしたかった
- 受講ニーズの変化に柔軟に対応できるシステムへ刷新したかった
河合塾は解決のためにローコード開発ツール「GeneXus」を導入します。外部に依頼したところ1年で開発が完了し、課題を全て解決するに至っています。
ローコードが持つ「短期間で開発できる」メリットを享受できた事例です。
参考記事:jBCC「超高速開発で塾受付システムを1/3 の期間で刷新。講座受講やイベントなど商品をお客様の関心に応じて柔軟に提供」
ローコードで開発するメリット
ローコードでの開発には多くのメリットがあります。特に以下の3つは、ローコードならではのメリットなので、重要です。
- 汎用性と拡張性が高い
- 既存システムと連携できる
- 開発コストを削減できる
汎用性と拡張性が高い
ローコードは、多くが簡素なコード記述でプログラム構築ができます。GUIでブロックのようにシステムをくみ上げることもできるため、汎用性と拡張性の両方を兼ね備えています。
コーディングが可能なので、ユーザー目線で自由な機能の実装が可能です。プログラミングの知識は必要ですが、独自のコンテンツを盛り込める面で優れたメリットと言えます。
既存システムと連携できる
ローコードの開発ツールには、既存システムと連携できる機能が搭載されています。例えば以下のように。
- 他社のソフトウェア
- 社内利用の既存システム
連携機能を利用してコーディングをするだけで、新たにシステムを構築せずともそのまま使えます。
既存システムを活用したいと考えている企業にとって大きなメリットです。
開発コストを削減できる
ローコードには開発コストを削減できるメリットがあります。ソースコードの記述がほとんど必要なく、開発にかかる時間を短縮できるためです。
従来よりも工数の削減も可能なことから、人件費も削減できます。専門的なプログラミングスキルがない方でもアプリ開発が可能です。専門の開発者を雇う必要もありません。
これらのことから、フルスクラッチの開発と比べてコスト削減が可能です。
ローコードで開発するデメリット
ローコードでの開発はメリットが大きいようにも感じられますが、デメリットももちろんあります。場合によっては、従来通り開発した方が良いとなることも。
ローコードで開発をするのなら、以下の2つのデメリットは必ず把握しておきましょう。
- プラットフォームに依存する
- ある程度の知識が必要
プラットフォームに依存する
ローコードでの開発はプラットフォームに依存します。従来の開発手法では全ての機能をオーダーメイド形式で開発していますが、ローコードではプラットフォームが提供するパーツを使うためです。そのため、以下の点で自由度がありません。
- パーツのデザインや機能の拡張・変更
- セキュリティ管理
システムに関して強いこだわりを持っているほど、デメリットとなります。イメージ通りの開発ができるかどうかは、ローコードのプラットフォームを選ぶ上で重要な要素となるでしょう。
ある程度の知識が必要
ローコードで開発するには、ある程度の知識が必要です。ノーコードではITへの知識が全く必要ありませんが、ローコードでは必要になる場面があります。
特に品質の高いシステムを構築するのなら必須です。ユーザーの詳細なビジネス要件を満たすのであれば、知識の習得が求められます。
ローコードを提供しているプラットフォームによって覚える内容が異なるため、学習コストがどうしてもかかってしまいます。エンジニア初学者の方がすぐに使えるわけではない点は、デメリットです。
代表的なローコードツール3選
ローコードは多くの企業から開発ツールが提供されています。ここからは代表的な以下の3つのツールを紹介します。
- intra-mart
- Salesforce Lightning Platform
- Microsoft Power Apps
intra-mart
画像引用:intra-mart
intra-martは、NTTデータ イントラマートが提供するローコード開発ツールです。以下の3つの特徴があります。
- Webブラウザ上で簡単に画面を作成できる
- ノンコーディングで業務ロジックを作成できる
- 柔軟な拡張性と高いカスタマイズ性を備えている
簡単な画面フォームから複雑な業務システムまで、ドラッグ&ドロップのような簡単操作でできるのが強みです。
intra-martの各種ツールが備える拡張ポイントでコーディングすれば拡張・カスタマイズも可能とあって、多くの企業で導入されています。
Salesforce Lightning Platform
画像引用:Salesforce Lightning Platform
Salesforceが提供する「Lightning Platform」は、ローコード開発ツールの代表的なものの1つです。Salesforce上で動作するアプリケーションを構築・実行・運用管理できます。例えば以下のように。
- データベースの構築
- ワークフローの作成
- レポート機能
- ダッシュボードの作成
同社が提供するSales Cloudと比べると機能は絞られていますが、低コストという強みがあります。開発環境だけでなく、ストレージやテスト環境といった開発に必要なリソースが一通り揃っているのも嬉しいポイントです。
多機能ながら低コストで開発するなら、抑えておきたいローコードツールです。
Microsoft Power Apps
画像引用:Microsoft Power Apps
Microsoftが提供する「Power Apps」は、Office365に標準搭載されているローコードツールです。普段からOffice365を使っている方なら、新たに登録する必要なく使えます。Power Appsでは、以下の3種類のアプリを作成できます。
- キャンバス
- モデル駆動型
- ポータル
制作したアプリは、ブラウザやスマートフォン、タブレットで実行可能です。もちろん、Office製品との連携もできます。
また、Microsoftが無料で学習ツールを提供しているため、習得しやすい点も魅力となっています。
習得しやすく多くの企業で使いやすいローコードツールと言えるでしょう。
ローコードはDXで欠かせない開発ツール
ローコードは、少ないコード記述でアプリやサービスを開発できるツールです。ノーコードと違ってコーディングなどの知識は必要ですが、拡張性・カスタマイズ性に優れています。企業独自のシステムを作成したり連携したりできる点も魅力です。
DXによって多くの企業で導入され始めていることから、今後ますます注目される開発ツールと言えるでしょう。
エンジニア初学者の方にとっても、身につけることでキャリアアップに役立てられるので、ぜひ1度挑戦してみてくださいね。
【番外編】USBも知らなかった私が独学でプログラミングを勉強してGAFAに入社するまでの話
プログラミング塾に半年通えば、一人前になれると思っているあなた。それ、勘違いですよ。「なぜ間違いなの?」「正しい勉強法とは何なの?」ITを学び始める全ての人に知って欲しい。そう思って書きました。是非読んでみてください。
「フリーランスエンジニア」
近年やっと世間に浸透した言葉だ。ひと昔まえ、終身雇用は当たり前で、大企業に就職することは一種のステータスだった。しかし、そんな時代も終わり「優秀な人材は転職する」ことが当たり前の時代となる。フリーランスエンジニアに高価値が付く現在、ネットを見ると「未経験でも年収400万以上」などと書いてある。これに釣られて、多くの人がフリーランスになろうとITの世界に入ってきている。私もその中の1人だ。数年前、USBも知らない状態からITの世界に没入し、そこから約2年間、毎日勉学を行なった。他人の何十倍も努力した。そして、企業研修やIT塾で数多くの受講生の指導経験も得た。そこで私は、伸びるエンジニアとそうでないエンジニアをたくさん見てきた。そして、稼げるエンジニア、稼げないエンジニアを見てきた。
「成功する人とそうでない人の違いは何か?」
私が出した答えは、「量産型エンジニアか否か」である。今のエンジニア市場には、量産型エンジニアが溢れている!!ここでの量産型エンジニアの定義は以下の通りである。
比較的簡単に学習可能なWebフレームワーク(WordPress, Rails)やPython等の知識はあるが、ITの基本概念を理解していないため、単調な作業しかこなすことができないエンジニアのこと。
多くの人がフリーランスエンジニアを目指す時代に中途半端な知識や技術力でこの世界に飛び込むと返って過酷な労働条件で働くことになる。そこで、エンジニアを目指すあなたがどう学習していくべきかを私の経験を交えて書こうと思った。続きはこちらから、、、、
エンベーダー編集部
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